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世界を見る眼

2025年

  • トランプ2.0における米中対立 / 佐橋 亮 トランプ政権が再始動した。政権発足から1カ月余りで、内政と外交にわたり多くの政策を矢継ぎ早に大統領令または大統領主導によって実現しようとしている。そのスピード感は、この政権が新政権ではなく4年前からの延長線としてスタートしていることを示しているかのようである。前回のトランプ政権4年間で培った様々な経験を反映し、アメリカ・ファースト、または「力による平和」を実現するための政策課題や政策手法に確信を持っているかのようにも見える。 2025/03/13
  • 朝鮮の世界観におけるロシア支援 / 宮本 悟 ウクライナ戦争で朝鮮がロシアに軍部隊を送ったことが確実となった。2024年10月に朝鮮が軍部隊をロシアに派兵したことをウクライナが発表し、韓国や米国、NATOが次々に確認した。2022年から始まったとされる武器支援に続く、朝鮮によるロシア支援である。ロシアも朝鮮もまだ両国間の軍事協力について公表していない。しかし、朝鮮から派遣された兵士がウクライナ軍の捕虜になったことから、朝鮮が軍部隊をロシアに送ったことは揺るがない事実となった。 2025/03/06
  • 2024年インドネシアの十大ニュース / アジ研・インドネシアグループ アジア経済研究所では、インドネシアを研究対象とする研究者が毎週集まって「先週何が起きたか」を現地新聞・雑誌などの報道に基づいて議論する「インドネシア最新情報交換会」を1994年から続けています。毎年末には、その年のニュースを振り返って、私たち独自の「十大ニュース」を考えています。今年も、アジ研・インドネシアグループの考える「2024年インドネシアの十大ニュース」を発表します。
    2025/03/04
  • 岐路に立つシリア──抑圧から希望へ、不確実な未来への歩み / ダルウィッシュ ホサム シリアのアサド独裁政権が終焉を迎え、54年にわたる一族支配と、60年に及ぶバアス党による恐怖と抑圧の統治に幕が下りた。2024年12月8日、2011年に始まった平和的な蜂起とそれへの弾圧が発端となった14年にわたる紛争の末、バッシャール・アル=アサドは国外へ逃亡した。彼が残したのは、紛争によって深く傷ついたシリアであった。その被害は甚大で、数十万人が命を落とし、人口の半数にあたる1300万人以上が家を追われ、難民もしくは国内避難民となった。 2025/02/17
  • 「西側の黄昏」後の東アジア――第二次トランプ政権の成立にあたって / 玉置 敦彦 アメリカは軍事力、経済力、技術力のいずれをとってみても世界で最も強大な国家である。中国との大国間競争が国際政治の焦点となって久しいが、アメリカの物質的な優位は揺るがない。これに日本や韓国、西欧諸国といった主要同盟国を含めた「西側」全体をみれば、その優勢は明確となる。それにもかかわらず、アメリカ主導の「リベラルな国際秩序」には黄昏が迫り、その根幹たる西側同盟も大きく揺らいでいる。震源地はアメリカ、とりわけ2025年1月20日に成立した第二次ドナルド・トランプ政権であり、その焦点は米中競争の最前線たる東アジアにほかならない。第二次トランプ政権発足後の東アジア、すなわち北東アジアから東南アジアにかけての地域秩序は、いかなるものになるのか。この小文では、歴史と理論を手がかりとして考えてみたい。 2025/02/13
  • 「地方発展20×10政策」とは何か――金正恩の戦略を読み解く / 郡 昌宏 2024年1月15日の最高人民会議第14期第10回会議で、金正恩国務委員長は「地方発展20×10政策」(以下、「20×10政策」)の開始を表明した。これは、毎年全国「20」の市・郡を選定して工場などの建設を行い、「10」年以内に全国約200の市・郡において住民の生活水準を向上させるという政策である。金正恩政権は同政策を通じて地方経済を発展させ、金日成時代から問題となっていた地域間の経済格差の解消と全国的な経済発展を目指している。 2025/01/29