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コラム

中国貴州・ミャオ族の村々から

中国南部の人里離れた山間部に、伝統工芸を生業とする少数民族の苗(ミャオ)族とよばれる人々が暮らしています。本連載では、貴州省のミャオ族の村々での調査に基づき、リレー形式でミャオ族の文化とくらし、失われつつある民族文化を守るための取り組みを紹介していきます。

  • 第6回 村のごちそう / 山田 七絵 本コラム最終回は、貴州で出会った郷土料理を紹介する。貴州料理は中華料理の八大菜系では四川料理系統に属するが、広く知られた四川料理や、近年中国の大都市でブームとなった雲南料理に比べると、国内ですらかなりマイナーな存在である。山がちなカルスト地形で農地が少なく、年間を通して雲に覆われた気候のため、希少な農産物を長期保存するために発酵技術が発達しており、また唐辛子や山林に自生するハーブ類を多く用いるなど、独特の食文化が発達している。 2021/11/29
  • 第5回 村の匠たち(2)――文化を受け継ぐ人々 / 山田 七絵 今回は、前回の黔東南ミャオ族トン族自治州丹寨県の隣、雷山県の村々を訪ね、銀飾(銀製の装飾品)と祭事用の蘆笙(笛の一種)の技術を受け継ぐ職人たちを紹介する。本稿の内容は、筆者らが2018年8月に実施した現地での聞き取りと提供資料および藤田ほか(2020)に基づく。 2021/08/26
  • 第4回 村の匠たち(1)――無形文化遺産の保護と「伝承人」 / 山田 七絵 藍染の村の回でも紹介した丹寨県の北部に位置する石橋村は、伝統的な手漉き紙づくりの村である。山あいに位置する人口1000人あまりの同村は、2006年に中国政府の第1回無形文化遺産リストに掲載され、翌年「古法造紙芸術の里」に認定された。世界銀行による文化と自然遺産保護プロジェクトの対象地域にもなっており、支援によって工房が修復された。国家級の無形文化遺産の伝承人で、同村の紙業専業合作社(生産者組合)の理事長でもある王興武さんに話をうかがった。 2021/05/21
  • 第3回 藍染の村(3)――支援する人々 / 大塚 健司 中国貴州省で藍染を生業とするミャオ族の人々が暮らす「藍染の村」では、地域特有の藍染文化に魅力を感じ、その稀少性に価値を見出した人々が、作品の作り手の生計手段を支える方策を共に探りながら、藍染文化の保存と継承を模索している。前回までのコラムでは、中国貴州省で藍染を生業とするミャオ族(第1回)や彼女たちの藍染作品を世界の市場とつなぐソーシャルビジネスの起業家(第2回)について紹介してきたが、第3回では「藍染の村」を支援する人々の試みをとりあげたい。貴州省では国や国際機関による貧困削減対策が重点的に行われてきたが、私たちが訪れた「藍染の村」では独自の草の根支援が行われている。 2021/02/15
  • 第2回 藍染の村(2)――文化と市場をつなぐ人々 / 藤田 香 貴州省のミャオ族の藍染文化は、それを担う女性たちの考え方や生活様式の変化と、彼女らを取り巻く経済状況に影響を受けている。市場経済化や教育の普及により女性たちの価値観も変化し、後継者となる若い世代の多くが進学や出稼ぎで村を離れていることから、伝統技術の伝承は困難になりつつある。 2020/12/28
  • 第1回 藍染の村(1) / 山田 七絵 中国の南部、貴州省、雲南省、湖南省、広西チワン族自治区一帯の人里離れた山岳地帯に、少数民族のミャオ(苗、Miao)族と呼ばれる人々が住んでいる。ミャオ族の祖先はもともと揚子江中・下流域に住んでいたが次第に南下し、宋代以降は漢民族の南下の動きに押され、戦乱などを経て山中に移り住んだと推定されている(鈴木2012) 。2010年のミャオ族の人口は942万6007人で、中国の少数民族としては4番目に多い 。同系統の言語を話す人々は、インドシナ半島北部の山岳地帯にも分布している。 2020/10/27