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海外研究員レポート

記事一覧(最近15件)

  • 災害におけるデジタル技術の活用――台湾東部沖地震の影響 / 柏瀬 あすか 2024年4月3日午前7時58分に、台湾東部沖を震源とする地震が発生した。最大震度は6強で、マグニチュードは7.2と、台湾全土で揺れが観測された(画像1)。本稿では、地震の影響および災害対応のなかで見られたデジタル技術の活用事例をまとめるとともに、台湾における防災関連テクノロジーの推進政策について紹介する。 2024/05/24
  • 法整備は「不足」か「不要」か――南米コロンビアの博物館事情 / 則竹 理人 南米コロンビアの最古にして最大の博物館であるコロンビア国立博物館(Museo Nacional de Colombia)は、今年2023年に創立200周年を迎えた。コロンビアの独立をいつとするかは諸説あるが、独立記念日として現在も祝日になっている1810年7月20日だとしても、その約13年後には博物館が設立されたことになり、建国当初から文化財を重要視していた姿勢がうかがえる。 2023/12/06
  • 台湾南部におけるデング熱の感染拡大と対応――蚊の繁殖を「巡、倒、清、刷」で防止 / 柏瀬あすか デング熱は、デングウイルスに感染した蚊にさされることで発症する感染症で、熱帯や亜熱帯の都市を中心にみられる。人から人への感染はほとんどなく、急激な発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状がみられる。特定の薬はなく、対症療法によって1週間程度で回復する場合が多いが、重症化することもある。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界全体で毎年3億9000万人が感染しているとされる。 2023/08/31
  • 選挙ポスターから見るトルコのダブル選挙 / 今井 宏平 どの国でも選挙が近づくと各党の党首や候補者の顔写真のポスターを中心に、選挙に関連するポスターが町で散見されるようになる。日本のように選挙掲示板に笑顔、もしくはまじめな顔の政治家のポスターが貼り出される国もあれば、選挙以外の時期でも選挙ポスターが貼り出されたり、選挙ポスターを通してさまざまな政治的主張をアピールしたりする国もある。例えば、筆者が専門とするトルコでは、選挙の宣伝がソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)やYouTubeの広告を通じて行われるようになっても、ポスターは相変わらず町の至る所に貼られている。本小論では、選挙ポスターが果たす政治的意義について概観したうえで、トルコの選挙ポスターを事例に、その政治的インパクトについて検討する。 2023/06/28
  • 深化する台湾とチェコの関係――アダモヴァー下院議長の訪台 / 柏瀬 あすか 2023年3月25日に、チェコのアダモヴァー下院議長率いる訪問団が台湾を訪れた。チェコからは2020年にヴィストルチル上院議長も訪台しており、要人の往来が続いている。本稿では、直近の台湾・チェコ間の交流や、両者の貿易・投資におけるつながりを概観するとともに、今回の訪問団の活動および成果を整理する。 2023/04/26
  • オランダにおけるズワルト・ピート論争――祝祭は伝統か差別か / 能勢 美紀 12月6日の「聖ニコラウスの日」とそれに関連する祝祭は、オランダで最も重要な伝統行事の一つである。この日、子どもたちはシンタクラース(Sinterklaas)からプレゼントをもらうが、シンタクラースはそれに先立つ11月中旬、従者のズワルト・ピート(Zwarte Piete ──英訳は‘Black Peter’)を連れ、スペインから蒸気船に乗ってやってくる。ズワルト・ピートは、「黒いピート」というその名が示しているように、黒い。今日一般的に行われる説明では、ピートが黒いのはプレゼントを配るために煙突にのぼり、煤で汚れたからである。 2023/02/21
  • 不可視化されたクルド・ナショナリズムの多様性——IISHが所蔵するクルド系社会主義組織の資料から / 能勢 美紀 1935年にアムステルダムに設立された国際社会史研究所(International Institute of Social History: IISH)は、労働運動、社会民主主義運動など、労働社会史を主な研究対象とし、研究所にはこれらの研究を支える図書館が附属している。IISHが収集対象とする資料の多くは社会運動やそれら運動に関連する人々についての資料であり、こうした資料は国立図書館をはじめとする公的な図書館の資料収集対象から外れ、時に中央政府による押収や毀損の危険さえある。IISHは、これら資料を滅失から守るという重要な役割も果たしてきた。 2022/11/25
  • 紛争解決と処罰のための国際刑事裁判所の取り組み――ウクライナとミャンマーの事例から / 能勢 美紀 正当な理由のない武力行使による紛争とそこでの非人道的行為を阻止するため、国際社会はこれまで主として国連安全保障理事会(以下、安保理)と国際司法裁判所(International Court of Justice: ICJ)など国連の関連組織を整備・強化する努力を行ってきた。直近では、2022年2月24日にはじまったロシアによるウクライナ侵攻が思い浮かぶ。しかし、拒否権を持つロシアによる侵攻ということから、安保理はほとんど機能できていない。また、ウクライナは、ロシアが「ウクライナ東部のロシア系住民を、ウクライナによる攻撃から守る」ことを理由に侵攻したことは、集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(以下、ジェノサイド条約)の「濫用」にあたり、侵攻は国際法に違反するとして、2月26日にロシアをICJに提訴した。ICJは3月16日にウクライナの主張を認め、ロシアに軍事行動の即時停止を命じる暫定措置命令を出したが、ロシアがICJの命令に従うことはなく、戦闘が続くとともに民間人の犠牲も多く発生している。 2022/04/26
  • 平和構築と開発援助の未来――米軍のアフガニスタン撤退が与える影響 / 能勢 美紀 2021年8月のタリバーンによるカブール制圧と米軍をはじめとする多国籍軍の撤退は世界中に大きな衝撃を与えた。筆者が滞在しているオランダも例外ではない。ただ、日本での受け止め方と大きく違うと感じるのは、この出来事を、「多額の開発援助を投じた平和構築活動の失敗」と捉え、今後の平和構築活動そのもののあり方が議論の中心のひとつになっていることである。特にオランダをはじめとするNATO加盟国は、ISAF(International Security Assistance Force, 国際治安支援部隊) と、軍事部門と復興支援部門からなるPRTs(Provincial Reconstruction Teams, 地方復興チーム)を通して戦後の早い時期から治安維持と復興に携わってきた。PRTsの軍事部門は実質的にISAFが担っており、軍隊に対して「安定化」のための積極的な武力行使を容認する平和構築活動のあり方には当初から懸念があっただけに(Maley 2007)、現在、軍事的な関与のあり方だけでなく、今後の開発援助と平和構築のあり方が問われているといえる。 2021/12/06
  • 家から半径2kmのSDGs――コロナ禍のスイスで見つけた身近な取組み / 佐々木 晶子 スイスはアルプスの山々に囲まれた、美しく自然豊かな国というイメージを持つ人は多いだろう。筆者が赴任したジュネーブ州もレマン湖やジュラ山脈など素晴らしい自然に恵まれており、そうした環境の保全を目指し、化石燃料を使わない公共交通機関の整備、再生可能エネルギーの普及など先進的な環境政策も進められている。だがその一方で、宅地開発による緑地の消失やコロナ危機で露呈した経済格差や貧困など課題も少なくない。今回は、ジュネーブ州の持続可能なまちづくりに向けた取組みや課題について、生活者の視点から紹介したい。 2021/03/30
  • 交換文化と自給生活でコロナ危機を乗り越えるフィジー / 片岡 真輝 「靴とオムツを交換しませんか。」これは、昨年来フィジーで話題となっているフェイスブックのページ「Barter for Better Fiji(より良いフィジーのための物々交換)」に投稿された交換の提案だ。Barter for Better Fijiは、一言で言えば物々交換を行うためのプラットフォームだ。お金のやり取りは一切禁止であり、欲しいものとあげたいものを投稿し、物々交換の相手を探すページである。コロナ禍の経済苦境に対応するために立ち上げられた同ページは瞬く間に話題となり、2021年2月現在、人口約90万人の同国で実に20万人近くがこのコミュニティに参加している。Barter for Better Fijiは日本のメディアでも取り上げられたので 、ご存知の方も多いだろう。 2021/03/16
  • 「脱石炭」がもたらすもの――地域社会・気候変動・雇用(後編) / 佐々木 晶子 現在、先進国を中心に2030年代の「脱石炭」を目指して炭鉱や石炭火力発電所の閉鎖が進められている。前編では石炭などの化石燃料利用からの脱却と、それによって影響を受ける産業、労働者や地域を支援しながら、公正な形での新しい社会への移行を目指すジャスト・トランジション(公正な移行)の概念を紹介した。 2020/12/15
  • 「脱石炭」がもたらすもの――地域社会・気候変動・雇用(前編) / 佐々木 晶子 去る7月3日、梶山弘志経済産業大臣は日本国内の石炭火力発電所100基を2030年までに廃止すると発表した。昨今、脱炭素化社会の実現に向けて「脱石炭」に世界的な関心が集まっている。今回の発表を受け新聞紙上等では、発電所の閉鎖は気候変動対策としてどの程度の効果があるのか、またエネルギーの安定供給を継続するため、代替電源をいかにして確保するかといった観点の報道が目立った。だが実は、脱石炭には地域経済や雇用などへ少なからぬ悪影響をもたらすという問題がある。こうした側面を踏まえ、脱石炭はどのような形で進めていくべきだろうか。また持続可能な開発目標(SDGs)の視点からはどのような論点が見えてくるだろうか。本レポートは脱石炭に焦点を当て、地域社会や暮らしを守りながら脱炭素化社会を目指す「ジャスト・トランジション」の取組みを2回にわたって紹介する。 2020/09/15
  • 新型コロナウイルスとSDGs――サステイナブルなまちづくりへの「好機」となるか / 佐々木 晶子 先日スイスのラジオ局の番組を聞いていたら、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのさなかに産まれた赤ちゃんをミレニアル世代になぞらえて「コロニアル世代」と呼ぶのだと紹介されていた。それだけ象徴的な年となった2020年だが、今年は国際社会が2030年までに達成すると約束した持続可能な開発目標(SDGs)まであと10年、目標実現に向けた動きを加速しなければいけない節目の年でもある。新型コロナウイルスがSDGsの実現にどのような影響を与えるのか、現在国際機関や各国政府のみならず、自治体レベルでも活発な議論が行われている。今回はそうした動きを気候変動問題と自治体のローカルな動きに注目してご紹介したい(2020年5月末時点)。 2020/07/02
  • ニューヨーク市で感染爆発したCOVID-19 と人種、所得・教育水準 / 牧野 百恵 COVID-19の感染者数、死者数ともに世界最多となったアメリカでも最も状況が深刻なニューヨーク市では、2020年4月7日に1日あたりの死者数で最大となる579人を記録し、感染拡大のピークを過ぎた4月末でも、1日あたり200人以上の死者が出ていた。1月からすでに市中感染が始まっていたとの憶測もあるが、公式に市内初の感染者が報告された3月1日以降、あっという間に感染爆発が生じた。ニューヨーク州のクオモ知事は3月7日に非常事態宣言を出し、3月22日からはいわゆるロックダウン(日常生活の維持に必要不可欠な業種を除き全面的自宅待機命令)が始まった。5月12日正午時点で確認されたニューヨーク市の感染者数はのべ18万4319人、COVID-19が死因とのみなしを含めた死者数は2万237人に上る。 2020/05/18