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記事一覧(最新15件)

  • インドのRCEP撤退がアジア経済秩序に及ぼす影響――地経学的観点から / 浜中 慎太郎 アジアにおける国際経済秩序の構築に対する関心が高まっている。国際金融分野では中国主導でアジアインフラ投資銀行(AIIB)が2016年に設立された(浜中2016a)。貿易分野では米国が環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership: TPP)からの離脱をした後、日本主導でTPP11が2018年に発効した。もう一つのメガFTAである東アジア地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership: RCEP)は2013年に交渉が開始されたが、今月4日にインドが交渉から離脱すると表明した。 2019/11/19
  • (サステナ台湾――環境・エネルギー政策の理想と現実――)第2回 温暖化対策・エネルギー転換の政策立案と法整備 / 鄭 方婷 第2回は、台湾における温暖化対策とエネルギー転換に関する主要な政策立案と法整備について、直近10年間の動向を紹介する。これまで政権交代などの政治的要因は、政策・法案を大いに推進する原動力ともなってきたが、一方でそれまで地道に積み上げてきた実績をリセットしてしまいかねないような事態も、現実として起こっている。こうした台湾政治と政策の現状を、脱原発に関連する事例を中心に論じる。また、現在の蔡英文政権が進める再生可能エネルギー政策の柱である太陽光と風力発電の開発状況を紹介し、懸念されるリスクなどについても触れる。 2019/11/13
  • それでもやっぱりペロニスタ?――2019年アルゼンチン大統領選予備選挙の分析 / 菊池 啓一 2015年の大統領選で決選投票のすえ勝利を収め、正義党(ペロニスタ党)に所属しない現職としては1983年の民主化以降初めての再選に挑戦している与党連合カンビエモスのマクリ大統領であるが、その実現は現時点では難しい状況にある。2019年8月11日に実施された予備選挙以前は「当初は正義党のアルベルト・フェルナンデス元官房長官(以下、フェルナンデス)がリードするかもしれないが、本選の決選投票では市場にフレンドリーな経済政策を志向するマクリの逆転が可能である」という見方が少なくなく、その立場は各世論調査によっても支持されていた 。しかし、かつて国家介入型経済を志向していたクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領(2007~2015年在職、以下、クリスティーナ) を副大統領候補とするフェルナンデスに予備選挙で15.99%ポイント のリードを許すと、予想外の結果に市場は激しく反応し、アルゼンチン・ペソは米ドルに対して1日で一時は34%下落した 。 2019/10/25
  • トルコのシリア侵攻――誤算と打算 / 間 寧 トルコは2019年10月9日、北東シリアに越境攻撃を開始した。その標的は、トルコがテロ組織と見なすクルド民主統一党(PYD)である。トルコはPYDがシリア側からトルコを攻撃することを防ぐため、国境沿いに幅30km、長さ480km程度の安全地帯を設定することなどを目的としている。トルコの空爆の対象は事前の諜報活動で特定したPYDの地下壕・トンネルや兵器庫であるが、民間人犠牲者の発生は不可避である 。このような事態はなぜ発生し、どのような顛末を迎えるのか。本稿はその答えへの糸口を、トルコおよびPYD双方の過去の誤算と現在の打算に求める。なお、過去40年にわたるクルド人武装勢力とトルコ国軍の紛争の経緯については文末の「解説」を参照されたい。 2019/10/18
  • 文在寅外交のキーパーソン――金鉉宗とは誰か? / 安倍 誠 日韓関係が悪化しているなかで、韓国政府内においてその存在が注目されているのが金鉉宗(キムヒョンジョン)大統領府国家保安室第二次長(60歳)である。今年7月に日本の経済産業省が韓国向け輸出管理運用の見直しを発表すると、すぐさまアメリカの政府関係者に日本による措置の不当性を訴えるために渡米した。帰国の際には「われわれの民族は国債補償運動 など危機を克服する民族の優秀性がある」と述べて、事態克服のために国民が立ち上がることを求めるかのような発言をおこなった。また対抗措置となる日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の決定において大きな役割を果たしたとされる。日本のマスコミでは「民族派」とも称される金鉉宗次長とは、いったいどのような人物なのであろうか。以下、金鉉宗の著作『金鉉宗、韓米FTAを語る』 などから、彼の経歴、そして人となりを探ってみたい。 2019/09/27
  • 米中貿易摩擦の混乱が中国にもたらすもの / 箱﨑 大 米国の貿易赤字をめぐる米中の対立が激しさを増している。米国は8月1日、第4弾の対中関税賦課を発表し、消費財を含むほぼすべての対中輸入品の関税引き上げを決めた。その後、スマートフォンやノートパソコン、玩具など555品目は発動が12月15日に先送りとなったが、3243品目については予定どおり9月1日に引き上げられた。 2019/09/12
  • 「消費税を廃止した国、マレーシア」は本当か / 熊谷 聡 2018年5月9日に投票が行われたマレーシアの第14回総選挙では、与党連合・国民戦線が政権を維持するとの大方の予想を覆し、マハティール元首相が率いる野党連合・希望連盟(PH)が議席の過半数を占め、マレーシア史上初の政権交代が現実となった。これに伴い、事前にPHが発表していた選挙公約のひとつであった「消費税の廃止」が2018年6月1日に実現した。 2019/09/11
  • (フォーカス・オン・チャイナ)第6回 先鋭化する米中対立――「米中新冷戦」の争点 / 松本 はる香 「米中貿易戦争」や「米中新冷戦」といった言葉に象徴されるように、米中対立の長期化を懸念する声が国際社会にあがっている。とりわけ、2018年以来の米中間の関税の引き上げ合戦によって、米中関係の悪化が危ぶまれている。最近の米中対立は貿易問題にとどまらず、安全保障問題などの多岐にわたる分野にまで拡大しつつある。 2019/08/28
  • (2019年インドネシアの選挙)大統領選挙におけるイスラーム主義指導者の「闘争」 / 茅根 由佳 近年の東南アジア各国においては、選挙前に社会の顕著な「分極化」が生じている(川中 2019)。2019年4月17日に投票が行われたインドネシアの大統領選挙では、過去半世紀にわたって争われてきたイスラームの宗教観をめぐる亀裂が顕在化した。選挙に出馬したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)とプラボウォ・スビアントは、それぞれ異なるイスラーム勢力を抱き込んだ 。ジョコウィは国内最大のイスラーム大衆組織ナフダトゥル・ウラマー(NU)に接近した。現NU執行部は他宗教との共存を前提とした宗教的多元主義を掲げ、イスラーム主義を「過激派」と呼んで攻撃した 。他方でプラボウォは、イスラーム主義勢力を取り込んだ 。インドネシアのイスラーム主義勢力は、多数派であるムスリムの共同体(ウンマ)の利益が優先されるべきであると唱え、宗教的多元主義は宗教間の平等を説く点で誤りであるとして否定してきた。かねてから現職のジョコウィに批判的だったイスラーム主義勢力は、ジョコウィ政権に「反イスラーム」のレッテルを貼った。つまり、両候補者の支持基盤であるイスラーム勢力が互いを攻撃しあったことにより、分極化が進行したということである。 2019/08/21
  • 香港「逃亡犯条例」改正反対デモ――香港の「遺伝子改造」への抵抗 / 倉田 徹 刑事事件容疑者を香港から中国大陸・台湾・マカオにも引き渡すことを可能とする「逃亡犯条例」の改正をめぐり発生した、香港の抗議活動が止まらない。6月9日の「103万人デモ」(主催者側発表)以来、毎週各地で大規模なデモ行進・集会が発生し、7月以降は警察との衝突による催涙弾の使用も半ば常態化した。8月5日にはゼネストが発動され、鉄道・バスの運休に加え、香港空港発着の200便以上が欠航となった。 2019/08/15
  • (サステナ台湾――環境・エネルギー政策の理想と現実――)第1回 過渡期にある温暖化・エネルギー転換対策 / 鄭 方婷 2019年5月17日、台湾の立法院(国会に相当)で同性カップルによる婚姻登記を認める「司法院釈字第748号解釈施行法」が可決され、アジア初となる同性婚合法化が実現した。この出来事に象徴されるように、近年台湾では、ラディカルなトランジション(転換)を求める現民進党政権が、強固な政治的支持を背景に両岸関係や年金など様々な問題に挑んできた。環境やエネルギー問題もその例外ではなく、大気汚染や気候変動・温暖化、脱原発、太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの推進政策に関する動向は注目に値する。そこで今回の連載企画では、台湾の政府・地方自治体レベルでの気候変動・温暖化対策と、これと密接に関わるエネルギー・トランジション(以下、エネルギー転換)政策をクローズアップし、関連する産業界、市民コミュニティやNGO等の活動にも目を向けていきたい。 2019/08/14
  • (2019年インドネシアの選挙)ポスト・トゥルース時代の政治の始まり――ビッグデータ、そしてAI / 岡本 正明 2019年4月17日に投票が行われたインドネシアの選挙は、1998年の民主化後のこれまでの選挙と大きく様相を異にしている。ひとつの特徴は、オンライン空間で真偽ないまぜになった候補者情報が大量かつ迅速に拡散したことである。2つ目の特徴は、2組の正副大統領候補のどちらも積極的にサイバースペースで選挙キャンペーンを繰り広げたことである。選挙戦ではインフルエンサー、ブザーが大活躍し始めた。3つ目の特徴は、サイバー空間での選挙戦の本格化にともない、とりわけ、現職のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領陣営は、積極的にAIによる機械学習でオンライン・メディア、ソーシャル・メディアの大量の情報(ビッグデータ)の分析を行い、有権者の真の声の理解に努め始めたことである。そのうえで、4つ目の特徴として、民間企業並みのマイクロ・ターゲティングの手法で個々の地域の実情に合わせた選挙キャンペーンを展開し始めた。本稿では、こうした特徴のなかでも1つ目と3つ目の特徴について解説する。 2019/07/29
  • The Nation終刊――タイ社会と新聞の寛容さをめぐる一考察 / 小林 磨理恵 タイの英字日刊紙『ザ・ネーション』(The Nation)が、48年の歴史に幕を閉じる。最初にそう報じたのは、同紙の記者たちだった。本年5月16日、かれらはFacebookに、「ついに、48年の歴史の最終章に入る」と別れの言葉を投じた。こうした動きを受けて、タイのオンライン・メディアは一斉に、The Nationの終刊を報じた 。「内部関係者の情報によれば、6月28日が最終号のようである」。当のThe Nationは、翌17日の朝刊で、ようやく自らの終わりを報じた。インターネットを通じた第一報から遅れること約一日。このギャップが、タイに限らず、世界中の新聞・雑誌を廃刊の瀬戸際に立たせる一因なのだろう。 2019/07/12
  • 試される一帯一路「債務の罠」の克服――中国-ミャンマー経済回廊の建設状況から考える / 石田 正美 2019年4月25~27日開催の第2回一帯一路首脳会議で、中国がインフラ支援相手国の財政面での持続可能性にも配慮する姿勢を示したことは、マレーシアのマハティール首相などからも好意的に受け止められた。この背景には、スリランカ政府が、ハンバントータ港の建設で中国から借りた13億ドルを返済できず、99年にわたる同港の運営権を中国国有企業に譲渡せざるを得なくなったことなどがある。欧米諸国は、こうした状況に対し「債務の罠」として中国を批判した。冒頭で述べた中国政府の支援相手国の財政規律に配慮するとの姿勢の変化は、こうした欧米諸国の批判を払拭するためのものであった。 2019/07/05
  • 2019年イスタンブル市長再選挙――業績と正義への投票 / 間 寧 6月23日にやり直されたイスタンブル(広域)市長選挙では、野党連合の共和人民党(CHP)候補エクレム・イマムオールが54.2%の得票率で与党連合の公正発展党(AKP)候補のビナリ・ユルドゥルム45.0%に9.2ポイント差をつけて当選した。取り消された3月31日の選挙では両候補の得票差は0.2ポイントでしかなかったことからすると、野党の大きな躍進といえる。投票率は84.5%で3月の83.9%から0.6%ながら上昇、夏休み開始時期にもかかわらず有権者の投票意欲は強かった 。 2019/07/02