活動指針

世界の確かな知を届ける

国際社会が複雑に変化し、膨大な情報が瞬時に流通する現代において、断片的・偏向的な情報を超えて「確かな知」を見極めることはますます困難になっています。日本貿易振興機構アジア経済研究所(「アジ研」)は、新興国・開発途上国地域における精緻な現地調査と学術研究の手法を通じて、世界を深く、多角的に理解するための「確かな知」を創出し、社会に届けます。

アジ研の活動指針

<アジ研の基本姿勢>

アジ研の調査研究は、以下の二つの価値を両立させる姿勢を基本としています。

  • 学術的卓越性:最先端の理論と方法を用いた、中立的かつ高度な学術研究の遂行
  • 社会的公共性:継続的な現地調査と分析に基づき、新興国・開発途上国地域の動態を日本・現地・国際社会に正確に伝えること

この両立は、私たちが提供する知の信頼性と、社会への応答を支える柱です。

信頼できる知を育み、社会の課題や変化に応えることで、研究は「つながりの力」を生み出します。この力は、多様な人々や地域との協働を促し、知の共有と相互理解を通じて、世界のより良い未来を築く礎となります。

<アジ研が目指すこと>

アジア経済研究所は、新興国・開発途上国地域に関する学術研究の拠点として「つながりの力で実現する豊かで平和な世界」のための知的貢献をなすことを目指しています。そのために、それぞれの国・地域に密着した知識を収集・蓄積し、新興国・開発途上国地域の実態と課題を明らかにし、当該地域に対する深い理解を広く国内外に提供します。こうした研究所の活動は、日本の国際理解を深め、ひいては日本と国際社会との望ましい連携を促進するための知的基盤となるものです。

このような理念と役割を踏まえ、アジア経済研究所では以下の点を重点的に強化していきます:

  • 学術的卓越性の追求を通じた途上国研究および社会科学の高度化への貢献
  • 現地の文脈を重視した知識の蓄積と発信による日本における途上国理解の深化と国際社会との望ましい連携の促進
  • 研究成果の現地への還元と対等なパートナーシップに基づく研究協働を通じた経済協力への寄与

アジ研の主な活動

  1. 新興国・開発途上国地域とその地域を取り巻く諸事情に関する調査研究
  2. 当該地域に関する資料の収集・整理・提供
  3. 研究成果の普及と政策立案に資する活動
  4. 国内外の研究ネットワークの構築と協働

アジ研の歴史と名称

写真:設立当時(市ヶ谷時代)のアジア経済研究所

設立当時(市ヶ谷時代)のアジア経済研究所

アジア経済研究所は、アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、並びにその成果を普及し、もってこれらの地域との貿易の拡大及び経済協力の促進に寄与することを目的として、1960年に「アジア経済研究所法」(昭和35年法律第51号)に基づき設立されました。

1998年には、アジ研と日本貿易振興会を統合する閣議決定(平成7年2月24日)に基づき、その使命と成果を引き継ぎながら、日本貿易振興機構(ジェトロ)の附置研究所となり、今日に至ります。

■アジ研の名称

アジア経済研究所の研究対象は、アジアに限らず、また経済分野にとどまりません。

設立当初は「アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情」を研究対象と定められていたため、「アジア経済研究所」という名称が用いられました。しかし設立直後からアジア以外の途上国研究にも取り組み、1970年代には中東、1980年代にはラテンアメリカやアフリカの総合研究を開始。研究テーマも経済にとどまらず、政治・社会へと広がり、対象地域・分野の両面で大きく発展してきました。

それでも「アジア経済研究所」という名称、そして広く親しまれている「アジ研」という呼称は、日本の途上国研究をけん引してきた歴史を象徴する存在として、今日も引き継がれています。

※英語名称については、設立当初のInstitute of Asian Economic Affairsから1968年度にInstitute of Developing Economies(IDE)に改め、現在はこちらを使用しています。