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コラム
第79回 国際的な監視圧力は製造業の労働環境を改善するか? バングラデシュのラナ・プラザ崩壊のその後
Does international scrutiny improve workplace safety in the manufacturing sector? A case from the Rana Plaza collapse in Bangladesh
PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/0002000857
2024年2月
(5,195字)
今回紹介する研究
L. Bossavie, Y. Cho, & R. Heath, 2023. “The effects of international scrutiny on manufacturing workers: Evidence from the Rana Plaza collapse in Bangladesh,” Journal of Development Economics, Vol.163, 103107.
2013年4月24日。バングラデシュの首都ダッカにある、多数の縫製工場が入居していたビル「ラナ・プラザ」が崩壊した。1000人以上が死亡し、2500人以上が怪我を負うという、史上稀にみる大惨事であった。この事故をきっかけに、同国における既製服縫製産業の労働者が直面していた劣悪な労働環境に対して、国際社会の視線が一挙に注がれることとなり、公的な政策だけでなく、海を越えた先進国の消費地からの圧力によって、産業界の自主的な変革が数多く実施された。では、変革によって実際に賃金や労働環境は改善されたのだろうか? 今回紹介する研究によれば、その改善は劇的だったようだ。
既製服縫製産業の労働環境──ラナ・プラザの崩壊前後
ラナ・プラザ崩壊以前、火災や重大事故などに関して、いくらかの法制度があったものの、その機能は限定的だったとされる。管掌当局は専門性を欠き、実効性も貧弱だった。一方で、産業は急速に拡大し、価格競争や納期の厳しさなどを背景に、大工場は小規模工場への下請けを増加させた。規制の影響が及ぶ大工場と違って、下請け工場は小規模で、産業利用が想定されていないにもかかわらずいくつもの小工場が雑居する建物に入ることが多かった。ラナ・プラザは商業利用が認められていたものの、違法な改築が行われ、事故当時には5つもの縫製工場が入居していたことが明らかになっている。
ラナ・プラザ崩壊以後、ひとつには公的な取り組みが行われた。バングラデシュ政府に加えてヨーロッパ委員会、国際労働機関の支援のもと、バングラデシュ・サステナブル・コンパクトが労働基準の向上と責任あるビジネス活動の推進を図った。産業界に加えて、労働者や貿易協会、その他の主要なステークホルダーもこの活動を支援したとされる。
平行して、欧州や米国を中心とする既製服の小売企業により、2つの業界的な協定が発足した(Accord on Fire and Building Safety in BangladeshとAlliance for Bangladesh Worker Safety)。いずれも、施設と火災の安全性や労働環境を評価するための、自主的で一定程度の拘束力のある取り組みであった。輸出志向の既製服縫製産業の工場には監査が入り、基準を満たさない場合には改善が勧告された。輸出先の小売企業をはじめとする国際社会から圧力を受けつつ行われたこうした改善は、一部を除いて、工場自らの投資によって実現したとされている。
もうひとつ重要な改革は、最低賃金である。ラナ・プラザ崩壊以前から、バングラデシュの既製服縫製産業では、経験やスキルによって7段階の最低賃金が設定されていた。崩壊事件ののち、労働者の抗議活動もあり、最も経験が少ない低スキル労働者の賃金でみると、崩壊事件以前の一月あたり3000バングラデシュタカ(BDT)から同5300BDTへと増加した。
経済学理論に基づく予測
労働経済学には、補償的賃金差(英語でcompensating wage differentials)という考え方がある。平たく言えば、労働環境の悪い仕事(日本ではいわゆる3K──キツイ、キタナイ、キケン──などが該当するだろう)では、その環境の悪さを補償するように賃金率が高く設定されるという仮説である。もし、ラナ・プラザ崩壊以前のバングラデシュの既製服縫製産業において、労働環境の悪さに対応する形で補償的賃金差が存在していたなら、事故後の労働環境の改善は、同時に賃金率の低下を招いてしまう可能性がある。
他方、補償的賃金差が存在するにはいくつかの前提がある。最も重要な前提は、労働市場が完全競争的であるという仮定である。完全競争的な労働市場では、あらゆる経済主体が価格受容者となり、賃金率は求人数(=需要)と求職者(=供給)のバランスで決まる。しかし、労働市場が完全競争的だと、なぜ労働環境の悪い仕事の賃金率が上がるのだろうか? 仮に、3Kの仕事とクリーンな仕事が同じ賃金率であったとしよう。求職者からすれば、どちらの仕事についても労働の対価は同じなのに、3Kの仕事は疲れるし、汚れるし、ケガのリスクも高いとなれば、クリーンな仕事に比べて応募しようと思う者が少なくなるはずだ。このとき、3Kの仕事の雇用者にとっては、必要な人員が不足し、次に雇おうとする労働者の価値が高くなる圧力が働く。つまり、3Kの労働市場では供給曲線が左にシフトするために、クリーンな仕事と同じ賃金率の下では超過需要が発生するわけだ。結果、3Kの仕事の労働市場で均衡が達成されるときには、クリーンな仕事よりも高い賃金率になる、と想定されるのである。
翻ってバングラデシュの既製服縫製産業である。縫製工の労働市場は果たして競争的だったのだろうか? 先行研究によれば、企業が寡占的な労働需要者であった可能性が指摘されている。つまり、労働市場の競争は不完全で、企業は少しでも多くの利潤を獲得しようと、賃金率を完全競争均衡よりも低い水準に設定していたかもしれない。その場合、事故ののちに国際社会の圧力が高まったとしても、企業が賃金率を下げることなく労働環境を改善する余地があった可能性がある。それどころか、労働環境の改善と平行して、もともと低すぎた賃金率が上昇した可能性すらある。
実際はどうだったのか? こればかりはデータを見ないことにはわからない。本研究が解明しようとする問いは、まさにこの点である。
データと分析方法
Bossavieらの分析には、バングラデシュの労働力調査(Labor Force Survey)のデータが用いられている。2003年から2016年までの調査データが用いられ、15歳から64歳のすべての個人が対象となり、勤労状況から賃金率、労働時間、産業などを細かく調べているという。このデータをもとに、時間当たり賃金率(2010年価格基準)と、労働環境のインデックスを作成している。インデックスは、病欠制度、産休制度、労働契約書、業務に起因する傷病、危険な労働環境、嫌がらせ等の有無を統合した指標として作られている。
ラナ・プラザ崩壊後の国際社会の監視圧力が賃金率や労働環境にもたらした因果効果の解明にあたっては、経済学の実証分析で多用される差の差法(difference-in-differences)の拡張のひとつ、三重差分法(triple differences)が用いられている。基本的な考え方は、影響を受けたグループと受けていないグループを各時点で定義したのち、各グループがある介入の前後でたどった変化を比較するというものである。本研究は、縫製産業とそれ以外の製造業の労働者の労働環境が、ラナ・プラザ崩壊の前後でどのように変化したかを比較している。しかし、バングラデシュにおいて縫製産業は極めて重要な位置を占めており、その他の製造業と比較可能かどうかが疑わしい。そこで著者たちは、もうひとつのグループ概念を付け加えて、分析の信憑性を高めようとした。ラナ・プラザ崩壊後の国際社会の監視圧力がもたらす影響は、外国への輸出を念頭に置いて生産活動を行っていた地域で大きく、そうでない地域では小さいはずである。こう考えた著者たちは、既製服輸出の大部分を占めていた4つのディストリクト(ダッカ、ガジプル、ナラヤンガンジ、チッタゴン)を、国際的な監視圧力が大きかったはずの対象地域と定めた(他のすべてのディストリクトは非対象地域である)。最終的に、2つの製造業群・2つの地域群からなる4つのグループにおいて、ラナ・プラザ崩壊の前後でどのような賃金・労働環境の変化があったのかを、データから洗い出すことにしたのである。
分析結果
主たる分析結果は、賃金率は上昇し、労働環境は劇的に改善した、というものであった。具体的には、対象地域の縫製産業の労働者の賃金率は、他の地域や他の産業の賃金率の推移よりも約10%高い上昇をみせ、労働環境インデックスは0.8標準偏差分も上昇したというのである。標準偏差単位の変化は、なじみの薄い読者もいるかもしれないが、職場の労働環境に偏差値があったとすれば、0.8標準偏差の変化は偏差値50から58まで上昇するのに匹敵する。学校受験で考えれば、偏差値8の変化は志望校選択を変えるような変化ともなり得ることを考えると、なかなかの変化であることがおわかりいただけるだろう。特に労働環境の改善は年を追うごとに大きくなるような傾向も見受けられた。
三重差分法によって得られた上記の芳しい結果だが、分析方法が依って立つ仮定が成り立っていなければ、因果効果と解釈することはできない。ラナ・プラザ崩壊ではない他の出来事が、たまたま本研究の対象地域や縫製産業の労働環境を変化させてしまったという可能性も、否定しきれない。著者らは、これら以外にも多くの可能性を検討しつつ、最終的にはラナ・プラザ崩壊後の国際的な圧力によって起きた、バングラデシュの既製服縫製産業の工場による自主的な改善努力が賃金上昇と労働環境改善をもたらしたようだと結論している。詳細は割愛するが、どのような確認作業を通じて結論を導いているのか、エッセンスを紹介したい。
三重差分法においては、差の差法と同様に、平行トレンドの仮定が何よりもまず重要である。平行トレンドの仮定とは、もしラナ・プラザが崩壊しなかったとしたら、実際の崩壊以前はもとより、それ以降のパラレルワールドにおいても、対象地域と他の地域で、また既製服縫製産業と他の製造業で、賃金や労働環境の推移が類似しているはずだ、という反実仮想的な思考実験である。加えて、事故直後の時点では平行トレンドの仮定が成り立っていたとしても、何カ月あるいは何年もたってしまうと、産業間・地域間での労働需給が調整されてしまう可能性がある。もともと影響を受けていなかった地域・産業であっても、対象地域の縫製産業の労働環境の変化の影響を受けてしまうこととなり、産業間・地域間でグループを定義した比較が不適当になるかもしれない。本研究のデータは、事故前数年分をカバーしており、各グループの比較的長期的な推移を確認することで、少なくとも事故以前は平行トレンドが成り立っていそうだという結果を得ており、パラレルワールドでも同様だったと推論するのに矛盾がないことを示している。
ラナ・プラザ崩壊ではないほかの出来事が、たまたま同時期に発生し、対象地域の縫製産業の労働環境を変化させてしまった、という可能性はどうか。その具体的な事例を著者たちは挙げてはいない──おそらく、すべての可能性を列挙することもできないし、あらゆる出来事をすべて確認することもできないためだろう。しかし、バングラデシュ以外の主な既製服輸出国の世界シェアの推移を確認するなど、いくつか関連度の高そうな事例を検討して、そのような可能性が高くはなさそうだと論じている。
研究の貢献と示唆
本研究の貢献は多岐にわたる。まず、ラナ・プラザ崩壊後のバングラデシュの縫製産業の労働環境に関する産業規模の実証研究は、これまで僅少であった。また、競争的な労働市場においては、労働環境を改善したときに補償的賃金差が失われ、賃金率が下がってしまうかもしれないという命題に対して、雇用者に買い手市場的な力(monopsony power)があるような状況では、労働環境改善に伴って賃金が上昇することもあるという結果も、労働経済学的に興味深い。さらに、輸出先の先進国の事情が、輸出元の低所得国の輸出産業の労働者に与える影響を分析する意味でも、新しい結果を提供している。
本研究は、こうした文脈においてどのような示唆をもつだろうか? 崩壊事故を契機に労働条件が改善したという発見は、それ自体が重要であるばかりでなく、労働市場の競争が不完全であったがために必ずしも賃金率は低下せず、むしろ向上したという事実と合わせて、労働者の厚生が大幅に向上した可能性を示唆している。バングラデシュの既製服縫製産業の重要性を鑑みれば、労働者の家族をはじめとする多くの人の生活にまで影響したとしてもおかしくはない。先進国にあって、生産物を消費する側にあっても、国際的な圧力の一部となり、低所得国の労働環境改善に貢献することができるかもしれないのである。
興味がある読者は、実業界における取り組みなどに関するジェトロの関連記事もぜひご覧ください。「アジアのサプライチェーンにおける人権尊重の取り組みと課題(6) 縫製工場での安全基準の今:日系企業の取り組みと課題(バングラデシュ)」(2021年)
著者プロフィール
永島優(ながしままさる) アジア経済研究所 開発研究センター、ミクロ経済分析グループ研究員。博士(開発経済学)。専門は開発経済学、応用ミクロ計量経済学、人的資本投資。主な著作に“Female Education and Brideprice: Evidence from Primary Education Reform in Uganda.”(山内慎子氏と共著、The World Bank Economic Review, 37(4), 2023)、“Pregnant in Haste? The Impact of Foetus Loss on Birth Spacing and the Role of Subjective Probabilistic Beliefs.”(山内慎子氏と共著、The Review of Economics of the Household, 21, 2023)など。
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