本書はアメリカと中国の勢力争いを左右し得る「小さな強国」台湾の生存戦略を論じている。過去の中台の交戦や軍事史の教訓から、小国が大国に抗うための軍事戦略を考えるとともに、軍事力を支える技術や社会的要因(とくに人口)も考慮に入れた台湾の国防戦略、そして外交や経済的手段も考慮に入れた包括的な「大戦略」(国家安全保障政策)にまで議論を進める。台湾の生存を脅かす要因は中国だけでなく、同盟国のアメリカにも存在する。一方、中国のねらいは文字どおりの「統一」(併合)でなく、南シナ海など海洋問題における中台共闘だと考えられる。そして、台湾は「島国」であり、大国間の勢力均衡策を図る「力」を発揮できる可能性がある。台湾が何もせずとも、中国は台湾の軍事力、政治的影響力を恐れている。大国を脅かす「力」をもつことは小国にとって諸刃の剣である。だからこそ、台湾には「小さな強国」として振る舞い続ける必要があるのである。