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コラム

アジアトイレ紀行

アジア各地のトイレ事情や文化について、個人的な体験から社会問題まで、専門家がさまざまな切り口で紹介するエッセー。トイレに関する各国語講座付き。

  • 第7回 イラン――洗え、洗え、の爽やかトイレ / 岩﨑 葉子 イランのトイレに何かこれといった特徴があるかと問われれば、ない、と言ってよい。便器はいわゆる和式(イランでは「イラン式」と呼ばれる)と洋式とがあり、その形状もしょせん人体に合わせて作られている以上、さほど奇抜なデザインがあるわけでもない。とはいえその使われ方には多少の差異がある。 2024/02/06
  • 第6回 ベトナム――奥深き農村トイレ文化 / 荒神 衣美 ベトナムの公衆トイレは、かねてより外国人観光客からの評判が悪かった。状況を改善するため、政府は観光客用トイレの設備・衛生基準を定めたり、基準に違反したトイレの設置者に罰金を課したりと、一応の対策を講じてきた。また、最近ではホーチミン市で全自動公衆トイレが導入されるという画期的な動きも出てきている。しかし、問題解決への道のりはまだまだ長そうだ。ベトナムの公衆トイレの設置数は最大都市であるホーチミン市やハノイ市においてすら諸外国の主要都市に比べて著しく少なく、また「とんでもなく汚い」という外国人観光客からの悪評も根強い。 2024/01/09
  • 第5回 トルコ──いにしえのトイレに思いを馳せつつウォシュレットの原型を体感せよ / 今井 宏平 外国とトイレの関係について初めて考えたのは、小学校6年生か中学1年生の頃に当時(現在も)好きだった『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』でイチ押しだった登場人物、ジャン・ピエール・ポルナレフがトイレでさまざまなトラブルに見舞われるシーンを読んだ時であった。筆者の最初の海外渡航は大学1年時の米国であったが、米国=先進国と思い込んでいたのでそれほどトイレを気にすることはなかった。しかし、大学4年時に初めてトルコに旅行する際はどのようなトイレが待ち受けているのかどぎまぎした。幸運にもトルコのトイレは予想していたよりも綺麗であった。 2023/12/11
  • 第4回 韓国──紙、流すべきか、流さざるべきか / 安倍 誠 1980年代末だったか、韓国映画で主人公が用を足すシーンを観て、違和感を覚えたことがある。主人公はトイレで水を流してから、お尻を拭いたのだ。1990年代に入って仕事で韓国に頻繁に行き来するようになって、その理由を理解した。トイレの個室に入ると、便器の横には必ずゴミ箱があって、使用済みのトイレットペーパーは便器に流さずにそこに捨てることになっていた。確かに、これなら流してから拭いてもおかしくはない。 2023/11/20
  • 第3回 インドネシア――日本を超える?隙のない清潔なトイレ / 土佐 美菜実 インドネシアではトイレのことをKamar kecilと言い、直訳すると「小部屋」という意味である。一方、隣国のマレーシアではトイレはTandasという単語が一般的に使われている。インドネシア語とマレーシア語は起源を同じくする言語であり、文法や単語において多くの共通点を持ち、片方の言語を理解していればもう片方がだいたいわかるくらいの親和性を持っている。にもかかわらず、両国ではトイレというこの重要単語については何の共通事項もなく、全く異なる単語が常用されており、そのことを初めて知った時は少々驚いた。 2023/10/10
  • 第2回 日本――トイレではない。それは、便所。 / 熊谷 聡 いまや、日本ではトイレは家の中で一番落ち着く場所の一つとなっている。昔から「トイレで新聞を読むサラリーマン」はマンガやテレビでよく見かけたし、スマホ時代の今なら「トイレにこもってスマホ」というのは普通のことだと思う。あるアンケートではトイレは自宅内で居心地の良い場所ランキングで6位(7.4%)となり、書斎の6.1%を上回った。 2023/08/17
  • 第1回 中国の「トイレ革命」 / 山田 七絵 シンガポールに拠点を置く国際NPO、WTO(World Toilet Organization、世界トイレ機関)の試算によれば、人は1年に平均2500回トイレに行き、一生のうちなんと約3年間をトイレで過ごすという(シム 2019)。人間の生活のなかでこれほど長い時間が費やされる行為が、人間の行動や社会を研究対象とする社会科学や人文科学分野において重要でないはずがない。にもかかわらず、食や衣服に関する豊富な研究の蓄積に比べて、トイレや排せつに関するものは非常に少ない。日常会話のなかでも、私たちは(少なくともオトナは)「臭いものには蓋」とばかりにトイレや排せつにまつわる話題には口をつぐみがちである。 2023/06/19