出版物・レポート
アジア経済研究所は、情報公開と世界への知的貢献を推進するため、2020年から研究成果のオンラインでの無償公開を進めています。オープンアクセス方針についてはこちらをご覧ください。
新刊
英文単行書の新刊情報は、New booksをご覧ください。
権威主義体制にとって選挙とは何か――独裁者のジレンマと試行錯誤――
2024年2月発行 / ISBN978-4-623-09700-5
独裁者は選挙で何を目指し、何を得ているのか。多様な意図、選挙統制の実際とは。 7カ国の事例分析から権威主義体制の核心に迫る。
山田 紀彦 編著
東南アジアにおける国家のリスケーリング――都市研究と地域研究との対話――
2024年2月発行 / ISBN978-4-623-09665-7
国家と都市を超えた空間再編とは。各国の政治・経済の歴史から現状を見通し、 東南アジア研究の新機軸を打ち出す。
玉野 和志 船津 鶴代 齊藤 麻人 編著
アジアの独裁と「建国の父」――英雄像の形成とゆらぎ――
2024年2月発行 / ISBN9784779129544
権威主義独裁体制が敷かれたアジア諸国は建国父像をどのように継承し変容させていったのか。アジア近現代比較政治史共同研究。
根本 敬 粕谷 裕子 編著
アジアの障害者の政治的権利――選挙権と被選挙権の実質的平等を求めて――
2024年1月発行 / ISBN978-4-258-04661-4
本書は、アジアにおける障害者の政治参加の現状を明らかにするとともに、政治的権利の実現に向けた法制度の課題について分析している。国連の障害者権利条約は、第29条「政治的及び公的活動への参加」において、締約国に対して、障害者の政治的権利を保障し、他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を求めている。障害者の政治参加についての国際的趨勢は、選挙権を制限しないよう国内法を改正する方向にある。しかしながら国際人権をリードするEUでさえ、いかなる状況においても個人の選挙権は剥奪されないと規定する加盟国は半数に満たない。分析の結果、アジアにおいても障害者の選挙権行使の制限解除の動きは遅いことが判明した。憲法や障害法で障害者の政治的権利は認められると謳いつつ、一方で政治的権利の行使については選挙法などで制約が加えられている。もちろんこの傾向はアジアだけでなく世界共通の問題であり、特に知的障害者と精神障害者の権利が侵害される傾向にある。障害者のアクセシビリティの改善も、実質的な政治的権利を享受するために不可欠な前提であるものの、アジアでは障害者権利条約の精神に違背して、この問題を代理投票の許容で解決しようと試みられることが多い。障害者が直接議員となり、議員として参加しやすい議会システムの構築などの取り組みが期待される。
小林 昌之 編
発展途上国における経済のデジタル化――アフリカ・東南アジア・ラテンアメリカの事例から考える――
2024年1月発行 / ISBN978-4-258-04660-7
コロナ禍を経て、途上国、先進国かかわらず世界中のどの国においてもデジタル化が急速かつ同時代的に進展している。なかでもインフラや各種経済社会制度の未整備が開発の障害となってきた途上国では、それらの問題をデジタル技術によって克服し、大きな発展が実現する状況(リープフロッグ)が注目される。先行する中国で花開いた経済のデジタル化は、ほかの途上国ではどのような広がりをみせているのか。途上国において先進企業ではなく一般の人々が、日常の生活や仕事でデジタル技術やサービスをどのように使い、どのような恩恵を受けているのか、またどのような問題があるのか。本書では、ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカの3つの地域からペルー、ベネズエラ、インドネシア、ベトナム、ケニアの5カ国をとりあげ、デジタル化の実態にせまる。
濱田 美紀 編
ラテンアメリカ経済入門
2024年1月発行 / ISBN978-4-258-04659-1
本書は大学の「ラテンアメリカ経済論」の講義の教科書として作成しました。ラテンアメリカに興味があり,そこに住む人々の生活や世界との結びつきについて関心のある日本の大学生を主な読者に想定しています。経済学の考え方を用いて説明することでラテンアメリカ地域についての理解が深まるように努めました。
本書の特徴は3つあります。1つ目は既存の教科書の内容を更新し,最近の研究成果を取り入れたことです。同時に,途上国の経済発展に注目する開発経済学の最新の知見も紹介しています。2つ目は学生の関心に沿った構成にしたことです。学生が興味や疑問をもちそうな現代の課題から取り上げ,それを理解する手がかりを示しました。学生が自らの考えを説得的に説明できるよう手助けをします。3つ目は新しい媒体や技術の活用です。本書はオープンアクセスの電子書籍としてアジア経済研究所のウェブサイトで公開しており,どなたでも無料で閲覧できます。
清水 達也 編