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コラム

国際移動:アフターコロナをみすえて

2020年にパンデミックとして世界中に流行した新型コロナウイルスですが、すでに2年以上が経過し、日常生活に組み込まれつつあります。そうしたなかで再び動き始めた人々の国際移動の状況を紹介します。

  • 第6回 フィリピン——移民労働者省の発足は変化をもたらすか / 石井 正子 2022年2月、世界有数の移民労働者送り出し国フィリピンで、新たに移民労働者省(Department of Migrant Workers)が発足した。「ウクライナ情勢が不透明ななか、(クルーズ)産業における我々の船員に対する需要は増え続けるでしょう」アフターコロナをみすえてそう述べたのは、同年6月に発足したばかりのフェルディナンド・マルコスJr.政権により長官に任命されたスサン・オプルである。ウクライナは世界第6位の船員供給国である。しかし、戦争でその供給は伸び悩む可能性が高い。フィリピンは海運従事者数では押しも押されもせぬ第1位。世界の船乗りの5人に1人はフィリピン人だ。 2023/01/25
  • 第5回 アフターコロナのベトナム人技能実習生――「ニューノーマル」へ移行できるか / 石塚 二葉 日本では、この10年で技能実習生と呼ばれる外国人労働者が急増し、全国各地で広範な経済活動に組み込まれている。彼らの存在、そして、現在その多くがベトナム人であることなどは、コロナ禍以前から徐々に知られるようになっていた。しかし、技能実習生の存在が広く世間に印象づけられたのは、コロナ禍による国際移動の制限の下で彼らの多くが帰国困難に陥り、職や住居を失って路頭に迷ったり、犯罪に手を染めたりする様子が繰り返しメディアで伝えられたことによる。そのようななかで、国内でも技能実習生の受入れにかかる制度見直しの機運が高まっている。コロナ禍によって顕在化した問題の多くは、根本的に実習生の送出し・受入れの制度とその運用に関わっていると考えられるからである。 2022/12/28
  • 第4回 中国――ゼロコロナ政策と労働者の国際移動 / 山口 真美 2019年末、世界に先駆けて新型コロナウイルス感染症の発症例が確認された中国だが、2022年の感染状況は4月に新規感染者数2万人超でピークに達し、9月29日現在156人と、諸外国に比べ低いレベルに抑えられている。なお、中国はゼロコロナ政策と呼ばれる非常に厳しい感染抑制策を実施している点で特徴的であり、今年4~5月の上海のロックダウン(都市封鎖)時には生産現場と労働者も大きな制限を受けたことは日本でも大きく報道された。 2022/11/10
  • 第3回 国境を越える看護師と医療体制確保との両立――インドのジレンマ / 辻田 祐子 今日も世界中のいたるところで新型コロナウイルス感染症拡大防止や患者の治療に当たる医療従事者の奮闘が続いている。しかし、ストレスや燃え尽き症候群による退職、休職、時短勤務への切り替えなどにより、多くの国では医療従事者の不足が深刻化している。そこで、資格を持ちながら医療現場を離れている人材への復職の呼びかけのほか、先進国では外国人の採用が行われてきた。具体的には、海外での新規採用、自国で就労する外国人医療従事者への就労許可や滞在資格の自動延長、本来就労国での資格が必要でも外国の免許を一時的に認めるなどの措置である(OECD 2020)。以下、医療従事者のなかでも最大のシェアを占める看護師に絞って話を進めよう。 2022/10/03
  • 第2回 マラウイ――コロナ禍での南アフリカからの移民の帰国 / 佐藤 千鶴子 新型コロナウィルス感染症は南アフリカに大きな被害をもたらした。同国はアフリカ大陸で最も多くの感染者と死亡者を出したのみならず、感染拡大を防ぐために2020年3月末から5月末まで実施された厳格な行動制限により220万の雇用が失われるなど、経済的にも大きな打撃を受けた。経済悪化の影響は当然ながら移民労働者にも及び、南アフリカに多くの移民労働者を輩出しているマラウイも大きな影響を受けた。報道によれば、2020年3月末から12月末までの9カ月間に1万人のマラウイ人が南アフリカから帰国したという(Masina 2021)1。国境が再開した後の2021年にはおそらくこの数を上回る人びとが帰国したと考えられる。 2022/09/14
  • 第1回 エチオピア――サウジアラビアからの帰還事業再開から見えたもの / 児玉 由佳 エチオピアにおける新型コロナウイルス感染者数は、2021年12月をピークに減少し、2022年7月21日には新規感染者数が99人と比較的低いレベルとなっている。新たな変異種による感染再拡大の可能性はあるものの、とりあえず感染状況は沈静化しているといえよう。これによって人々の動きも活発になると思われるが、エチオピアの場合は、サウジアラビアからの強制帰還者の受け入れという形で人の国際移動が再び動き出した。 2022/08/01