藤田 麻衣
研究歴
ベトナムの包括的理解に努めながら、経済について幅広く研究しています。1996年のアジア経済研究所への入所後、まず対外経済関係を中心にベトナムについて学び始め、産業、企業、政策・制度など国内経済にかかわるテーマへと関心を広げてきました。未発達な制度環境下での市場主導による産業発展の様相に光を当てたのが編著『移行期ベトナムの産業変容』(アジア経済研究所、2006年)です。フィールド調査に基づく二輪車産業の研究では、多層的な途上国市場をめぐる産業発展のダイナミズムや途上国サプライヤーの戦略の役割を明らかにしました。近年では、企業セクターや国家・企業間関係などのテーマにも取り組んでいます。
現在取り組んでいるテーマ
主にふたつのテーマに取り組んでいます。ひとつは、企業セクターの発展の方向性です。国有企業改革、大規模民間企業の台頭、デジタル分野の新興企業の成長などに注目しながら、経営者の属性、企業の所有構造や政策の展開などを分析しています。比較の視座も取り入れつつ、ベトナムにおける企業セクターや国家・企業間関係の特徴を明らかにしたいと考えています。
もうひとつは、産業研究です。多国籍企業との取引を通じたサプライヤーの成長戦略や、米中対立がベトナムの経済発展に与える影響を取り上げています。この分野では、ベトナムの経験がグローバル経済との統合を通じた後発途上国の発展にどのような含意を持ちうるのかを探ろうとしています。