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IDEスクエア

世界を見る眼

2023年

  • トルコ大地震──エルドアン政権の復興選挙 / 間 寧 トルコでは2023年2月6日の大地震後、救助活動の遅れと違法建築が被害を拡大させたとの批判が被災地から上がった。折しも本年5月14日には、大統領・議会選挙の実施が見込まれていた。この震災は、公正発展党(AKP)政権を2002年以来率いてきたエルドアン大統領の続投の試み(「エルドアンの巻き返し」IDEスクエア、2023年1月)にどのような影響を与えるのか。本稿では、この問題を、震災後の有権者の意識とエルドアンの戦略に着目して考えてみたい。 2023/03/13
  • 2022年インドネシアの十大ニュース / アジ研・インドネシアグループ アジア経済研究所では、インドネシアを研究対象とする研究者が毎週集まって「先週何が起きたか」を現地新聞・雑誌などの報道に基づいて議論する「インドネシア最新情報交換会」を1994年から続けています。毎年末には、その年のニュースを振り返って、私たち独自の「十大ニュース」を考えています。 2023/02/28
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第5回 不安のなかの習近平――中国の安全保障概念と外交政策への影響 / 頼潤瑤 習近平国家主席(以下、習近平)が今後5年間およびそれ以降の中国の外交観と政治課題の青写真を提示した中国共産党第20回党大会は、中国にとって最も重要なイベントの1つとなった。1980年代に中国共産党の指導者であった鄧小平が政治局常務委員会内で指導者が常に交代する仕組みを作り上げたのは、中国の内政および外交を1人のストロングマンが支配することを防ぐためであった。しかし、今回の党大会で習近平の任期制限が撤廃されたことは、中国が習近平のもとで「新時代」を迎えたことを間違いなく意味している。最も権力を持つ中国の指導者として3期目に入った習近平を政治的に制約するものは何もないだろう。 2023/02/17
  • ベトナム国家主席辞任劇にみる反汚職闘争の論理 / 石塚 二葉 2023年の旧正月を1週間後に控えた1月14日、ベトナムのメディアは、グエン・スアン・フック国家主席が夫人とともに湖に鯉を放す伝統の儀式を行う様子を報じていた。しかしそのたった3日後、フック国家主席の辞任というニュースが世界を驚かせた。1月17日、ベトナム共産党中央委員会の臨時総会は、2021~2026年任期における党政治局員、党中央委員等の役職を辞し、引退したいというフック国家主席の申し出に同意した。翌18日に召集された臨時国会は、同様に本人の辞職願にもとづき、フック国家主席を免職することを決議した。 2023/02/13
  • 「デカップリング」が世界経済に与える影響――IDE-GSMによる分析 / 熊谷 聡早川 和伸後閑 利隆磯野 生茂ケオラ・スックニラン・坪田 建明・久保 裕也 2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、1年近く経過しても停戦の気配はなく、民間人も含めて両国の人的・物的損失は拡大を続けている。ロシアへの経済制裁は侵攻直後に想定されていたような(アジ研ポリシーブリーフNo.156参照)全面的な制裁ではないが、長期的に続くグローバルな分断の引き金になる可能性は排除できない。 2023/02/06
  • 5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー / 清水 達也 2022年12月7日正午前、ペドロ・カスティジョ大統領は国民向けテレビ演説で、国会の解散と臨時政府の樹立を宣言した。午後には国会で同大統領に対する罷免決議案の採決が予定されており、カスティジョ大統領はこれを阻止するために先手を打とうとした。これに対しマスメディアは、大統領が自主クーデター(autogolpe)を試みたと報道した。また、ディナ・ボルアルテ副大統領が国会解散を否定したほか、首相をはじめとする主要閣僚や大統領の顧問弁護士もすぐに辞任を発表した。軍や警察も憲法の秩序を守るとして、カスティジョ大統領を支持しないことを発表した。 2023/01/31
  • ラオスの首相交代劇――頂点が見え始めた新首相のロングロード / 山田 紀彦 2022年12月30日、第9期第4回国会の最終日にパンカム首相が突如辞任し、ソーンサイ副首相(経済担当)が新首相に就任した。当初の「公式」議事日程に人事案件は含まれていなかった。本人からの書面による正式な辞任申し出は12月15日であり、ラオス人民革命党の最高意思決定機関である政治局が承認したのは12月21日だった(Pasaxon, January 3, 2023)。本人は辞任を渋っていたといわれ、事態が急展開したことを物語っている。 2023/01/26
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第4回 習近平政権の経済政策——産業政策、米中対立と今後の展望 / 丁 可 2022年10月に中国共産党第20回党大会が開催され、習近平指導部の第三期目が正式に発足した。以下で詳述するように、習近平政権のこれまでの経済政策には、産業政策を通じて経済構造の高度化を図る、という論理が貫徹していた。中国製造2025や一帯一路、米中対立、双循環戦略など、一連の象徴的な政策やできごとは、いずれもこの枠組みにおいて理解できる。同様に、第20回党大会以降の経済政策を読み解くうえでも、産業政策の視点が欠かせない。 2023/01/20
  • エルドアンの巻き返し――選挙前トルコの政治経済 / 間 寧 トルコでは、2023年6月までに実施される大統領・議会同時選挙でエルドアン政権が敗北しその20年の歴史に幕が引かれる可能性が取り沙汰されていた。しかし2022年秋以降、エルドアン大統領の世論支持率は持ち直す方向にある。なぜ支持率が持ち直したのか、そしてエルドアンは今後どのような方法で劣勢をさらに巻き返そうとしているのか。本稿では、何でもありの総力戦の中身を紹介する。主な柱は、為替介入と所得政策、硬軟両様の対外政策、有力候補の排除である。そして最後に野党の対応を展望する。 2023/01/10