東方 孝之
研究歴
これまでインドネシアをフィールドに、経済学的関心から人々の生計や行動の定量的分析を行ってきました。なかでも、貧困削減や投票行動といったテーマを中心に研究を続けてきましたが、近年は特に都市化の影響に注目しています。インドネシアには約8万のコミュニティ(村/区)がありますが、そのレベルで得られる人口や地理情報(GIS)を使い、共同研究者と都市圏(人口集積地)データの整備を進めてきました。この都市圏データを用いることにより、都市圏の成長(移住者の増加)が従来からの都市圏住民の雇用や所得に与えた影響や、周辺農村住民の所得に与えた影響などを探っています。
現在取り組んでいるテーマ
いまは都市化の分析に加えて、主に2つの研究に取り組んでいます。ひとつは、最低賃金制度の研究です。インドネシアでは地方分権制度の導入に伴い、地方自治体ごとに最低賃金水準が決まるようになりました。この制度変化を利用して、最低賃金水準の上昇が企業や労働者に与えた影響の分析を進めています。もうひとつは、自然災害の影響分析です。日本同様、インドネシアでは大規模な地震や火山の噴火が頻繁にみられます。こうした自然災害が人々の行動やひいてはインドネシアの経済全体にどのような影響をもたらしてきたのかを探り始めたところです。