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2019年インドネシアの選挙

  • (2019年インドネシアの選挙)インドネシア大統領選をどう見るか / 川村 晃一 インドネシアの大統領選挙は2019年4月17日に投票日を迎える。選挙戦が始まった2018年9月から2019年3月までの半年間は、組織固めなどの選挙運動が中心だったこともあり静かな展開だったが、3月24日から屋外での大衆動員をともなった選挙運動が解禁され、いよいよ選挙戦も熱を帯びてきた。投票日が迫ってきた2019年の大統領選を見る際のポイントはどこか。3つの観点から考えてみる。 2019/04/09
  • (2019年インドネシアの選挙)熱狂的な支持のなかで――ジョグジャカルタからの大統領選キャンペーン報告 / 土佐 美菜実 2019年4月17日の大統領選挙を前に、インドネシアでは著名人や特定の団体による候補者への支持表明が注目を集めている。特に、インドネシアは国民の多くがイスラーム教を信仰しているため、著名なイスラーム指導者たちの支持宣言は彼らを敬う一般のイスラーム教徒たちに影響を与え、票の行方を左右するとされている。 2019/04/09
  • (2019年インドネシアの選挙)2019年インドネシア大統領選挙で何がおきたか――分断と凝集の政治ベクトル / 本名 純 2019年4月17日、インドネシアで大統領選挙が実施された。世界最大で最も「ややこしい」直接民主選挙と称され、国際的な注目も浴びた。1億9000万を超える有権者が直接選挙で大統領を決めるのは、間違いなく世界最大規模の民主選挙だ。それがなぜややこしいのか。理由は各種の議会選挙の投票が同時に実施されたからである。有権者は大統領選挙に加えて、国会議員、地方代表議会議員、州議会議員、県議会・市議会議員を選出するため、同じ投票所で5種類(ジャカルタ首都特別州は県・市がないので4種類)の投票を同時に行う。 2019/05/21
  • (2019年インドネシアの選挙)社会運動が牽引したインドネシア大統領選の「分断」 / 見市 建 2019年インドネシア選挙は、1998年の政変を経て民主化時代に突入してから5回目の総選挙、4回目の大統領直接選挙であった。制度としての民主主義は定着したが、その民主主義の中身については多くの問題点が指摘されている。典型的なのは、民主化後も政財界には少数のエリートが居座り、寡頭制支配(オリガーキー)が行われているとの見方である。地方分権によって、地方でも相似形の支配体制が形成されているともいわれる。政治家と有権者の関係においては経済的な互酬関係(クライエンタリズム)が支配的だとされてきた。汚職の蔓延も公然の事実である。さらに法律の恣意的な運用によって、少数派の権利が抑圧される事例も後を絶たない。 2019/06/24
  • (2019年インドネシアの選挙)ポスト・トゥルース時代の政治の始まり――ビッグデータ、そしてAI / 岡本 正明 2019年4月17日に投票が行われたインドネシアの選挙は、1998年の民主化後のこれまでの選挙と大きく様相を異にしている。ひとつの特徴は、オンライン空間で真偽ないまぜになった候補者情報が大量かつ迅速に拡散したことである。2つ目の特徴は、2組の正副大統領候補のどちらも積極的にサイバースペースで選挙キャンペーンを繰り広げたことである。選挙戦ではインフルエンサー、ブザーが大活躍し始めた。3つ目の特徴は、サイバー空間での選挙戦の本格化にともない、とりわけ、現職のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領陣営は、積極的にAIによる機械学習でオンライン・メディア、ソーシャル・メディアの大量の情報(ビッグデータ)の分析を行い、有権者の真の声の理解に努め始めたことである。そのうえで、4つ目の特徴として、民間企業並みのマイクロ・ターゲティングの手法で個々の地域の実情に合わせた選挙キャンペーンを展開し始めた。本稿では、こうした特徴のなかでも1つ目と3つ目の特徴について解説する。 2019/07/29
  • (2019年インドネシアの選挙)大統領選挙におけるイスラーム主義指導者の「闘争」 / 茅根 由佳 近年の東南アジア各国においては、選挙前に社会の顕著な「分極化」が生じている(川中 2019)。2019年4月17日に投票が行われたインドネシアの大統領選挙では、過去半世紀にわたって争われてきたイスラームの宗教観をめぐる亀裂が顕在化した。選挙に出馬したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)とプラボウォ・スビアントは、それぞれ異なるイスラーム勢力を抱き込んだ 。ジョコウィは国内最大のイスラーム大衆組織ナフダトゥル・ウラマー(NU)に接近した。現NU執行部は他宗教との共存を前提とした宗教的多元主義を掲げ、イスラーム主義を「過激派」と呼んで攻撃した 。他方でプラボウォは、イスラーム主義勢力を取り込んだ 。インドネシアのイスラーム主義勢力は、多数派であるムスリムの共同体(ウンマ)の利益が優先されるべきであると唱え、宗教的多元主義は宗教間の平等を説く点で誤りであるとして否定してきた。かねてから現職のジョコウィに批判的だったイスラーム主義勢力は、ジョコウィ政権に「反イスラーム」のレッテルを貼った。つまり、両候補者の支持基盤であるイスラーム勢力が互いを攻撃しあったことにより、分極化が進行したということである。 2019/08/21