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コラム

おしえて!知りたい!途上国と社会

 
第11回 発展途上国の支援のために私たちができることって何でしょう?

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00051450

2019年8月

画像:質問

発展途上国の支援のために、何か貢献できることはないかなと思っています。私たちにできることって何がありますか?

途上国への支援と聞くと、どんなイメージを持ちますか? ひとくちに途上国の支援といっても、実はかたちはさまざまです。国が途上国の経済発展や福祉のために行う援助(政府開発援助――ODA)、国連や世界銀行などの国際機関による援助政策、非政府組織(NGO)によるプロジェクト、そして実は民間企業も途上国支援のための活動を行ったりしています。  

では、皆さんが力になれることにはどんなことがあるでしょう。  

まず思いつくのは、途上国を直接支援することでしょうか。もっとも身近な方法としては、募金や寄付があります。さまざまな機関が、それぞれに目的を持って寄付を募っています。募金や寄付を行うときには、その団体の目的をしっかり理解して、趣旨に賛同できるところに自分のお金や物を託すことが大切です。また、自分自身の力を途上国で生かしてみたい!という希望があれば、一歩踏み出して海外ボランティアに参加してみるというのもよいかもしれません。インターネットで「国際ボランティア」と検索すると、いろいろと情報が得られます。  

でも実は、そういった行動を起こすことと同じくらいに、途上国のことを知る、ということも、とても大切なことです。「途上国」と聞いて、どんなイメージを持ちますか? お金が足りず、食べ物を買えず、不衛生な状況で笑顔もなく毎日を過ごさなくてはならない、そんな感じでしょうか? たしかに、経済的な物差しで見れば、いわゆる先進国と呼ばれる国とは異なる暮らしぶりかもしれません。でも、それをただ「不幸だから助けてあげなきゃ」と決めつけてしまうことは少し違うと思うのです。そこに暮らす人々の日常には、これまでの歴史で大切に積み重ねてきた文化や慣習が、色鮮やかに豊かに根付いています。もし、私たちの一方的な支援によってそれを大きく変えてしまったら、人々はどう感じるでしょうか?

写真:ベトナムにて

ベトナムにて(筆者撮影)

途上国で問題になっていることは、その国や地域によってさまざまです。例えば、衛生状況の改善が最優先の国もあれば、児童労働によって未来の選択が限られてしまっている子どもたちがいる国もあります。他にも、地球温暖化による海面上昇の影響が差し迫った課題となっているところもありますし、実は私たちが普段何気なく捨てているペットボトルなどのゴミが途上国へ輸出され、その国の環境汚染につながってしまっているという問題も最近指摘されています。知らず知らずのうちに、私たちの生活も途上国の人々の暮らしとつながっているのです。

支援を考えるのなら、まずはその国・地域、そしてそこで暮らす人々が置かれている状況を知り、何が必要とされているかをきちんと見極めることが大切です。そのうえで、私たちは何をすべきか、何ができるか、ということをじっくりと考える必要があるのです。  

私たちアジア経済研究所(アジ研)は、長い間、世界中の途上国・地域に関する研究を重ねてきました。いろいろなレポートを出していますし、専門家もたくさんいます。途上国に関するたくさんの本がある大きな図書館もあります。こういった場所も、途上国のことを知りたいと思ったときには活用できますね。  

でも、もし本当にもっと途上国のことを知りたいなと思ったら、旅行でもいいのでぜひ一度現地へ足を運んでみてください。そして、人々の表情や、時間の流れや、街の音や匂いなど、本や写真からだけでは伝わらないことを感じてきてください。きっと、自分なりの「気づき」が得られることでしょう。

読書や経験から得られた「気づき」をまわりにいる人々に知らせ、理解者を増やしていくことも、あなたにできる立派な国際貢献だと思います。

回答:青山由紀子(あおやまゆきこ)

回答者プロフィール

青山由紀子(あおやまゆきこ)アジア経済研究所 研究マネージメント職。大学で国際開発学を専攻後、民間企業勤務を経て2012年より現職。研究プロジェクトの企画・調整、研究所の広報、海外機関との連携などに従事。