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特集

混沌のウクライナと世界2022

  • 第1回 エチオピア――サウジアラビアからの帰還事業再開から見えたもの / 児玉 由佳 エチオピアにおける新型コロナウイルス感染者数は、2021年12月をピークに減少し、2022年7月21日には新規感染者数が99人と比較的低いレベルとなっている。新たな変異種による感染再拡大の可能性はあるものの、とりあえず感染状況は沈静化しているといえよう。これによって人々の動きも活発になると思われるが、エチオピアの場合は、サウジアラビアからの強制帰還者の受け入れという形で人の国際移動が再び動き出した。 2022/08/01
  • (混沌のウクライナと世界2022)第11回 ウクライナ戦争下の中央アジア――ロシアの「影響圏」での綱渡り / 齋藤 竜太 2022年2月24日に発生したロシアによるウクライナ侵攻は、7月現在、事態好転の見通しが立たない。悪化する現地の人道状況や、問い直される国際秩序のあり方など、さまざまな次元で大きな衝撃を国際社会に与え続けている。 2022/07/12
  • (混沌のウクライナと世界2022)第10回 ウクライナ・ロシア戦争とインドのバランシング外交 / 近藤 則夫 2月24日にロシアがウクライナに侵攻したのはインドにとっても驚きであった。欧米などはロシアを非難し、経済制裁、軍事支援を加速している。対照的なのがインドでロシアと欧米諸国の間で巧みにバランシングをとっているように見える。この小論ではインドが置かれた戦略的環境のなかで、インド人民党(BJP)のナレンドラ・モディ首相率いる国民民主連合(NDA)政権がこの戦争にどう対応しているか分析してみたい。まずインドとソビエト連邦(ソ連)/ロシアの歴史的関係を振り返った後で、インドがロシア、アメリカなど西側諸国、そして中国など大国がおりなす国際関係のなかでどのような位置を確保してきたか整理し、最後に展望を述べてみたい。 2022/07/08
  • (混沌のウクライナと世界2022)第9回 未承認国家 沿ドニエストル共和国――ソ連解体の落し子、ロシア介入の起源 / 松嵜 英也 ロシア・ウクライナ戦争の終わりが見えないなかで、ウクライナの隣国モルドバのなかに位置する沿ドニエストル共和国が注目されている。そのきっかけは、ロシア連邦中央軍管区副司令官ミンネカエフ少将の発言にある。彼によると、ウクライナにおける「特別軍事作戦」の第2段階は、同国東部のドンバス地方と南部の掌握であり、そこに沿ドニエストルを加えると、クリミアへと向かう陸の回廊が出来上がる 。それによって、ロシアはウクライナ軍や政府を弱体化させられるというものである(Шустрова 2022)。 2022/06/30
  • (混沌のウクライナと世界2022)第8回 ロシアのウクライナ侵攻が台湾問題にもたらす影響 / 松本 はる香 ロシアのウクライナ侵攻以来、中国の台湾への武力行使の可能性が注目を集めている。近い将来、中国による台湾への軍事侵攻は起きるのだろうか。本稿では、ロシアによるウクライナ侵攻に対する中国側の姿勢を明らかにするとともに、台湾問題に及ぼす影響について検討したい。その際、台湾海峡を挟んで対立してきた中国と台湾の歴史を振り返りつつ、「台湾有事」を阻止するために、いかなる方策を取るべきなのかについても探りたい。 2022/06/29
  • (混沌のウクライナと世界2022)第7回 ウクライナ危機の長期化による習近平政権の誤算と調整 / 江藤 名保子 2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから3カ月以上が経過し、さらなる長期化が懸念されている。この間、欧米諸国はロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除を含む強力な経済制裁を科し、ウクライナへの人的・軍事的支援を段階的に強化してきた。5月にはスウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請し、欧州政治の歴史的な地殻変動が進行中である。 2022/06/20
  • (混沌のウクライナと世界2022)第6回 ウクライナの「中立」は買えた――ロシア天然資源外交の興亡 / 藤森 信吉 2022年2月24日、プーチン・ロシア大統領は、北大西洋条約機構(NATO)が「ロシアの歴史的領土であるウクライナ」を踏み台にしてロシア攻撃のタイミングをうかがっているとして、「安全保障上の脅威」を第一の理由に挙げてウクライナ侵攻を開始した 。そもそもロシア、ウクライナはともに旧ソ連諸国であり、ソ連時代の人的・経済的関係やインフラ、言語・文化・歴史の共通性を有してきた。そのため、ロシアはウクライナに対し、通常の国家間以上に豊富かつ効果的な梃子を有していた。ソ連時代の両国にまたがる分業生産体制は、独立後も維持され、両国間の貿易関係を下支えした。日常生活でロシア語はウクライナ語と同程度に利用されており、両国エリート間のコミュニケーションやウクライナ世論へのモスクワ・メディアの浸透を容易にした。また、「大祖国戦争 」はロシア人とともに勝ち抜いた輝かしい歴史として記憶されており、対ロ感情は悪くなかった。 2022/06/09
  • (混沌のウクライナと世界2022)第5回 ロシアのウクライナ侵攻とイスラエル――「曖昧」路線の舞台裏 / 池田 明史 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻に際して、イスラエルは一方で基本的に「中立」の立場を闡明(せんめい)しつつ、他方ではいち早くウクライナに対する人道的支援に着手するという曖昧な姿勢に終始することとなった。戦災を逃れた避難民への医療資材や生活必需品の搬入とともに、ウクライナ国内に野戦病院を設営し、交替制で医療チームを送り込むなどの迅速な行動は、必ずしも厳正中立を唱道する国家の施策ではない。実際、イスラエルは国連総会でのロシア非難決議(3月)や人権理事会でのロシアの理事国資格停止決議(4月)には賛成票を投じたが、拘束力を持つ安全保障理事会のロシアを非難し軍の即時撤退を求める決議案には署名せず、米国から批判されている(Daoud 2022; Abrams and Weiss 2022.)。 2022/05/24
  • (混沌のウクライナと世界2022)第4回 ウクライナの港湾とロシア侵攻による海上輸送の影響 / 池上 寬 ロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されたのは2022年2月24日であった。この侵攻の初期段階で、ロシア軍はウクライナの港湾や空港を攻撃した。港湾や空港を早い段階で攻撃した背景として、これらのインフラは人とモノの輸送拠点であることが挙げられる。とくに、物資輸送では船舶輸送は陸上輸送(自動車、鉄道)や航空輸送に比べても、大量かつ廉価に輸送することが可能である。そのため、基点になる港湾への攻撃はウクライナ側の物資の輸送を大幅に断つことを可能にする。また、港湾の周辺には原油の貯蔵施設や精製施設、製造業が集積して工業地帯を形成していることも多い。こうした施設への攻撃は国内の生活基盤や国内経済へ甚大な影響を与えることを可能にする。 2022/05/20
  • (混沌のウクライナと世界2022)第3回 ウクライナ戦争をめぐるトルコの対応――積極的中立と世論調査の変化から読み解く / 今井 宏平 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、21世紀の国際政治のターニングポイントとなるのだろうか。ウクライナをめぐるロシアの対応は、20世紀の遺物として忘れ去られていた冷戦期の分断された世界や核の脅威を改めて我々に思い起こさせることとなった。ロシアと隣接し、北方領土問題を抱える日本にとってもウクライナ危機は対岸の火事ではない。 2022/05/17
  • (混沌のウクライナと世界2022)第2回 ウクライナ侵攻とロシア国内の反戦デモ / 油本 真理 2022年2月24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始した。この侵攻は世界に強い衝撃を与え、戦争をどのようにすれば止められるのかが一大関心事となった。戦況の行方と並んで多くの観察者が注目したのはロシアの国内情勢であった。観察者は政権中枢やオリガルヒ(新興財閥)の動向などから分裂の兆しやクーデターの可能性を読み取ろうと、またロシア国民が今回の侵攻をどのように受け止めているのかをつかもうと、さまざまな努力を重ねてきた。しかし、その核心に迫ることは容易ではない。なぜなら、ロシア国内では政府の公式見解からの逸脱に対しては厳しいペナルティが科されるようになっており(OVD-info 2022)、人々の「本音」を知ることがこれまで以上に困難になっているためである。 2022/04/21
  • (混沌のウクライナと世界2022)第1回 なぜゼレンスキーはウクライナの大統領になったのか?――人気タレントから大統領就任への社会的背景 / 松嵜 英也 ロシア・ウクライナ戦争が勃発しているなかで、こんにちヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(2019年―)ほど、知名度の上がった人物はいないだろう 。ゼレンスキーは、軍事介入に及び腰な西欧諸国の指導者達とは対照的に、ロシアのウクライナ侵攻に徹底抗戦する姿勢を示しながら、自国民の前だけでなく、米国や英国、そして日本の議会でも、Tシャツ姿でウクライナの窮状や支援の必要性を訴える。その姿は「西欧の道徳的リーダー」と言われるほど、大きく注目されている。 2022/03/30