児玉 由佳
研究歴
1996年に研究職に配属されて以降、エチオピアの地域研究に従事してきました。農村での研究を中心に、エチオピアの社会経済変容に注目してきました。エチオピアは近年サブサハラアフリカ諸国の中でも急速に経済成長を遂げてきましたが、同時に人々への政治的抑圧を批判されてきました。農村社会も、このような政治・経済的変化にさらされて大きく変容しています。
農村のひとびとは、このような変化に大きな影響を受けますが、その変化に対して受け身ではなく、積極的に対応しながら日常生活を送っています。新たな経済活動への参入、既存の慣習の変更、居住地からの国内外への移動など、彼らの生存戦略は多岐にわたります。これらについて、フィールドワークを中心に解明をめざしています。
現在取り組んでいるテーマ
現在ふたつのテーマに取り組んでいます。
ひとつは、若い女性の湾岸アラブ諸国への労働移動です。近年のエチオピアでは女子の教育機会が大幅に向上していますが、その受け皿となるべき労働市場が国内では十分ではないため、多くの若い女性が湾岸アラブ諸国への出稼ぎを選択しています。虐待などの人権侵害のリスクにさらされながら外国での就労を選択している女性たちの生存戦略への研究をおこなっています。
もうひとつは、農村部における新たな農産物への参入とそれに伴う社会・経済変容です。近年急速に生産を拡大している花卉産業と米生産を中心に、雇用形態や流通経路などの調査に取り組み始めました。