本書は、日本の国内地域とアジア太平洋の国・地域を連結した「2015年日本アジア国際間地域間産業連関表」作成に関する方法論とそれに基づき作成された表の研究報告である。
近年、複雑化しつつある国際分業構造(グローバル・バリューチェーン)を分析するためのツールとして、各国の産業連関表を連結した国際産業連関表が注目され、国際機関や世界の研究機関で作成が行われている。しかし、同一国内であっても、地域ごとに国際分業への関与の態様や外的ショックにより受ける影響は異なると考えられ、より詳細な国内地域レベルでの分析を可能にする「国際間地域間産業連関表」へのニーズが高まっている。
このような背景から、本書では、同一国内における地域ごとの違いを明示的に把握・分析することを可能にする「国際間地域間産業連関表」の作成方法を検討するとともに(第1章)、具体的な表として、日本の国内8地方とアジア太平洋における6カ国・地域を連結した16産業部門からなる「2015年日本アジア国際間地域間産業連関表」を作成した(第2章)。その表は巻末(補章)に掲載し、それを俯瞰した基礎的な分析結果も紹介した(第3章)。