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立ち現れる正反対のナラティブ――もつれて悪化するインド・パキスタン関係
Emergence of the Contrary Narratives: Entangling and Deteriorating Indo-Pakistan Relation
PDF版ダウンロードページ:https://hdl.handle.net/2344/0002001443
2025年7月
(7,694字)
異なる2つのナラティブはなぜ生まれるのか?
2025年4月22日、インド連邦直轄領ジャンムー・カシュミール(以下、JK準州)の観光地パハルガームにおいて、観光客を狙ったテロ事件が発生した。本事件をパキスタンに根拠地を置く武装組織の犯行と断定したインドは、在印パキスタン人やパキスタン防衛駐在官の国外追放、在パキスタン印大使館の人員削減、インダス水利協定1の一時停止などの外交措置を講じ、5月7日未明にパキスタン領内のテロ組織のインフラを攻撃した。一方パキスタンは、インドとほぼ同等の外交的対抗措置をとりつつ、インドによる攻撃をうけて軍事的報復を実施した。双方による攻撃が展開され、世界が核戦争へのエスカレーションを憂慮するなか、5月10日に停戦合意に至り戦闘は停止した。
発端となったテロ事件からその後の軍事行動と停戦合意に至るまで、両国はまったく異なる認識を示したうえで自らの行為を正当化し、正反対のナラティブ(物語)を生み出している。両者はまるで違う意味世界にいるかのようであり、矛盾する両国の主張から正確な事実関係を導き出すことはほぼ不可能といってよい。しかし、対外的な発信が自国の立場を形作り、その次の行為を正当化する拠り所となることを考慮すれば、それぞれの思惑を考察するためにも、両国が紡ぐナラティブを検討することの重要性は決して小さくはない。
なぜこうした正反対のナラティブが現出するのであろうか。本稿ではまず、発端となったテロ事件の発生から戦闘の帰結までの一連の過程における両国の主張を比較する。次いで、二国間の最大の懸案事項であるカシュミール領有権問題とインドが主張する「越境テロ」問題を取り上げる。そして、カシュミール問題で現状維持を図るインドと完全解決を求めるパキスタンのアプローチの違いと、「越境テロ」の責任を押し付け合う双方の態度が、相手国を現状変更国家とみなす認識を生み出し、正反対のナラティブの現出につながっていることを示す。
チョードリー・パキスタン三軍統合広報局(ISPR)局長(右)
パハルガーム事件をめぐるナラティブ
パハルガーム事件は、民間人を標的にしたテロ事件としては、2008年ムンバイ同時多発テロ事件2以来の規模のものとなった3。目撃者の証言によると、実行犯の標的は非イスラーム教徒の男性であった4。実行犯から観光客を守ろうとしたイスラーム教徒の地元住民1人も犠牲となり(Express Tribune 2025a)、計26人(インド人25人、ネパール人1人)が死亡した。
事件直後に犯行声明が発出されたものの、その後同声明が取り消されたことで、誰がテロを実行したのかを確定しにくい状況となった。まず、イスラーム武装勢力ラシュカレ・タイバ(LeT)の分派組織とされる抵抗戦線(TRF)が事件後に声明を発出した。TRFはJK準州での「人口変動」に不満を表明するための犯行であったと主張した(SBS News 2025)。そのため、当初は2019年8月の旧JK州からの特別な自治権剥奪とそれ以降の同化政策に反発する犯行かと思われた5 。しかし、TRFは4月26日にテロへの関与を否定し、先の犯行声明はインド側からのサイバー攻撃を受けて勝手に送信されたものだとした(The Hindu 2025c)。一方、インド警察は実行犯のうち3人の似顔絵を公開し、1人はインドのJK準州出身者、2人はパキスタン人であると発表した6(Wani 2025; Times of India 2025b)。とはいえテロ直後に実行犯が捕まらなかったこともあり、誰がどのような目的で誰の命令を受けて実行したのか、第三者からは判断できない状態となった。このため、各国ともテロ行為自体は強く非難するが、事件への関与が疑われるパキスタンを名指しで糾弾するのを避けた7。
このテロ事件をめぐって、インドとパキスタンはまったく異なる見方を提示する。インドは、同事件をパキスタンに根拠地を置く武装勢力による「越境テロ」と断定し、LeTに所属するパキスタン人とパキスタンで訓練を受けたインド人のテロリストによる犯行だと主張した。インドによれば、攻撃の目的はJK準州に取り戻されつつあった「正常状態(normalcy)」に打撃を与えることである。具体的には、観光業主導の同地域の成長と発展を阻害し、パキスタンからの「越境テロ」の土壌を作り出すとともに、宗教間対立を煽ることであった。さらにインドは、テロリストがパキスタンの通信拠点と連絡を取っていることが判明したと発表した。そして、今回のテロと過去の「越境テロ」の記録とが一致しており、パキスタンの関与は疑いの余地がないと主張している8(Ministry of External Affairs 2025a)。
これに対して、パキスタンはあらゆる形態のテロを断固として非難するとしつつ、同テロ事件への関与を真っ向から否定する9。そして、信頼できる調査や検証可能な証拠がない状態でパハルガーム事件とパキスタンとを結びつけることは根拠に乏しく、反論理的だとした。また、インドは自国民の安全を確保できなかった責任を全面的に負うべきであるとし、事件に関する中立的で透明性のある調査を実施するよう求めた10(PMO Pakistan 2025; The Hindu 2025d)。さらに、パキスタンはインドが同事件を政治利用していると非難した。チョードリー三軍統合広報局(ISPR)局長は、インド人民党(BJP)政権が2019年2月のプルワーマー事件11を同年に実施されたインド連邦下院選挙での勝利や旧JK州からの自治権剥奪のために利用したように、今回の事件もインダス水利協定の一時停止などのために利用していると主張した12(Dawn 2025b ; Yousaf 2025)。
一方、テロ実行犯として疑われる武装勢力とパキスタン政府との繋がりについて、アースィフ国防大臣は同国が過去にLeTを支援してきたことを認めつつも、LeTは現在消滅しているためその分派組織であるTRFが生まれるはずがないとし、現時点でのLeTへの支援を否定した13。また、ターラル情報大臣は、テロリストの潜伏先としてインドが疑っている地域を国内外のメディア関係者とともに訪問してみせ、同地域は民間人居住区であったと反論した(Radio Pakistan 2025)。これだけにとどまらず、パキスタンは、パキスタン国内でのテロ活動を支援しているのはむしろインドであり、我々の方がテロの被害者であると声高に叫ぶ。チョードリーISPR局長は、パキスタン国内でテロ活動を実行した容疑で逮捕された人物を捜査した結果、同容疑者とインド軍人との関係が明らかとなったとし、その通信・通話記録などを「動かぬ証拠(irrefutable evidence)」として公開した(Geo News 2025)。さらに、近年パキスタン国内でテロ活動を加速させるバローチスタン解放軍(BLA)などの武装勢力も、インドからの支援を受けている代理勢力だと主張した。このように、両者の主張にはまったく折り合う余地がない。
軍事行動、停戦交渉、戦闘の帰結をめぐるナラティブ
このような相容れない認識が広がるなかで、両国による軍事交戦が続いた。インドは5月7日未明に「シンドゥール作戦」14を開始し、これまでにインドに対してテロを実行してきたとされるテロ組織のインフラを標的に、パキスタンの本土およびアーザード・カシュミール地域の9地点を攻撃した(Times of India 2025a)。これに対してパキスタンは、同攻撃によって民間施設が標的となり女性や子どもを含む民間人が死亡したと反発し、インドによる侵略行為だと断じた。そして、国連憲章および国際法に定められた権利を行使して応戦した(Ministry of Foreign Affairs 2025)。両者は、基本的にエスカレーションを望まない姿勢を堅持しつつも相手国の軍事施設を中心に反撃した、と自国の作戦の優位性や成果を強調した。そして、相手側が主張する戦果を認めず、民間人の死傷者の発生につながる相手国の攻撃の非道さを喧伝し合った15。両者の主張はまったく相容れない。
その後両国は5月10日に停戦するが、その経緯についても真っ向から対立する主張を繰り返した。両国の仲介役を果たしたと言い張るトランプ米大統領は、貿易を交渉のテコにして停戦を実現したと強調した(Haider 2025)。しかしインドは、パキスタン軍から停戦協議実施の意思確認があり、当初の作戦の目的が達成されている状況を鑑み、停戦協議に応じたと訴えた。そして、停戦合意は印パ両軍の軍事作戦部長間で合意されたものであるとして、アメリカによる仲介を否定した(Peri 2025; Bhattacherjee and Haider 2025)。一方のパキスタンは、自ら停戦を要請したことはないとインドの主張を一蹴する(Raza 2025a)。シャリーフ首相は、停戦要請を受けているとのムニール陸軍参謀長からの相談を受け、それを受け入れるよう指示したと説明した(Bacha and Ali 2025)。また、アメリカの仲介についてはトランプ大統領を「平和の人」と呼び、その仲介努力を高く称賛している16(Raza 2025c)。
これだけにとどまらず、両者は一連の戦闘に勝利したと自国民に対してアピールした。モディ首相は国民への演説においてテロリストを100人以上殺害したと述べ、作戦の成功を誇った。そして、今後もテロが起これば、テロ支援を行うパキスタン政府とテロ首謀者とを区別せずに然るべく対応を取るとして、軍事作戦の継続を訴えた(PMO India 2025)。つまり一連の事件を、「テロに屈せずに力で反撃したインドが『ならず者国家』パキスタンに打撃を与え勝利した」というストーリーに仕立て上げたのだった。他方、パキスタンのシャリーフ首相も、インドの戦闘機6機を撃墜した戦果をあげ、パキスタン軍がインドの「偽りの覇権」を粉砕し同国の不当な侵略に勝利した、と高らかに宣言した(Raza 2025b; Bacha and Ali 2025)。そして、勝利に貢献したムニール陸軍参謀長が陸軍元帥に昇進し、バーバル空軍参謀長の任期延長も決定された(Syed 2025a)。パキスタンでも、自国がインドに勝利した、というナラティブが生まれたのだった。国内世論に配慮する両者は、国民から弱腰と見られないようそれぞれが優位な立場にあったと強調したのである。
カシュミール問題に対する両国のアプローチの違い
こうした正反対のナラティブが現出するのは、カシュミール領有権問題に対する両国のアプローチとインドが主張する「越境テロ」に関する双方の認識が真っ向から対立するためである。
カシュミール問題17とは、印パの国家の統合原理をかけた戦いである。同じ英領インドを構成していた両者は、世俗主義を掲げるインドと「ムスリムの国」のパキスタンに分離して独立した。そして、地理的に両国の間に存在したカシュミール藩王国の帰属をめぐって印パは対立し、戦闘を繰り広げてきた。カシュミール地方はムスリムが多数派を占める地域である以上、パキスタンにとって当然自国に編入されるべき地域となる。一方、いかなる宗教の信者でも安心・安全を享受して生活できる世俗主義の国として誕生したインドにとっては、ムスリム多数派地域であることは同地域のインドへの帰属を否定する理由にはならない。4度の戦争が勃発し、現在は第3次印パ戦争後に画定された管理ライン(LoC)を境界線として、両国がそれぞれ実効支配地域を有している18。
この問題に対する両国のアプローチは大きく異なる。インドは、カシュミール問題の最終的な解決(どちらか一国に係争地全体の領有を認めさせること)を積極的に追求しているというわけではなく、基本的には現在の占有地域の維持を優先している19。パキスタン側カシュミールを併合する機会があった第3次印パ戦争のときでさえ、地域の不安定化や国際社会の反発への恐れなどから、インドはそれを意図的に行わなかったとされる。また、過去の印パ和平プロセスにおいても、インドはカシュミールを「インドの不可分の一部」だと主張はするものの、その最終的な決着を避けようとしてきた。そして、第3次印パ戦争後に締結された1972年のシムラ協定に基づいてカシュミール問題を二国間の問題として規定することで、第1次印パ戦争後の国連決議に基づく住民投票実施や第三国の介入を許さず、現状維持を図ってきた(伊藤 2020, 138-154)。
これに対し、パキスタンはカシュミール問題の最終的な解決にこだわる。「PAKISTAN」という国名の「K」が「カシュミール」を指していることからも明らかなように20、カシュミールの帰属が決まっていないことは自国の国家建設が不完全状態であることを意味し、カシュミールの一部がインドに占領されている現状は決して受け入れられるものではない。よって、帰属問題を完全に決着させるため、パキスタンは1949年国連安保理決議に基づく住民投票の実施を求めている21。カシュミール問題に対する両国のアプローチは、このように根本的に異なっている。
「現状変更国家」という認識のぶつかり合い
現在の占有地域の維持を志向するインドと領有権問題の最終的解決を望むパキスタンという両者の立場の違いは、テロの責任の所在に関する双方の主張にも反映され、それがお互いを「現状変更国家」とみなす認識を創り出している。
インドが主張するパキスタンからの「越境テロ」問題は、1990年代から頻繁に発生するようになった。インドは国民国家の維持の観点から、独立当初からJK州に他州にはない大幅な自治権を付与してきたが、中央政府による介入を通じてその自治権を徐々に形骸化させインドへの統合を図ってきた。その後、自治権の侵食に反発するJK州住民の武装闘争が1989年以降に本格的に展開されるようになった22。これに呼応して、アフガニスタンでの対ソ連戦争に従事していたアラブ人やパキスタン人のムジャーヒディーン(イスラーム聖戦士)がJK州での闘争に参加するようになり、パキスタンがこれを支援してきた(井上 2003, 89-94; 伊藤 2020, 142)。そして、パキスタン側からインド側へ武装勢力が侵入して破壊活動を行う「越境テロ」とされる暴力事案も発生するようになった。
インドは、こうしたテロ行為の責任をパキスタンに求め、同国を現状変更国家とみる。インドはこれまでパキスタンに対して、「越境テロ」を行う武装勢力を取り締まるよう再三申し入れてきた。パキスタン側はこれに応じる動きを見せてきた一方で、インド側カシュミール住民自身による闘争については公然と支持を表明するなど(Dawn 2025a)、インド側カシュミールに対する野心をのぞかせている。そのためインドは、パキスタンがいまだに同国内の武装勢力を支援、ないしはそれを完全に取り締まらずに放置して攻撃を行わせていると考える。過去のテロ事件の主謀者とされる人物がパキスタンで厳罰に処されていない様子が報じられ(Ojha and Kumar 2025; NDTV 2024)、現にテロが断続的に発生してきたことがその証左だとインドはみている。つまり、インドにとってパキスタンは、代理勢力を通じて攻撃を仕掛けてくる現状変更国家となる。
一方のパキスタンは、カシュミールでのテロはあくまでインド側の統治の失敗の結果であり、自分たちには責任がないと考えている。テロの実行犯もしくは協力者のなかには地元住民もおり、その背景にインド政府の抑圧的な統治に対する一部住民の反感があることが、その主張の裏付けとなる。またパキスタンは、2001年12月のインド国会議事堂襲撃テロ事件をうけて複数のイスラーム武装勢力(パハルガーム事件での関与が疑われるLeTも含む)を2002年1月に非合法化し、最近でも2019年にLeTの関連組織などを禁止団体に指定して活動員を全国規模で摘発するなど(Dawn 2019)、テロ問題対処への姿勢を見せてきた。一部の政治家は、かつてインド側で暴力を起こすパキスタンの武装勢力に対して軍事的支援をしていたことを認めているが(Der Speigel 2010; NDTV 2015; ANI 2025)、現在、そうした代理勢力への支援はしていないと政府は主張する。
さらにパキスタン(特にパキスタン軍)は、分離独立の経緯やインドの介入により東パキスタン(現バングラデシュ)を失った経験から、インドがパキスタンを解体しようとしているという深い恐怖心と地域大国インドの覇権主義に対する強烈な対抗意識をもっている(Pande 2011, 28-58)。このレンズに通せば、今回インドが「越境テロ」を理由に攻撃を仕掛けたことは、インドが自らの覇権確立のために言いがかりをつけて攻めてきたことにほかならない。そして、インドの陰謀を匂わせる状況証拠を提示しつつ23、我々は平和を望んでいるがインドが侵略してくるなら対抗しないわけにはいかないという話になる。つまり、パキスタンからみればインドこそが現状変更を試みる国家となる。そのうえで、印パ間で戦闘が勃発するのは、最大の問題であるカシュミール問題が解決されていないからだと主張する。最終的な帰属決定を避けようとするインドに問題の未解決状態を突き付け、第三国の関与を得ながらカシュミール問題の根本的解決への足掛かりをつかもうとするのである。
カシュミール問題とテロの責任の所在に対する両国の認識がまったくかみ合わないのであれば、パハルガーム事件を起点とした双方の一連の主張が一致しないのは当然であろう。
国際社会はどうみるか?
自国の思惑に沿うナラティブを展開する両国は、相手側の主張を否定して自らの立場の正当性を競い合っている。相手国の主張に耳を傾け、互いの立場を理解し合おうとする気配はまったくない。つまり、戦闘の火種となる二国間の根源的な問題は対処されずに温存されたままであり、今後も似たような軍事衝突が起こる可能性は高いといえる。
この膠着状態を打開しうる一つの契機は、国際機関を含む第三者の評価であろう。テロ組織への資金供与を監視する国際組織の金融活動作業部会(FATF)は、資金援助がなければパハルガーム事件は発生しなかったと強い非難を表明した(Times of India 2025c)。同組織は2022年10月、テロ組織への取り締まりを評価してパキスタンをグレーリストから除外していたが、今回の事件を受けて、パキスタンの再リスト化の議論が再燃することが予想される24。これに対してパキスタンも、インドによるパキスタン国内のテロ支援問題を提起する可能性がある。今後のFATFを含めた第三者機関の評価によって、両国のナラティブに対する国際社会の態度が決まっていくだろう。
写真の出典
- ミスリー Ministry of Defence(GODL-India)
- チョードリー ISPR(CC BY-SA 4.0)
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著者プロフィール
工藤太地(くどうたいち) アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ研究員。修士(地域研究)。専門は南アジア地域研究
注
- 世界銀行の仲介によって1960年に締結された協定。両国を流れる国際河川インダス川に関する水利権を規定し、インドに東側の3つの河川(ラーヴィー、ビヤース、サトルジ)、パキスタンに西側の3つの河川(インダス、ジェへラム、チャナーブ)の水利権をそれぞれ認めた。同協定の一時停止により、今後インドが西側河川の水を利用・貯水するようになり、パキスタン側の取水量が減少することが危惧される。
- 2008年11月にインドの都市ムンバイの高級ホテルや駅、カフェなどで同時多発的に発生したテロ事件で、160人以上が死亡した。
- 非民間人を標的にした近年の大規模なテロとして、2016年9月のウリー陸軍基地襲撃事件(兵士19人死亡)、2019年2月のプルワーマー自爆テロ事件(中央保安警察隊隊員40人死亡)があげられる。
- 実行犯は、イスラームの信仰告白に関する文言復唱の可否、身分証の名前や性器割礼の有無を確認して宗教的帰属を判断したとされる(Ali 2025; Jain 2025; Singh 2025)。観光客が標的にされたこともあり、犠牲者の出身地は東西南北のインド諸州に及んだ(The Hindu 2025b)。
- インド人民党(BJP)政権は2019年、JK州に付与されていた特別な自治権を剥奪し、JKとラダックを連邦直轄領に分割した。これにより、州外のインド国民による同地域への居住、土地購入および投資が可能となった。TRFが犯行声明で指摘した「人口変動」は、自治権剥奪以降の州外インド人によるJK地域への人口流入を指すと思われる。テロ事件の約2週間前の2025年4月9日、JK準州政府は議会に対して、過去2年間に8万部以上の居住地証明書(domicile certificate)を州外出身者に発行したと報告していた(The Hindu 2025a)。
- 一部報道によると、パキスタン国籍の実行犯の1人は元パキスタン軍人のLeT構成員とされる(Ranjan 2025)。また、JK準州出身の実行犯は2018年4月から家族と音信不通状態になっており、パキスタンへ渡航したのち急進的な思想に染まり、2024年にインドへ再入国したとされる(Sura 2025)。
- トランプ米大統領とルビオ米国務長官は事件後にインドへの支持を表明したが、国務省の公式見解はパキスタンを非難するものではなかった(Mint 2025)。
- TRFによる犯行声明撤回については、テロの主謀者が事態の深刻さを受けて撤回したにすぎず、これによりテロへの関与が否定されるものではないと主張した(Ministry of External Affairs 2025b)。
- パハルガーム事件を明確に非難していないという指摘に対して、パキスタンは自らも構成員である国連安全保障理事会の報道声明で同事件を明確に非難したと反論している(Dawn 2025b)。
- インドは、過去のテロ事件に関する調査でパキスタンと協力してきたが、その際パキスタン側から満足のいく返答がなくテロ主謀者が適切に処罰されなかったとして、パキスタンからの調査要請を拒んだ(Ministry of External Affairs 2025b)。
- 2019年2月にJK州プルワーマーで発生した自爆テロ事件で、中央保安警察隊隊員40人が死亡した。同事件後インドは、実行犯と疑われる武装勢力ジャイシェ・ムハンマド(JeM)の拠点があるとされるハイバル・パフトゥンハー州バーラーコートを空爆した。
- 詳しくは、記者会見を参照されたい。政府の公式文書では明確に主張されないものの、パキスタンではパハルガーム事件がインドの陰謀であるとの見方もある。チョードリー局長は、事件現場から最寄りの警察署までは約30分かかる距離であるにもかかわらず、同事件に関するインド警察作成の初動調査書(FIR)が犯行終了時刻からわずか10分後に作成されたとして、現場検証の異常な早さなど不自然な点に疑問を呈した。また、一部の政治家は、同事件がインド側の偽旗作戦であると公然と主張した(Khan 2025; Raza and Naqash 2025)。
- 詳しくは、Sky Newsによるインタビューを参照されたい。
- シンドゥールとは、ヒンドゥー教徒の既婚女性が髪の分け目につける化粧品を指す。テロ事件で夫を失った女性らの無念を晴らすべく、今回の軍事作戦の名前として使用された。
- 例えば、パキスタンがインド側の戦闘機ラファール3機を撃墜したと主張したのに対し、インドは不特定多数の戦闘機の撃墜を認めるもののラファールの損失をはっきりと認めていない(CNN 2025)。そのほかにも、パキスタン軍による攻撃でインド側のシーク教寺院が損害を受けたとインドが主張すると、パキスタンはインド軍が自国の寺院を攻撃していると反論した(Philip and Padmanabhan 2025)。
- ダール外相は、ルビオ米国務長官からインドが戦闘を停止する用意があると伝えられ停戦協議に応じたと主張した(Express Tribune 2025b)。
- カシュミール地域に関する略史については、拓・湊(2021)を参照されたい。インタビュー形式で非常に読みやく、メディアなどで流布されているカシュミール問題の一般的な解釈がいかに誤っているのかについても指摘している。
- インドがジャンムー・カシュミールとラダックを、パキスタンがアーザード・ジャンムー・カシュミールとギルギット・バルティスターンをそれぞれ占有している。他方、アクサイチンは中国による占有状態にある。旧カシュミール藩王国地域の各国の占有割合は、インド45%、パキスタン35%、中国20%である(井上 2003, 82)。
- 根本的な解決には、武力行使による併合と住民投票による帰属決定の2つが考えられる。前者の場合、国際社会からの批判と反発が予想され、後者の場合でも現在のインド側カシュミールを失う可能性があるため、インドは現状維持を志向していると思われる。
- パキスタンという国名は、英領インドのムスリム多数派地域の地名を取ってつけられたものである。「P」はパンジャーブ、「A」はアフガン(現在のハイバル・パフトゥンハー州に該当)、「K」はカシュミール、「S」はシンド、「TAN」はバローチスタンを指す。
- 国連を含む第三者による関与の是非についての主張に違いが生まれる一因は、シムラ協定の解釈が異なる点にある。問題の箇所は、「二国間の相互不一致は,二国間交渉もしくは相互に合意した方法によって平和的に解決する」という条項の部分で、インドはこれに基づきカシュミール問題が二国間問題として規定されたと解釈する。一方で、パキスタンは「相互に合意した方法」という言及を重視し,ここに第三国や国連の介入の余地があると解釈する(井上2003, 85-86)。
- 転機となったのは、1987年JK州議会選挙である。それまで州の自治権拡大の立場を取ってきた地域政党JK民族協議会が中央与党の国民会議派と選挙協定を結び、多くの不正行為を行って同選挙に勝利すると、議会政治に失望した住民が同地域での分離・武装闘争を実施・支持するようになった。
- パキスタン内で起こる民族主義運動やテロをインドが支援しているという主張などがこれに当たる。チョードリー局長は、両国間で戦闘が繰り広げられた5月9日から10日にかけて、バローチスタン州で33件のテロ攻撃が発生したことをあげて、インドとバローチスタンの武装勢力との協力関係を主張した(Syed 2025b)。
- パキスタンは、リスト除外と再リスト化を繰り返してきた。グレーリスト化されていた時期は、2008年2月~2010年6月、2012年2月~2015年2月、2018年6月~2022年10月である (Dawn 2022)。
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