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記事一覧(最新15件)

  • (混沌のウクライナと世界2022)第7回 ウクライナ危機の長期化による習近平政権の誤算と調整 / 江藤 名保子 2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから3カ月以上が経過し、さらなる長期化が懸念されている。この間、欧米諸国はロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除を含む強力な経済制裁を科し、ウクライナへの人的・軍事的支援を段階的に強化してきた。5月にはスウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請し、欧州政治の歴史的な地殻変動が進行中である。 2022/06/20
  • クルド・ナショナリズム揺籃の地としてのスウェーデン――二つの社会制度と民族性の承認 / 能勢 美紀 スウェーデンとフィンランドのNATO加盟について、トルコのエルドアン大統領が反対の意向を表明している。反対の理由は、両国が「(クルド人の)テロリストを匿っている」ことと、2019年のトルコ軍による北東シリアへの越境攻撃を機にトルコへの制裁(武器の禁輸措置等)を行っていることの主に2点である。トルコが越境攻撃を行ったのは、PYD(クルド民主統一党)へ打撃を与えるためで、トルコは、PYDを米国、EUがテロ組織と認定しているPKK(クルディスタン労働者党)の姉妹組織とみなしている。すなわち、この2つの理由は「クルド人勢力の拡大に対する懸念」という点でつながっている。なかでもスウェーデンに対して、エルドアン大統領は、2022年5月16日の会見でテロ組織の「揺籃の中心地」(kuluçka merkezi)であると呼び、スウェーデンに(PKKと結びつきがあるとエルドアン大統領が考える)クルド系国会議員がいることや、クルド系の活動家らがスウェーデンの国会に招致されたことなどを強い口調で非難した 。 2022/06/10
  • (混沌のウクライナと世界2022)第6回 ウクライナの「中立」は買えた――ロシア天然資源外交の興亡 / 藤森 信吉 2022年2月24日、プーチン・ロシア大統領は、北大西洋条約機構(NATO)が「ロシアの歴史的領土であるウクライナ」を踏み台にしてロシア攻撃のタイミングをうかがっているとして、「安全保障上の脅威」を第一の理由に挙げてウクライナ侵攻を開始した 。そもそもロシア、ウクライナはともに旧ソ連諸国であり、ソ連時代の人的・経済的関係やインフラ、言語・文化・歴史の共通性を有してきた。そのため、ロシアはウクライナに対し、通常の国家間以上に豊富かつ効果的な梃子を有していた。ソ連時代の両国にまたがる分業生産体制は、独立後も維持され、両国間の貿易関係を下支えした。日常生活でロシア語はウクライナ語と同程度に利用されており、両国エリート間のコミュニケーションやウクライナ世論へのモスクワ・メディアの浸透を容易にした。また、「大祖国戦争 」はロシア人とともに勝ち抜いた輝かしい歴史として記憶されており、対ロ感情は悪くなかった。 2022/06/09
  • ナショナルインターネットゲートウェイ導入で強化されるカンボジアの言論統制 / 新谷 春乃 カンボジアでは比較的自由と考えられてきた言論環境に対する統制が徐々に強まっている。2021年2月、政令第23号に基づきナショナルインターネットゲートウェイ(National Internet Gateway、以下NIG)の導入が決定された。これは、すべてのプロバイダがインターネット通信サービスを提供する際、国が管理する接続ポイントを介さなければならない仕組みであり、中国の「グレート・ファイアウォール」に類似する。政府による事実上のインターネット検閲として、国内外の人権団体やジャーナリストから懸念が示されている。 2022/06/02
  • (混沌のウクライナと世界2022)第5回 ロシアのウクライナ侵攻とイスラエル――「曖昧」路線の舞台裏 / 池田 明史 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻に際して、イスラエルは一方で基本的に「中立」の立場を闡明(せんめい)しつつ、他方ではいち早くウクライナに対する人道的支援に着手するという曖昧な姿勢に終始することとなった。戦災を逃れた避難民への医療資材や生活必需品の搬入とともに、ウクライナ国内に野戦病院を設営し、交替制で医療チームを送り込むなどの迅速な行動は、必ずしも厳正中立を唱道する国家の施策ではない。実際、イスラエルは国連総会でのロシア非難決議(3月)や人権理事会でのロシアの理事国資格停止決議(4月)には賛成票を投じたが、拘束力を持つ安全保障理事会のロシアを非難し軍の即時撤退を求める決議案には署名せず、米国から批判されている(Daoud 2022; Abrams and Weiss 2022.)。 2022/05/24
  • (混沌のウクライナと世界2022)第4回 ウクライナの港湾とロシア侵攻による海上輸送の影響 / 池上 寬 ロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されたのは2022年2月24日であった。この侵攻の初期段階で、ロシア軍はウクライナの港湾や空港を攻撃した。港湾や空港を早い段階で攻撃した背景として、これらのインフラは人とモノの輸送拠点であることが挙げられる。とくに、物資輸送では船舶輸送は陸上輸送(自動車、鉄道)や航空輸送に比べても、大量かつ廉価に輸送することが可能である。そのため、基点になる港湾への攻撃はウクライナ側の物資の輸送を大幅に断つことを可能にする。また、港湾の周辺には原油の貯蔵施設や精製施設、製造業が集積して工業地帯を形成していることも多い。こうした施設への攻撃は国内の生活基盤や国内経済へ甚大な影響を与えることを可能にする。 2022/05/20
  • (混沌のウクライナと世界2022)第3回 ウクライナ戦争をめぐるトルコの対応――積極的中立と世論調査の変化から読み解く / 今井 宏平 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、21世紀の国際政治のターニングポイントとなるのだろうか。ウクライナをめぐるロシアの対応は、20世紀の遺物として忘れ去られていた冷戦期の分断された世界や核の脅威を改めて我々に思い起こさせることとなった。ロシアと隣接し、北方領土問題を抱える日本にとってもウクライナ危機は対岸の火事ではない。 2022/05/17
  • 一党独裁体制下の性的少数者による運動――ラオスの当事者運動の戦略と困難 / 大村 優介 一党独裁体制下にある社会で、性的少数者はどのようにして当事者運動を立ち上げ、展開しているのだろうか。近年、東南アジアでも性的少数者 による運動が積極的に展開されており、その動向が日本でも取り上げられることが増えてきた。しかし、ラオス人民革命党による一党独裁体制が続き、NGO等の活動が厳しく制限されているラオスの状況はなかなかみえてこない。とはいえ近年、とりわけ2010年代以降、ラオスでも当事者による活動が運動として組織化される動きがみられる。現地の性的少数者の声を聞き 、自らさまざまなイベントに出席し、SNSに投稿されるかれらの言葉に目を向けると、当事者運動の成り立ちや展開には、ラオス固有の政治的状況を反映した独特な事情が浮かび上がってくる。 2022/04/22
  • (混沌のウクライナと世界2022)第2回 ウクライナ侵攻とロシア国内の反戦デモ / 油本 真理 2022年2月24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始した。この侵攻は世界に強い衝撃を与え、戦争をどのようにすれば止められるのかが一大関心事となった。戦況の行方と並んで多くの観察者が注目したのはロシアの国内情勢であった。観察者は政権中枢やオリガルヒ(新興財閥)の動向などから分裂の兆しやクーデターの可能性を読み取ろうと、またロシア国民が今回の侵攻をどのように受け止めているのかをつかもうと、さまざまな努力を重ねてきた。しかし、その核心に迫ることは容易ではない。なぜなら、ロシア国内では政府の公式見解からの逸脱に対しては厳しいペナルティが科されるようになっており(OVD-info 2022)、人々の「本音」を知ることがこれまで以上に困難になっているためである。 2022/04/21
  • ASEAN議長国によるミャンマー政治危機への対応 / 鈴木 早苗 2021年2月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生した。ミャンマーが加盟国となっている東南アジア諸国連合(ASEAN)は直ちに声明を発表し、事態の鎮静化を求めた。4月には、暴力の停止と自制、全勢力による対話の実現、議長国のASEAN特使による仲介、ASEANによる人道的支援、全勢力との対話に向けた特使のミャンマー訪問という「5項目コンセンサス」が発表された(ASEAN 2021a)。こうした取り組みは、ASEANがミャンマー内政に積極的に関与していこうという意思の現れでもあり、ASEANの内政不干渉原則を相対化する動きとして注目されている。 2022/04/21
  • なぜ、スリランカで抗議行動は起きたのか?――経済危機から政治危機へ―― / 荒井 悦代 2022年3月31日、スリランカの最大都市コロンボ郊外のミリハーナにあるゴタバヤ・ラージャパクサ大統領私邸付近で、デモ参加者と警察が衝突し(ミリハーナ事件)、翌日非常事態宣言・夜間外出禁止令が発令された。政府は抗議行動の拡大を阻止しようとソーシャルメディアをブロックしたが、その後も全国で反政府デモが多発し、4月4日には首相以外の全閣僚が辞任するに至った。それを受けて大統領は「全政党による暫定政府を作り、問題解決にあたるので全政党は協力すべき」と主張したが、事態は収まっていない。 2022/04/12
  • 2022年カザフスタン騒擾――国際関係の視点から見えてくる「プーチンが引いた境界線」―― / 齋藤 竜太 2022年1月にカザフスタンで発生した騒擾は、逮捕者約8000人、死者227人1を出す結果となった。液化石油ガス(LPG)の価格を2倍にするという大幅な値上げをきっかけとして西部の街ジャナオゼンから始まった市民による抗議行動は、カザフスタン最大の都市アルマトイにも飛び火した。デモ隊による政府庁舎への攻撃や治安部隊との激しい衝突が発生し、トカエフ大統領はロシア軍を主力とする集団安全保障条約機構(CSTO)軍の導入や、治安部隊に対して無警告での発砲を許可するなど、強硬な姿勢で抑え込んだ。 2022/04/05
  • (混沌のウクライナと世界2022)第1回 なぜゼレンスキーはウクライナの大統領になったのか?――人気タレントから大統領就任への社会的背景 / 松嵜 英也 ロシア・ウクライナ戦争が勃発しているなかで、こんにちヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(2019年―)ほど、知名度の上がった人物はいないだろう 。ゼレンスキーは、軍事介入に及び腰な西欧諸国の指導者達とは対照的に、ロシアのウクライナ侵攻に徹底抗戦する姿勢を示しながら、自国民の前だけでなく、米国や英国、そして日本の議会でも、Tシャツ姿でウクライナの窮状や支援の必要性を訴える。その姿は「西欧の道徳的リーダー」と言われるほど、大きく注目されている。 2022/03/30
  • 2022年韓国大統領選挙と「分極化」の行方 / 浅羽 祐樹 2022年3月9日に実施された韓国大統領選挙において、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)が進歩系与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)に対してわずか24万票余りの差(得票率だと0.74ポイント差)で辛勝した。文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期後半、「政権交代」を求める声が一貫して強高かったが、尹は中道層や無党派層を十分取り込むことができなかった。有権者のイデオロギー分布は「保守(31.4%)」「中道(39.5%)」「進歩(21.6%)」(数値は後述の「出口調査」に依拠している)と保守系野党に有利な構図だったにもかかわらず、尹はウイングを広げることができず、選挙戦を通じて保守/進歩の分断がむしろ進んだ可能性がある。 2022/03/25
  • 2021年インドネシアの十大ニュース / アジ研・インドネシアグループ アジア経済研究所では、インドネシアを研究対象とする研究者が毎週集まって「先週何が起きたか」を現地新聞・雑誌などの報道に基づいて議論する「インドネシア最新情報交換会」を1994年から続けています。毎年末には、その年のニュースを振り返って、私たち独自の「十大ニュース」を考えています。今年も、アジ研・インドネシアグループの考える「2021年インドネシアの十大ニュース」を発表します。 2022/03/01