出版物・レポート
アジア経済研究所は、情報公開と世界への知的貢献を推進するため、2020年から研究成果のオンラインでの無償公開を進めています。オープンアクセス方針についてはこちらをご覧ください。
新刊
英文単行書の新刊情報は、New booksをご覧ください。
ろう者と国家、教育の交差――アジア・アフリカ・南米における言語資本としての手話――
2026年3月発行 / ISBN978-4-8234-1338-4
世界の約7割は開発途上国である。どの国にもろう者がおり、そこには音声言語とは異なる手話がある。しかし途上国の手話についての研究は驚くほど少なく、その実態も分かっていない。本書は、途上国各国の手話の歴史と現状、言語政策との関わりを論じ、ろう者の社会や手話がマジョリティの社会や国家と教育を通じてどういった関係にあるのかを問う。
森 壮也 編
タイの刑事司法制度とその動態
2026年3月発行 / ISBN978-4-258-04677-5
タイの近代的司法の発展は19世紀末に始まるが、現代の司法には1990年代の民主化期の制度改革が大きな影響を与えている。とくにタイでは2006年、2014年にクーデタが成功し、軍政が復活するなど近年は「民主主義の後退」が顕著となっている。政治過程における司法判断への影響も大きく、刑事司法のあり方が政治的な争点ともなってきた。
今泉 慎也 平井 佐和子 大友 有 著
エジプトの住宅政策――統治・開発・空間秩序――
2026年3月発行 / ISBN978-4-258-04675-1
本書は、2023~2024年度にアジア経済研究所で実施された個人研究「エジプトの新都市開発」の成果をまとめたものである。エジプトでは、2015年に発表された新行政首都(NAC)構想をはじめ、1970年代末以降、砂漠地帯での新都市開発が繰り返されてきた。過去の多くのプロジェクトが「失敗」と評されてきたにもかかわらず、なぜ歴代政権は新都市開発に固執し続けてきたのか。本書は、この素朴な疑問を出発点として、住宅政策を単なる福祉や都市計画としてではなく、人口配置や空間再編を通じて社会秩序を形成する「国家を形成する政策」として捉え直す。
土屋 一樹 著
ビジネスと人権――グローバルトレンドとアジア――
2025年12月発行 / ISBN978-4-258-04673-7
国家や企業の活動による人権侵害が世界的な問題になるにつれ注目されている「ビジネスと人権」。最大の課題は「ガバナンス・ギャップ」にある。国境を越える経済活動がもたらす人権への負の影響を、投資する先進国、投資される途上国ともに制御できていないのである。その解消をめざして創案された「ビジネスと人権に関する国連指導原則」は、2011年の成立を経て現在、いかに展開されているのか。本書では、政策の変化、人権と環境イシューの接近、条約化の進捗といったグローバルトレンドを追跡する。その上で、グローバルサウスと呼ばれ国際的な影響力を高める途上国、とくに東南アジアにおいて指導原則の理念がいかに実装されているのか、その実態を探る。「ビジネスと人権」研究は、さまざまなディシプリンとアプローチ、理論と政策と実務とが必要とされる。アカデミアはもちろん、政策立案者、企業、そして市民の多くの方々に読んでいただきたい。
山田 美和 編
ラージャパクサ一族体制の形成
2025年3月発行 / ISBN978-4-258-04670-6
スリランカでは、2005年に大統領に就任したマヒンダ・ラージャパクサとその一族が政治的な意思決定権を独占し、スリランカの民主主義は崩壊寸前と評された。途中で選挙に敗れ下野したものの、露骨な一族支配は2022年の反政府運動により辞任を余儀なくされるまで続いた。本書では、この特異な政治構造と展開に焦点を当て、スリランカ政治を理解するために多角的な分析を提供する。ラージャパクサ一族の権力基盤構築プロセス、彼らを取り巻く政治環境、権限を強化するために実施された憲法改正を検証する。さらに彼らの台頭を支えたシンハラ・ナショナリズムの役割や、選挙において決定的影響力を持つ、村に居住するシンハラ人の政治意識の変化、ラージャパクサ政権下の財政運営の特徴、そして同政権と中国との関係性について詳細に論考する。
荒井 悦代 編
