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スリランカ大統領による政変の帰結――さらなる混乱の始まり
/ 荒井 悦代
10月末にマイトリパーラ・シリセーナ大統領による突然のラニル・ウィクレマシンハ首相解任、かつての政敵マヒンダ・ラージャパクサの首相任命という前代未聞の政変は、7週間後には大統領がラニルを再び任命するという何とも不可解な結末を迎えた。何が起こったのか。
2018/12/27
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(中国の空は青くなるか?――資源エネルギーから見た低炭素社会への道――)第3回 石炭大国・中国のいま
/ 森永 正裕
北京に数ある繁華街の中で、最も歴史があり、最も観光客に有名なのが王府井だろう。数年前、その王府井の小吃街(軽食を出す露店街)で見つけたのが「食べられる石炭」だ(写真1)。当り前だが、黒い。形状は練炭そのもの、原料は小麦粉だろうか、無味で硬めのパンに近い食感で蜂蜜をかけて食べる。「石炭チャーハン」なる料理を看板にしているレストランもある(写真2)。黒く色付けしたチャーハンを練炭の形に盛ったもので、運ばれてくるとアルコールをかけ点火する。これが威勢良く燃える。そして美味い。この店の看板メニューにして看板パフォーマンスだ。
2018/11/22
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スリランカで大統領が突如首相を解任し、かつての政敵を新首相に任命
/ 荒井 悦代
10月26日、マイトリパーラ・シリセーナ大統領を中心とするUPFA(統一人民自由連盟)は連立政府から離脱すると突如宣言、その後大統領はマヒンダ・ラージャパクサを首相に任命した。この動きは、任命の直前まで極秘であった。その3時間後、大統領はラニル・ウィクレマシンハUNP(統一国民党)総裁に対してファックスで首相解任を正式に通知した。2015年に打倒ラージャパクサで集結した連立政権は、ラージャパクサの復活によって幕を閉じた。そして幕引きしたのは他ならぬシリセーナだった。首相と大統領の亀裂はこの数カ月顕著ではあったが、これほどの急展開はスリランカ政界内においても予想外だったようだ。
2018/11/06
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(アジアに浸透する中国)「中国化」するカンボジア
/ 初鹿野 直美
近年、カンボジアは「中国化」しているといわれる。中国から莫大な援助を受けた結果、政策的に中国の言いなりになっているのではないかという意味あいや、さらには、人権問題などの内政への不干渉を基本とする中国の援助を受け、カンボジアの国内政治がより強権化しているという意味でも「中国化」という言葉がつかわれているようだ。以下では、主に1990年代後半以降の中国とカンボジアの関係を整理したうえで、カンボジアの「中国化」の現状と今後について考えたい。
2018/11/05
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ブラジルの民主主義は後退するのか?――大統領選世論調査を手がかりに
/ 菊池 啓一
2018年10月7日、ジルマ・ルセフ前大統領(以下、ジルマ)が2016年に弾劾によって罷免されてから初めてとなる総選挙(大統領選、下院選、上院選、州知事選、州議会選)がブラジル全土で実施された。その結果、10月28日に決選投票が行われることになったものの、選挙戦でのポピュリズム的手法と過激な発言から「ブラジルのトランプ」とも称されるジャイール・ボルソナーロ下院議員が大統領選の第一回投票で最も多くの支持を獲得した。また、彼が立候補に向けて今年加入した社会自由党(PSL)はこれまで小政党であったが、今回の選挙で下院における議席数を大幅に伸ばし、上院にも4名の議員を送り込むことに成功した。
2018/10/26
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(アジアに浸透する中国)ウイグル問題を抱える中国とトルコ
/ 今井 宏平
バラク・オバマ政権の第2期の後半から、シリア問題をめぐりアメリカとトルコの関係が少しずつ悪化してきた。この傾向はドナルド・トランプ政権の発足により、さらに拍車がかかった。また、欧州連合(EU)とトルコの関係も、トルコにおいて発生した2016年7月15日クーデタ未遂事件後のトルコ政府の国家非常事態宣言の適用をめぐって緊張した。トルコとアメリカの関係およびトルコとEUとの関係が悪化すると、トルコがEUや北大西洋条約機構(NATO)を脱退して、ロシアと中国が主導する上海協力機構への参加に舵を切るのではないかといった論調も見られるようになった。トルコとロシアの関係は歴史的に深く、これまで協調と対立を繰り返してきた。近年は2015年11月25日のトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件で両国の関係が緊張したが、2016年6月末に関係を修復、その後はシリア内戦への対応を中心に、密接な関係を築いている。
2018/10/19
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(アジアに浸透する中国)99年租借地となっても中国を頼るスリランカ
/ 荒井 悦代
スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり施設や土地を中国に明け渡さざるを得なくなった事例である。
2018/10/19
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(アジアに浸透する中国)中国の影響力拡大とそれに対する反発――中国カザフスタン関係から
/ 熊倉 潤
「今の大統領はキタイ(中国)の友達だ。だが、老齢だ。すぐに死ぬ。そうしたら、サヨナラだ」。カザフ人のタクシーの運ちゃんは、中国と良好な関係を維持する現在のカザフスタン大統領ヌルスルタン・ナザルバエフを「匪賊」(бандит)と口汚く罵った上で、筆者に向かってそう言い放った。2018年7月末、カザフスタンの最大都市アルマトゥでのことだ。
2018/10/19
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(アジアに浸透する中国)中国NGOの「走出去」が拓く新時代
/ 大塚 健司
東西冷戦期から中国は、発展途上国でありながら、近隣の社会主義国への対外援助を積極的に進めるとともに、反植民地・反帝国主義を掲げてアジア・アフリカ諸国への援助を行ってきた。その後、改革開放政策のもとで経済発展を遂げるなか、アジア・アフリカ諸国を中心に途上国への「南南協力」を展開するとともに、インフラ整備への優遇借款の拡大を通して「ウィン・ウィン」による経済協力を推進してきた。また中国が主導・参加する多国間地域協力の枠組みでの優遇借款の供与や人材育成プログラムの導入も積極的に行っている(渡辺 2013, 2017; 中華人民共和国国務院新聞弁公室 2011, 2014)。最近では、中国主導による国際開発金融機関・アジアインフラ投資銀行(AIIB)や中国独自に創設したシルクロード基金を通したインフラ投資や「一帯一路」構想への参加国に対する国際協力を展開しており、そこでの政府と企業が一体となった「走出去」(海外進出、海外展開)の動向に内外の関心が集まっている。
2018/10/05
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(アジアに浸透する中国)中国の台頭と太平洋島嶼国の独自外交――大国間でしたたかに生きる島嶼国家
/ 片岡 真輝
中国のプレゼンスと影響力は、オセアニアに位置する太平洋島嶼諸国でも確実に増大している。オセアニア地域での中国の影響力の拡大に関する最近の分析では、中国の対オセアニア各国への経済援助の拡大を議論の出発点にするものが多い。それは、中国と当該地域との関係が中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラム(China-Pacific Island Countries Economic Development and Cooperation Forum)を通じて急速に強化されてきたことに起因する。同フォーラムは、中国と太平洋島嶼諸国間の貿易や投資、観光などを促進することを目的としており、第1回は2006年4月にフィジーの首都であるスバで開催された。第1回フォーラムには、中国から温家宝首相が出席し、太平洋島嶼諸国に対し、3年間で3億元の融資や2,000人の政府職員・技術者への訓練プログラムの実施などが表明された 。第2回フォーラムは2013年11月に広州で開催され、汪洋副首相が出席した。第2回フォーラムでは、インフラ開発などのために10億USドルの融資の追加などが表明された 。
2018/10/05
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(アジアに浸透する中国)政権交代で対中戦略を見直すマレーシア
/ 中村 正志
今年5月の総選挙で首相に返り咲いたマレーシアのマハティール・モハマドは、8月17日から5日間にわたって中国を公式訪問した。これに先立つ7月、マレーシア政府は、「一帯一路」事業の認定を受け中国企業が受注した東海岸鉄道と2つのパイプラインの工事を凍結していた。日本など一部の外国メディアは、マハティール首相の訪中を「『一帯一路』に反旗」などとセンセーショナルに報じた。対照的に、現地メディアの報道はおしなべて落ち着いたものだった。マハティール首相は最終日の記者会見で凍結中の事業の中止が決まったと発表したが、マレーシアのメディアはそれを「一帯一路」構想への挑戦とは見なしていない。マハティール首相自身もまた、事業中止を喜んだり誇ったりするのではなく、苦渋の表情を見せた。いったいどういうことなのか。
2018/10/05
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(アジアに浸透する中国)開発の政治的条件、開発の政治的帰結
/ 川中 豪
近年、世界各地で見られる民主主義の後退の一因として、中国の影響力が高まったことを挙げる議論がある。曰く、先進民主主義国を含め、民主主義国は様々な面で停滞気味で、経済開発という点でも軍事力という点でも中国に大きく引き離され、民主主義であることに自信が揺らいでいるという。
2018/09/20
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(アジアに浸透する中国)変わるミャンマー、適応する中国
/ 中西 嘉宏
ミャンマーが軍事政権だった時代、ミャンマーと中国との関係はしばしば依存と称された。中国からミャンマーへの経済協力は、1997年から2006年の間に累計で、贈与が2,430万ドル、貸し付けが4億6,280万ドルにのぼったとされる 。この数字は米国や欧州連合から制裁を受けていた当時のミャンマーとしては、突出した援助額だった。また、ときに国連安全保障理事会に提出されるミャンマーへの非難決議には中国が拒否権を行使してきた。依存という言葉が適切かどうかは別にして、ミャンマーは中国に外交上頼らざるをえない状況であった。
2018/09/20
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(アジアに浸透する中国)特集にあたって――多元化する中国ファクター
/ 江藤 名保子
21世紀は中国の時代になる。投資家のジム・ロジャーズが自著A Bull in Chinaでこう強調したのは2007年のことであった。それから10年余り、国際社会における中国の存在感は高まり続けてきた。たとえば2017年5月に北京で開催された「一帯一路」国際協力サミットフォーラムには130あまりの国・地域および70以上の国際機関の代表が参加した。現在の国連加盟国数が193カ国であることからすれば、実に世界の7割近くが「一帯一路」に関心を有しているといえる。
2018/09/20
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2017年ケニア大統領選挙をめぐる混乱(5・終)
/ 津田 みわ
2017年9月1日、ケニアの最高裁が下した判断は、ケニア国民にとどまらず世界中を驚かせた。同年8月におこなわれた大統領選挙を最高裁が無効とし、これにより、すでに選管が宣言していたにもかかわらず、現職U・ケニヤッタ大統領の再選が無効になったのであった。ケニア国内のメディアはもとより、CNN、BBCなど国際メディアもこぞって、この件をアフリカ初であるとして驚きとともに報じた。以後ケニアでは、再選挙の実施、野党側による選挙ボイコットと、選挙をめぐって混乱が続いた。その混乱とはいったいどのようなものだっただろうか。背景には何があったのか。その後、問題は解決したのだろうか。
2018/08/30
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(中国の空は青くなるか?――資源エネルギーから見た低炭素社会への道――)第2回 中国はどのようなエネルギー・ミックスを目指すのか
/ 森永 正裕
北京駐在時の筆者の週末の楽しみは、近所の公園でおこなうフットサル(ミニサッカー)だった。北京っ子はサッカー好きが多い。十数面ある公園内のコートは毎週ボールを追いかける市民で埋まるが、その日は誰もいない。コートは施錠されている。管理人に鍵を開けてもらうよう頼むと、驚いた顔で「本当にやるの?」と聞いてくる。大気汚染ではない。その日の北京の気温はマイナス17度。いつもサッカー好きが集う公園もさすがにこの寒さだと閑散としている。筆者もこの気温でのサッカーは初体験だった。まず、指先の感覚が無くなる。吐く息が凍ってまつ毛がキラキラ輝き、鼻と耳が、そして頭が痛くなる。持参したドリンクは凍って飲めない。この日は早々に断念して切り上げた。
2018/08/27
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2017年ケニア大統領選挙をめぐる混乱(4)
/ 津田 みわ
2017年9月1日、ケニアの最高裁が下した判断は、ケニア国民にとどまらず世界中を驚かせた。同年8月に行われた大統領選挙を最高裁が無効とし、これにより、すでに選管が宣言していた現職U・ケニヤッタ大統領の再選も無効になったのであった。ケニア国内のメディアはもとより、CNN、BBCなど国際メディアもこぞって、この件をアフリカ初であるとして驚きとともに報じた。以後ケニアでは、再選挙の実施、野党側による選挙ボイコットと、選挙をめぐって混乱が続いた。その混乱とはいったいどのようなものだっただろうか。背景には何があったのか。その後、問題は解決したのだろうか。
2018/08/20
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トルコ2018年6月大統領・国会同日選挙――政局屋依存の集権的大統領制へ
/ 間 寧
トルコは2018年6月24日、集権的大統領制下で初めての大統領・国会同時選挙(双選挙)を実施した[注1]。大統領選挙ではレジェップ・タイップ・エルドアン現職大統領が52%の得票率で勝利、一院制国会の選挙ではエルドアンを党首とする公正発展党(AKP)は前回総選挙と比べて得票率を7%ポイント減らして議会単独過半数を失ったものの、選挙連合を組んでいた民族主義行動党(MHP)の議席数を加えると過半数を維持した(図1)。本稿では、これらの結果が何を意味するのか、また今後のトルコ政治の展開とどのようにかかわってくるのかを考察する。
2018/06/29
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(中国の空は青くなるか?――資源エネルギーから見た低炭素社会への道――)第1回 中国の空を汚しているもの
/ 森永 正裕
少し前の話になるが、2014年の暮れ、“鳥の巣”と称される北京五輪スタジアムで、ブラジル代表対アルゼンチン代表のサッカー国際親善試合がおこなわれた。当時、FCバルセロナのチームメイトであったブラジル代表のネイマールとアルゼンチン代表のメッシの直接対決と言えば、サッカーファンならずとも、その貴重さは理解できるだろうか。習近平国家主席がサッカー好きなのは有名な話だが、北京っ子にもサッカーファンは多く、そう簡単には見られない世界最高峰のゲームに北京の街は何日も前から期待に沸いた。
2018/06/21
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自動車配車サービスをめぐるフィリピンの荒れ模様:東南アジアの一事例
/ 岡部 正義
近年のフィリピンの成長と発展への勢いは引き続き高まっている様相だ。2年前、当時のフィリピン国家経済開発庁(NEDA)長官で、自身も農業経済学・開発経済学分野においてフィリピンを代表する経済学者の一人でもあるアルセニオ・バリサカン氏は、もしもフィリピンが今見られる好調な経済成長を引き続き維持できれば、早ければ2022年までには世銀による分類でいうところの「上位中所得国」カテゴリー入りを目指せるだろうと太鼓判を押していた(現在は下位中位所得国)。すでに言い古された感が否めないが「消費の拡大」「中間層の台頭」「今後しばらく持続が期待される人口ボーナス」といった肯定的なフレーズが現在のフィリピン経済を形容している。
2018/06/13
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トルコ大統領・国会選挙繰り上げ――「指導者」と政局屋
/ 間 寧
2017年4月の憲法改正のための国民投票で集権的大統領制導入を決めたトルコでは1、新制度による大統領・国会同時選挙(本稿では双選挙と称す)が2019年11月に予定されていた。しかし与党公正発展党(AKP)党首でもあるレジェップ・タイップ・エルドアン大統領(現行では議院内閣制の大統領)は2018年4月18日、双選挙を1年半近く繰り上げて6月24日に実施することを発表した。双選挙はなぜ繰り上げられたのか、そして繰り上げは何を意味するのか。本稿は、(1)大統領選挙と国会選挙で別々に働く政治的利害、(2)現在事実上の与党連合を形成する2党の党首の行動様式の違い(「指導者」と政局屋)からこれらの問題を考察する。
2018/05/09
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92歳のマハティール氏がなぜ次期首相候補なのか(後編)
/ 中村 正志
前編では、野党連合を率いてナジブ政権に挑むことになったマハティール氏の動機について、これまでの経緯を振り返って推察した。マハティール氏がナジブ首相と対立し始めたきっかけは政策志向の相違であった。ナジブ政権発足当初の改革路線にマハティール氏が異を唱えたのである。ところが、マハティール氏が政府系投資会社であるワン・マレーシア開発公社(1MDB)の乱脈経営を批判し、ナジブ首相の横領疑惑を追及し始めたことから、熾烈な権力闘争が始まった。首相の巻き返しにより党を追われたマハティール氏にとって、いまでは「ナジブおろし」が最重要目標であり、野党連合である希望連盟への参加はそのための手段である。本来、マハティール氏と野党のあいだには、政策志向の点で大きな隔たりがある。マハティール氏自身、野党指導者との関係は「敵の敵は味方」という性質のものであることをインタビューで認めている(『日本経済新聞電子版』2018年2月1日付)。
2018/04/27
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農業・農村の変化と技術進歩
/ 伊藤 成朗
途上国農村には貧困層が多く住むので、農村の労働生産性が上がれば、貧困をなくす重要な手立てとなる。これは絵空事ではない。貧しい途上国農村でも、新しい技術や仕組みの導入によってその都度豊かになってきた過去がある。技術進歩が機械と人間の新たな関係を生む段階にある現在、過去の経験を俯瞰して技術進歩が途上国農業の今後に与える影響を展望することが望まれている。以下では、先行研究に頼りながら過去の新技術普及の経験を概観し、得られる知見をもとに途上国農業に与える影響を考察する。
2018/04/02
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2017年ケニア大統領選挙をめぐる混乱(3)
/ 津田 みわ
2017年9月1日、ケニアの最高裁が下した判断は、ケニア国民にとどまらず世界中を驚かせた。同年8月に行われた大統領選挙について、最高裁が選挙そのものを無効とし、いったんは選挙管理委員会が宣言した現職U・ケニヤッタ大統領の再選も無効であると判断したのであった。ケニア国内のメディアはもとより、CNN、BBCなど国際メディアもこぞって、この件をアフリカ初であるとして驚きとともに報じた。
2018/03/08
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2017年ケニア大統領選挙をめぐる混乱(2)
/ 津田 みわ
2017年9月1日、ケニアの最高裁が下した判断は、ケニア国民にとどまらず世界中を驚かせた。同年8月に行われた大統領選挙について、最高裁が選挙そのものを無効とし、いったんは選挙管理委員会が宣言した現職U・ケニヤッタ大統領の再選も無効であると判断したのであった。ケニア国内のメディアはもとより、CNN、BBCなど国際メディアもこぞって、この件をアフリカ初であるとして驚きとともに報じた。
2018/02/23
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新時代ベトナム・インド関係の行方――ベトナム側の視点
/ 寺本 実
ベトナムとインドの外交関係にとって、2017年は節目の年であった。 2017年1月7日、両国は外交関係樹立45周年を迎えた。そして同年7月6日は「戦略的パートナーシップ」の確立合意を盛り込んだ両国共同声明が出されてから10年という区切りの日であった。
2018/02/19
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2017年インドネシアの十大ニュース
/ アジ研・インドネシアグループ
アジア経済研究所では、インドネシアを研究対象とする研究者が毎週集まって、最新の出来事を現地新聞・雑誌などの報道に基づいて報告・議論する「インドネシア最新情報交換会」を1994年から続けています。毎年末には、その年のニュースを振り返って、私たち独自の「十大ニュース」を考えていました。これまでは内部のみで共有していた「十大ニュース」を、今回IDEスクエアの場で公開することにいたしました。
2018/02/15
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2017年ケニア大統領選挙をめぐる混乱(1)
/ 津田 みわ
2017年9月1日、ケニアの最高裁判所(Supreme Court)が下した判断は、ケニア国民にとどまらず世界中を驚かせた。同年8月に行われた大統領選挙について、最高裁が選挙そのものを無効とし、いったんは選挙管理委員会が宣言した現職U・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)大統領の再選も無効であると判断したのであった。司法判断で現職の最高為政者の再選が無効とされたのは、アフリカ大陸全体でもこれが初であるうえ、大統領選挙を無効とする判断自体がアフリカ初であるとして、ケニア国内のメディアはもとより、CNN、BBCなど国際メディアもこぞって、この件を驚きとともに報じた。
2018/02/05