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コラム

おしえて!知りたい!途上国と社会

第2回 ベトナムの文化や習慣で驚いたことや尊敬していることはありますか?

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00050289

2018年3月

画像:質問

ベトナムの研究をされていますが、ベトナムの文化や習慣などで驚いたことや、

尊敬していることはありますか?

ベトナムで生活したときに驚いたことは、プライベートについて質問をたくさんされたことです。知りあいではない人、たとえばタクシーの運転手さんとの会話であっても、どこから来たのか、何才なのか、結婚しているのか、結婚相手は日本人なのか、子どもは何人いるのか、子どもの性別は、子どもは何才か、などと質問攻めにされることは日常茶飯事です。私は女性ですが、面と向かって体重は何キロか、とたずねられたこともあります! これは、今から10年以上前のことですが。

さらには、未婚だと答えれば「早く結婚した方がいい、ベトナム人と結婚してはどうか」、子どもが一人だと言えば「一人では少なすぎる、もっと生んだ方がいい」などと、おせっかいともとれるようなアドバイスが延々と続くことがよくあります。体重をたずねられたのは、相手のお宅に招かれて食事をいただいていたときでしたが、「それはやせすぎだ、もっと食べないと」と続きました。

日本なら、なぜこんな立ち入ったことを質問するのか、と怒りたくなるところですが、ベトナムでは私はおおらかに対応しています。私が日本人だと言ったことをきっかけとして、先方には日本で暮らす子どもがいることがわかり、日本ではどこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、と会話が弾むことも少なくありません。立て続けに質問され、こちらの話ばかりするのに抵抗があるときには、相手に同じような質問を投げかけています。現地の人々の暮らしや考え方について知るきっかけとなることが多くあります。

お互いのプライベートな事情や家族などについて立ち入った会話が日ごろから交わされることは、人と人との距離が近い社会であることのあらわれでもあります。ベトナム人を観察していると、たまたまバスで隣合わせに座った人たちの間で会話が始まり、その場限りの交流であってもお互いを思いやる言葉をかけて別れる、という場面をしばしば目にします。かたや日本の都会では、ご近所どうしがあいさつもかわさないことも少なくないようです。面倒だなと思うこともありますが、人のつながりの温かさを感じられるのがベトナム式の良さだと感じています。

回答・地域研究センター 藤田麻衣(ふじたまい)

【連載目次】

おしえて!知りたい!途上国と社会