IDEスクエア

コラム

新興国発イノベーション

新興国でみられる様々なイノベーションの事例を取り上げ、その概要や背景、経済や社会に与えるインパクトなどを紹介していきます。

  • 第10回 イノベーションの春は到来するのか(チュニジア) / 金 信遇 「ヤーホーヤ、C’est gratuit!(お兄さん、無料だぞ!)」
    チュニジアの首都チュニスの中心街を歩いていると、アラビア語とフランス語が混ざったアラビア語北アフリカ(マグリブ)方言で話しかけられる。色鮮やかなトラックの前で青年が配っているのは無料のパケット通信カードである。チュニジアは、スマートフォンとインターネットの使用が日常化し、通信会社の激しい新規顧客獲得競争が行われるなど、中東・北アフリカのなかでも情報通信技術がすすむイノベーションの先進国となっている。
    2020/10/12
  • 第9回 デジタル時代の制度構築のアプローチとは(ベトナム) / 藤田 麻衣 デジタル技術を駆使し、次々に生み出される新たなビジネスモデル。それらは革新的であるがゆえ、現行の法制度が対応していないことも少なくない。 2020/09/14
  • 第8回 成長するオンライン教育と教育情報化政策(中国) / 澤田 裕子 新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国の武漢市で発生し、世界中に広がった。各国の教育機関では感染拡大防止のため、対面授業の実施が困難となったが、それぞれ対策を講じて教育活動の継続を目指している。そのなかでも、オンライン授業が急速に普及し、また深化しているのが中国である。 2020/08/17
  • 第7回 破綻経済と仮想通貨(ベネズエラ) / 坂口 安紀 ベネズエラは近年未曾有の経済危機にあえいでいる。インフレ率は2015年に3ケタを突破して以降加速を続け、2018年には13万%を記録した。ハイパーインフレは市民の購買力をそぎ、生活を困窮させ、十分な食事がとれない人も多数出ている。またインフレ加速のスピードに紙幣供給が追いつかず、市中で紙幣が不足して日常の買物の支払いに大いに支障が出ていた。 2020/07/13
  • 第6回 IT技術がもたらす行政のイノベーション(中国) / 任 哲 新型コロナウイルスとの戦いで、中国が如何にIT技術を応用しているのかについてはメディアでもしばしば報道される。外出している人を見つけて知らせるドローン、健康状態をスマホで証明するQRコードなどさまざまな技術が応用され、日本でも話題になっている。しかし、コロナショックは中国政府がIT技術を積極的に応用するようになったきっかけではない。既に政府のなかではビックデータの共有が始まっており、IT技術の受け入れ態勢ができている。したがって、中国政府が危機対応に最新の技術を積極的に応用するのは自然な成り行きでもある。 2020/06/22
  • 第5回 手漕ぎボートがスマートボートに変身(南アフリカ、セネガル) / 箭内 彰子 漁業と情報通信技術。一見かけ離れた世界のように思われるが、最近の漁業には様々なテクノロジーが活用されている。例えば、海の上から携帯電話でマーケット情報にアクセスし、高技術のソナーを駆使して、その日の需要に見合った種類の魚を必要な量だけ獲る。効率がよく、資源保全という観点からも好ましい。また、GPSや衛星システムを使って、油が流出した海域での漁業を回避することも可能だ。海上で重大な事故にあった時はアラート情報を発信し、即座に救援を求めることもできる。 2020/05/15
  • 第4回 モバイル決済普及へのジレンマ(エクアドル・ペルー) / 清水 達也 ラテンアメリカでもデジタル化を利用した新しい金融サービスへの関心が高い。この背景にあるのが、インフレーション、移民送金、治安への懸念などである。ハイパーインフレーションで紙幣が不足する時や国内外の移民による送金では、多くの人が携帯電話を利用した決済や送金のサービスを利用するほか、盗難の危険のある現金ではなくデビット・カードの利用が増えている。 2020/03/10
  • 第3回 パーム油にみるSDGsのためのサプライチェーン管理(インドネシア・マレーシア) / 道田 悦代 2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、持続可能な世界を実現するための17の目標を指す。いくつか例を挙げると、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「気候変動に具体的な対策を」「つくる責任つかう責任」などである。企業は、「つくる責任つかう責任」を通じてSDGsに貢献し、持続可能な生産・調達を行うことが求められている。 2020/02/05
  • 第2回 デジタル経済から労働者が得るものとは?(ウガンダ) / 井上 直美 渋滞を避け狭い道でも縦横無尽にすいすいと走ることができるバイクタクシーは、東アフリカに位置するウガンダでは「ボダボダ」と呼ばれ、一般市民の交通手段として親しまれている。 2020/01/09
  • 第1回 キャッシュレスにまっしぐら(インドネシア) / 濱田 美紀 今インドネシアは、中国が先陣を切るキャッシュレス社会に追いつかんとばかりに突き進んでいる。キャッシュレス社会を目指し始めた2年前にこれほど急激な変化が訪れることを多くの人は想像していなかったはずである。以下の写真はインドネシアのキャッシュレス化の好例といえる。これは2018年に開通したジャカルタの国際空港と市内を40分で結ぶ空港鉄道の乗車券の券売機だが、現金を入れるスロットはなく、プリペイドカードかクレジットカードでしか購入できない。予約はスマホでもできる。日本で現金が使えない券売機ができたとしたら非難轟轟だろう。そもそも現金が使えない券売機という発想すらないかもしれない。キャッシュレスがいいとか悪いとか議論する以前に、インドネシアは今躍動感をもって新しい世界に突き進んでいる。 2019/12/12