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途上国の今を知る

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コラム

途上国研究の最先端

途上国研究の先端的内容を平易に解説し、社会科学的な面から外国理解の一助となることをめざします。
月に2回を目安に新しい記事を配信します。

  • 第35回 カップルの同意を前提に少子化を考える / 伊藤 成朗 多くの国で出生率の低下が問題視されている。女性の労働参加率が高まる一方で、働きながら育児をすることが難しいために、子どもを持たないことを選ぶ家計が増えているためだ。このため、育児休業や保育サービスへの補助金など、多くの政府が就労と育児を両立させるための政策を実施している。本論文は、子どもを持つ場合はカップルの両名が同意しなくてはならないことを前提に、これらの政策効果を理解する道具を提供している。なお、本論文では、分析対象が異性カップルに限定されている。 2019/12/16
  • 第34回 「コネ」による官僚の人事決定とその働きぶりへの影響――大英帝国、植民地総督に学ぶ / 工藤 友哉 官僚の働きぶりが国家の能力を決める。とすれば、官僚に適切な誘因を与えることは重要だ。しかし、昇格審査、配属決めといった場面で、学閥や縁戚関係などの「コネ」に基づく人事決定が行われることも多い。それ自体は必ずしも悪ではない。近い関係にある上司は部下の能力や勤務状況について正確な情報をもつため、「コネ」が適材適所や適切な労務管理(例、さぼり防止)につながる可能性があるからだ。実際のところ、コネによる人事決定は官僚の働きぶりにどう影響しているのだろうか。この問いに取り組むのが本研究だ。 2019/12/02
  • 第33回 モラルに訴える――インドネシア、延滞債権回収実験とその効果 / 工藤 友哉 高齢者等へ座席を譲るよう「優先席」の表示が設置された公共の場所も多い。このようなモラル(道徳観)に訴えるメッセージには効果があるのだろうか。効果があれば、それを戦略的に利用できる政策の場は多くありそうだ。なぜならば、そもそも訴えるだけで、第三者が行動を監視する必要もないため、そうした政策にかかる金銭的な負担は少ないからだ。優先席表示とは異なるが、本論文はモラルに訴える社会実験を行い、その効果を測る。そのモラルとは「借りたお金は必ず返す」だ。 2019/11/18
  • 第32回 友達だけに「こっそり」やさしくしますか? 国際制度の本質 / 浜中 慎太郎 本研究の主張は「無差別的に見える貿易自由化プロジェクトの貿易効果が全体として微小なのは、それらが実際には特定国からの特定産品の輸入『のみ』が増加するように設計されているからである」というものである。つまり貿易自由化は、あからさまにならない形で「特定の友達の特定の利益を実現する」ようにデザインされている、という。 2019/11/01
  • 第31回 最低賃金引き上げの影響(その2)ハンガリーでは労働費用増の4分の3を消費者が負担したらしい / 伊藤 成朗 最低賃金規制は低所得者の生活を保障するための手段である。市場賃金があまりにも低いのであれば、生活保障のために上乗せすべきだろう、というのが最低賃金規制推奨の動機だ。当然、上乗せ分は誰かが負担しなければならない。給与は雇い主が支払う。ところが、支払っているからといって負担しているとは限らない。雇い主は賃金の上乗せ分を支払ってはいるが、製品の価格を上げて販売先に一部を負担させるかもしれない。 2019/10/16
  • 第30回 通信の高速化が雇用創出を促す―― アフリカ大陸への海底ケーブル敷設の事例 / 町北 朋洋 宿のロビーで空港までのバスを待ちながら、ぼんやり周囲を眺めていると、ヘッドホンの若者が一人、ノートパソコンで作業をしている。ここはエチオピアの首都アディスアベバだ。しばらくしてスーツを着た人がやってきて挨拶を交わした後、若者がスーツに画面を見せる。筆者も画面を盗み見る。カフェのホームページだ。ヒジャブにヘッドホンの彼女は自信たっぷりに、スーツの女に説明を行う。スーツはどうやらカフェの店主で、ホームページ作りを請け負った若者と仕上がりを確認していたのだろう。スーツは満足だろうか。バスが迎えに来た。 2019/10/01
  • 第29回 禁酒にコミットしますか? / 會田 剛史 発展途上国では、低所得労働者のアルコールの大量消費が珍しくない。過度の飲酒は生産性に悪影響を与えるだけでなく、近視眼的な意思決定に繋がって貯蓄や投資を妨げるために、貧困が深刻化しかねない。一方、行動経済学においては、自分の意思が弱いことを自覚している人に対しては、コミットメント(自分の行動を縛る具体的な仕組み)を提供することにより、望ましい行動に導けることがわかってきている。今回紹介するのは、禁酒へのコミットメントの機会を実験的に提供することで、その効果を検証した論文である。 2019/09/17
  • 第28回 最低賃金引き上げの影響(その1) アメリカでは雇用が減らないらしい / 伊藤 成朗 最低賃金は所得の低い労働者を助ける政策として多くの国で採用されている。貧困をなくすという目的に反対する人は少ないだろう。でも、企業の経営者ならば安易な最低賃金引き上げに疑問を呈するのではないか。スキルの低い人を雇う費用が高くなれば、経営が苦しくなり、そうした人たちを雇う意欲も失せてしまうからである。1990年代半ばまでの実証研究では、最低賃金引き上げは雇用を減らすという理解が大勢であった 。しかし、カードとクルーガー が1995年に雇用は減らないという推計結果を示すと論争が起こる。今回紹介するCDLZ論文は雇用減らない派への強力な援護射撃である。 2019/09/02
  • 第27回 消費者すべてが税務調査官だったら――ブラジル、サンパウロ州の脱税防止策 / 工藤 友哉 政府にとって申告納税制度の悩みの種は、虚偽申告による脱税行為だ。その抑制と摘発のために税務調査が存在するが、適切な人材や財源が不足しがちな発展途上国で、かつ税務調査官による汚職の可能性が存在する場合には、その有効性に限界がある。税務調査以外に効果的な脱税防止策はないだろうか? その答えの一つが、本論文が分析するブラジル、サンパウロ州の税金還付制度だ。 2019/08/16
  • 第26回 景気と経済成長が出生率に与える影響 / 橋口 善浩 1960年代、途上国の人口は先進国の3倍以上の速さで増加していた。その急速な人口成長は途上国にさらなる食糧難と困窮を招くおそれがあった。いわゆる「マルサスの罠」である。しかし、途上国の出生率はその後、半分に低下し、一人当たりGDPは2倍になった。経済成長と出生率の間にはどのような関係があるのか。今回紹介する研究は、途上国における短期的な景気変動および長期的な経済成長率が出生率に与える影響を実証的に分析したものである。 2019/08/01
  • 第25回 なぜ経済抗議運動に参加するのか――2010年代アフリカ諸国の分析 / 間 寧 2010年代前半、アフリカにおける抗議運動の年間発生件数は2000年に比べて5倍に増えた。これら抗議運動の半分以上は経済状況の改善を求める運動で、イデオロギー的抗議運動や体制転換を求める抗議運動とは性格を異にする。本論文は、なぜ人々が経済抗議運動に参加するのかを個人の損得勘定と国家制度の両面から解明する。 2019/07/16
  • 第24回 信頼できる国はどこですか? / 浜中 慎太郎 本研究の中心テーマは「どのような国々の間で機密情報のやり取りがなされるのであろうか」という問題である。機密情報を交換するには、相当の信頼感が求められる。著者たちは、「国内の法制度により国際協力の存在を説明することが可能である」という仮説を立て、それを定量的に検証した。 2019/07/01
  • 第23回 勤務地の希望を叶えて公務員のやる気を引き出す / 工藤 友哉 発展途上国の公務員の生産性を引き上げるのは難しい。財政及び制度面での制約があるため、給与が低い、成果報酬を柔軟に支払うことができないなど要因は様々だ。また、民間企業と異なり解雇リスクが低く、昇進は概ね年功序列で決まる場合も多いため、報酬増には彼らの「さぼり」や「副業」を防ぐ効果がないことを示唆する既存研究もある。では、勤務地の希望を叶えることで彼らの生産性を高められないだろうか。本論文の著者らはパキスタン政府と協力した社会実験を行い、この問いに答える。 2019/06/17
  • 第22回 農業技術普及のキーパーソンは「普通の人」 / 會田 剛史 高い効果が見込まれる農業技術をいかに効率的に普及させられるか。これは開発経済学における重要な課題の一つである。これまでの研究によれば、多くの農民はそもそも新しい技術の導入には慎重であるため、すでにその技術を導入した近隣の農家の経験から学ぶこと(社会的学習)の重要性が指摘されてきた。本研究は、「誰が技術を伝えるか」という技術伝達者のタイプと「普及にインセンティブを与えるとどうなるのか」という経済的動機付けの効果の2点に注目して、この社会的学習を促進するための方法を検証したものである。 2019/06/03
  • 第21回 貧困層が貯蓄を増やすには?――社会的紐帯と評判 / 牧野 百恵 貧困層はなぜ貯蓄できないのか。単に貧しいからというだけではなく、フォーマルな貯蓄サービスにアクセスしづらく、またコミットメントの機会がないという可能性が開発経済学者の注目を集めてきた。それではコミットメントの機会はどのように得られるのだろうか。コミットメントを促すチャネルとして、本研究は評判に着目する。 2019/05/16
  • 第20回 産まれる前からの格差――胎内ショックの影響 / 伊藤 成朗 母胎への過度のストレスは胎児の発達に問題を引き起こすので避けるべき、ということはよく知られている。所得が低いほど胎内ショックの影響を受けやすければ、子どもは産まれる前から所得を得るうえで不利になり、世代を超えた所得格差継続の一因となる。本論文でパッソンとロシン・スレーターは、ショックが子どもの精神障害を引き起こし格差が続く可能性を示している。 2019/05/07
  • 第19回 婚資の慣習は女子教育を引き上げるか / 牧野 百恵 サブサハラアフリカや東南アジアの一部では、婚姻時に花婿側が花嫁側に送る婚資の慣習がみられる。婚資とは、結婚市場で決定される花嫁の価格であり、それは女性に対する不当な扱いを助長させるとして、廃止すべきという政策論争がある。実際、ケニアやウガンダではそれぞれ2012年、2015年に、婚資は法律で禁止された。 2019/04/16
  • 第18回 いつ、どこで「国家」は生まれるか?――コンゴ戦争と定住武装集団による「建国」 / 工藤 友哉 警察や軍隊に代表される独占的暴力の保有、課税、および納税者財産の保護(治安維持)が「国家」であることの条件ならば、いつ、どこで「国家」は生まれるのか? 本論文によれば、税収が期待できる時、そして効果的に課税できる場所に「国家」が誕生する。 2019/04/01
  • 第17回 保険加入率を高めるための発想の転換 / 會田 剛史 発展途上国の小規模農家は、天候不順などの様々なリスクにさらされており、その損失をカバーする作物保険の効果は大きいはずだが、加入率は低いことが知られている。では、どうすれば加入率を高めることができるだろうか?今回紹介するのは、この問題をシンプルかつ大胆に捉え直し、その発想の威力を実験した研究だ。 2019/03/18
  • 第16回 先読みして行動していますか?――米連邦議会上院議員の投票行動とその戦略性 / 工藤 友哉 伝統的な経済学は、戦略的な行動をとる個人を前提とする。しかし、行動・実験経済学者による実験室実験ではこの前提と矛盾する結果がしばしば得られる。人は皆、戦略的に行動しているだろうか? 先進国・途上国問わず、経済学に基づく政策議論の基礎となるこの重要な問いに現実社会のデータを用いて取り組む稀な研究が、米連邦議会上院議員の投票行動を分析する本論文だ。 2019/03/01
  • 第15回 妻(夫)がどれだけお金を使っているか、ついでに二人の「愛」も測ります / 伊藤 成朗 貧困とは突き詰めれば個人ごとの現象だが、消費を個人ごとに調べることは稀である。昨日の食事を誰がどれだけ食べたか、家計で共通の光熱費などをどうやって個人に割り振るか、質問されても明確に答えられないからだ。でも、諦める必要はない。個人消費を正しく当てることはできないにしても、個人消費額が取り得る「範囲」を計算する方法がある。 2019/02/18
  • 第14回 貧困者向け雇用政策を問い直す / 牧野 百恵 途上国の農村に住む人々の消費平準化の手段として、都市への出稼ぎ(短期的な労働移住)は有効な方法と考えられてきた。また、消費の変動を小さくするというリスク回避のためだけでなく、消費水準を底上げする目的でも、出稼ぎは大変有効だと考えられている。例えばインド農村では、全世帯の20%が少なくとも一人以上の出稼ぎ者を都市へ送り出し、その収入は世帯収入の半分以上を占めるという。都市への労働移住が貧困削減、リスク削減に役立つことは明らかに思えるのに、実際に農村から都市へ長期的に移住する者は稀であるし、短期的な出稼ぎ者ですら期待されるほど多くない。開発経済学者はこの現象を謎とみなし、解明すべく関心を寄せてきた。 2019/02/01
  • 第13回 その選択、最適ですか?――通勤・通学路とロンドン地下鉄ストライキが示す習慣の合理性 / 工藤 友哉 食事、睡眠時間、通勤手段など、多くの人にとって生活習慣を変えるのは難しい。なぜか。ある経済学者の答えはこうだ。「人間は合理的で最適な選択をする。その結果が今の習慣だ。既に最適なのだから変わるはずがない。」この答えに疑問を呈するのが本論文だ。 2019/01/16
  • 第12回 長期志向の起源は農業にあり / 會田 剛史 将来のために、今我慢する。今回紹介する論文は、こんな考え方の起源を農業に求めるという壮大な研究である。 2019/01/07
  • 第11回 飲酒による早期児童発達障害と格差の継続――やってはいけない実験を探す / 伊藤 成朗 産科医が妊婦にお酒を飲まないようにと注意するのは、アルコールが胎児の発達を妨げる可能性があるためだ。そのエビデンスは実はあまりない。質の高いエビデンスを得るには人間を対象に実験する必要があるが、妊婦にお酒を飲ませて余計なリスクを与える実験は、被験者によほどのメリットがない限り、倫理的に許されないからである。 2018/12/17
  • 第10回 妻の財産権の保障がHIV感染率を引き下げるのか / 牧野 百恵 サブサハラアフリカ(以下アフリカ)諸国でみられる、男性より女性のHIV感染者の方が多いという現象は、世界でも特殊であり、HIV/AIDSの「女性化(feminization)」と呼ばれている。アフリカ諸国でこのような現象が見られるのはなぜか? 本研究は、その理由の一つとして家庭内交渉力に注目し、妻の財産権の保障が避妊方法に関する妻の交渉力を引き上げ、HIV感染率を下げることを実証している。妻の財産権の保障の程度は、法体系の由来――コモン・ローか大陸法か――によって異なる。これまでの途上国に関する研究では、大陸法よりコモン・ロー由来の法制度の方が、一般的に契約の強制執行や財産権の保障に関して優れており、経済開発につながることが示されてきた。しかし、こと妻の財産権の保障、具体的には、家事労働の経済的評価、共有財産権の保障、離婚時の妻の財産権(折半)の保障、の3点については大陸法の方が優れており、本研究によればその違いが女性のHIV感染率の違いにつながっているという。 2018/12/03
  • 第9回 科学の世界の「えこひいき」――社会的紐帯とエリート研究者の選出 / 工藤 友哉 同郷者に親近感を抱く人は多い。税金で賄われる科学研究費が同郷という理由だけで研究者に配分されていたら、どう感じるだろうか。本論文によれば、科学・技術の発展、ひいては生活の質の向上のために使われるべき研究資金の配分額が同郷出身者への「えこひいき」の影響を受けている可能性がある。 2018/11/16
  • 第8回 労働移動の障壁がなくなれば一国の生産性はどの程度向上するのか / 橋口 善浩 もし労働者が国内を自由に移動し、自らの能力を最大限発揮できる場所で働くことができれば、一国全体の生産性はどの程度改善されるのだろうか。今回紹介する研究はこの問題に対して一つの答えを提供する。 2018/11/01
  • 第7回 絶対的貧困線を真面目に測り直す――1日1.9ドルではない / 伊藤 成朗 貧しいとはどういう状態なのだろう。知識のある人に尋ねれば「世界銀行の基準だと一日1.9ドル(OECDレートで約190円)以下の生活」を指すよと教えてくれる。190円で生活できるの?と素直な人なら驚いて問い直すだろう。そして、世界銀行はどうやって190円に決めたの?という疑問も湧く。 2018/10/15
  • 第6回 途上国の労働市場で紹介が頻繁に利用されるのはなぜか / 牧野 百恵 バングラデシュの縫製工場では、他の労働者の紹介によって雇用される労働者が35%を占めており、そのうちの65%は親戚、しかもその70%は拡大家族(住居をともにする叔父叔母やイトコといった近い親戚)間の紹介である。途上国一般において、労働者を雇う際にこのような紹介が頻繁に利用されている。縁故採用と同様、紹介される労働者の能力は平均して低いとの指摘があるにもかかわらず、雇用者がこのようなインフォーマルな紹介制度を利用するのはなぜか。途上国では、ハローワークのような公的な就労支援制度やウェブサイトや掲示板で公表される求人情報に応じるかたちでのフォーマルな就職活動は主流ではない。本研究は、他の労働者からの紹介があることで、紹介された労働者のモラルハザード問題を軽減できるという契約理論モデルを構築し、それにより導かれる仮説――紹介者と被紹介者の賃金に正の相関があり、両者の賃金が低い場合ほど相関が強い、被紹介者は紹介がない労働者より賃金上昇率が高いなど――をバングラデシュのデータを用いて実証している。本研究の強みは、紹介者と被紹介者の月ごとの賃金、勤務先、職種などを回顧パネルデータとして独自に収集・作成したことによって、同一工場内の紹介の存在、その影響を直接に把握できる点にある。 2018/10/01
  • 第5回 しつけは誰が?――自然実験としての王国建設とその帰結 / 工藤 友哉 社会・経済活動を円滑に進めるうえでルールを守ることは欠かせない。しかし、約束事を守るよう子供をしつけることは、しばしば親にとっては骨が折れる。誰かが代わりに子供をしつけてくれるならばそうしたい。今回紹介する論文では、その誰かが「国家」である。 2018/09/19
  • 第4回 後退する民主主義 / 川中 豪 世界各国で民主主義が後退しているという議論をメディアの論説でかなり頻繁に目にするようになった。民主主義の後退とは、民主的な手続き、すなわち選挙によって権力を掌握した政治家が、民主主義制度を支える三権分立をないがしろにし、国民の「敵」として野党やメディアを攻撃し、自らの権力保持と政策実施に手段を厭わない状況と理解されている。ベネズエラのチャベスやトルコのエルドアン、そして何よりアメリカのトランプといったかなり強烈な個性を持つリーダーたちの登場が、人々の興味を引いているのであろう。 2018/07/18
  • 第3回 子供支援で希望を育む / 會田 剛史 2017年のノーベル経済学賞は行動経済学への貢献に対して、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授に授与された。心理学の知見に基づいて、伝統的経済学が前提とする人間観(ホモ・エコノミクス)の見直しを迫る行動経済学は、経済学のほぼ全ての領域に影響を与えているといっても過言ではない。開発経済学についてはこの影響が特に顕著であり、近年では貧困状態から抜け出すための希望・願望といった心理的要因の重要性についての研究が進んでいる。 2018/01/19
  • 第2回 男児選好はインドの子供たちの発育阻害を説明できるか / 牧野 百恵 5歳以下の子供たちの発育阻害は、性別・月齢をもとに標準化した身長(Height for Age(HFA)――Zスコアと呼ぶ)をもとに判断するのが一般的である。HFA-Zスコアは長期的な栄養状態を反映するとされ、ユニセフの定義によると、HFA-Zスコアが2標準偏差を下回ると発育阻害とみなされる。以下では読みやすさを優先して、HFA-Zスコアは身長と言い換えることにしよう。 2017/11/01
  • 第1回 途上国ではなぜ加齢に伴う賃金上昇が小さいのか? / 町北 朋洋 どの国でも賃金は経験を積むごとに上昇するのだろうか。ここで紹介する研究は生涯にわたる賃金上昇を国際比較しようという野趣あふれるものだ。最貧国から先進国まで幅広い所得グループの国を選び、各国の横断面データを複数年分用いて、労働市場での経験年数が上昇するとともに賃金がどれくらい上昇するかを測定した。本研究は賃金プロファイルの傾きを先進国と途上国で比べ、そこに違いがあるのか、違いがあるとしたらそれは人的資本理論やサーチ理論が示唆する仮説で説明できるかを探究しようというシンプルなものだ。 2017/11/01