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特集

アジアに浸透する中国

  • (アジアに浸透する中国)特集にあたって――多元化する中国ファクター / 江藤 名保子 21世紀は中国の時代になる。投資家のジム・ロジャーズが自著A Bull in Chinaでこう強調したのは2007年のことであった。それから10年余り、国際社会における中国の存在感は高まり続けてきた。たとえば2017年5月に北京で開催された「一帯一路」国際協力サミットフォーラムには130あまりの国・地域および70以上の国際機関の代表が参加した。現在の国連加盟国数が193カ国であることからすれば、実に世界の7割近くが「一帯一路」に関心を有しているといえる。 2018/09/20
  • (アジアに浸透する中国)カネはほしいが、ヒトはいらぬ――インドネシアと中国の微妙な関係 / 川村 晃一 つい1年ほど前、中国からジャイアント・パンダがインドネシアにやって来た。1950年にインドネシアと中国が国交を樹立して以来、パンダが提供されたのは初めてのことであった。この出来事は、近年の両国関係の深まりを象徴している。 2018/09/20
  • (アジアに浸透する中国)変わるミャンマー、適応する中国 / 中西 嘉宏 ミャンマーが軍事政権だった時代、ミャンマーと中国との関係はしばしば依存と称された。中国からミャンマーへの経済協力は、1997年から2006年の間に累計で、贈与が2,430万ドル、貸し付けが4億6,280万ドルにのぼったとされる 。この数字は米国や欧州連合から制裁を受けていた当時のミャンマーとしては、突出した援助額だった。また、ときに国連安全保障理事会に提出されるミャンマーへの非難決議には中国が拒否権を行使してきた。依存という言葉が適切かどうかは別にして、ミャンマーは中国に外交上頼らざるをえない状況であった。 2018/09/20
  • (アジアに浸透する中国)開発の政治的条件、開発の政治的帰結 / 川中 豪 近年、世界各地で見られる民主主義の後退の一因として、中国の影響力が高まったことを挙げる議論がある。曰く、先進民主主義国を含め、民主主義国は様々な面で停滞気味で、経済開発という点でも軍事力という点でも中国に大きく引き離され、民主主義であることに自信が揺らいでいるという。 2018/09/20
  • (アジアに浸透する中国)政権交代で対中戦略を見直すマレーシア / 中村 正志 今年5月の総選挙で首相に返り咲いたマレーシアのマハティール・モハマドは、8月17日から5日間にわたって中国を公式訪問した。これに先立つ7月、マレーシア政府は、「一帯一路」事業の認定を受け中国企業が受注した東海岸鉄道と2つのパイプラインの工事を凍結していた。日本など一部の外国メディアは、マハティール首相の訪中を「『一帯一路』に反旗」などとセンセーショナルに報じた。対照的に、現地メディアの報道はおしなべて落ち着いたものだった。マハティール首相は最終日の記者会見で凍結中の事業の中止が決まったと発表したが、マレーシアのメディアはそれを「一帯一路」構想への挑戦とは見なしていない。マハティール首相自身もまた、事業中止を喜んだり誇ったりするのではなく、苦渋の表情を見せた。いったいどういうことなのか。 2018/10/05
  • (アジアに浸透する中国)中国の台頭と太平洋島嶼国の独自外交――大国間でしたたかに生きる島嶼国家 / 片岡 真輝 中国のプレゼンスと影響力は、オセアニアに位置する太平洋島嶼諸国でも確実に増大している。オセアニア地域での中国の影響力の拡大に関する最近の分析では、中国の対オセアニア各国への経済援助の拡大を議論の出発点にするものが多い。それは、中国と当該地域との関係が中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラム(China-Pacific Island Countries Economic Development and Cooperation Forum)を通じて急速に強化されてきたことに起因する。同フォーラムは、中国と太平洋島嶼諸国間の貿易や投資、観光などを促進することを目的としており、第1回は2006年4月にフィジーの首都であるスバで開催された。第1回フォーラムには、中国から温家宝首相が出席し、太平洋島嶼諸国に対し、3年間で3億元の融資や2,000人の政府職員・技術者への訓練プログラムの実施などが表明された 。第2回フォーラムは2013年11月に広州で開催され、汪洋副首相が出席した。第2回フォーラムでは、インフラ開発などのために10億USドルの融資の追加などが表明された 。 2018/10/05
  • (アジアに浸透する中国)中国NGOの「走出去」が拓く新時代 / 大塚 健司 東西冷戦期から中国は、発展途上国でありながら、近隣の社会主義国への対外援助を積極的に進めるとともに、反植民地・反帝国主義を掲げてアジア・アフリカ諸国への援助を行ってきた。その後、改革開放政策のもとで経済発展を遂げるなか、アジア・アフリカ諸国を中心に途上国への「南南協力」を展開するとともに、インフラ整備への優遇借款の拡大を通して「ウィン・ウィン」による経済協力を推進してきた。また中国が主導・参加する多国間地域協力の枠組みでの優遇借款の供与や人材育成プログラムの導入も積極的に行っている(渡辺 2013, 2017; 中華人民共和国国務院新聞弁公室 2011, 2014)。最近では、中国主導による国際開発金融機関・アジアインフラ投資銀行(AIIB)や中国独自に創設したシルクロード基金を通したインフラ投資や「一帯一路」構想への参加国に対する国際協力を展開しており、そこでの政府と企業が一体となった「走出去」(海外進出、海外展開)の動向に内外の関心が集まっている。 2018/10/05
  • (アジアに浸透する中国)中国の影響力拡大とそれに対する反発――中国カザフスタン関係から / 熊倉 潤 「今の大統領はキタイ(中国)の友達だ。だが、老齢だ。すぐに死ぬ。そうしたら、サヨナラだ」。カザフ人のタクシーの運ちゃんは、中国と良好な関係を維持する現在のカザフスタン大統領ヌルスルタン・ナザルバエフを「匪賊」(бандит)と口汚く罵った上で、筆者に向かってそう言い放った。2018年7月末、カザフスタンの最大都市アルマトゥでのことだ。 2018/10/19
  • (アジアに浸透する中国)99年租借地となっても中国を頼るスリランカ / 荒井 悦代 スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり施設や土地を中国に明け渡さざるを得なくなった事例である。 2018/10/19
  • (アジアに浸透する中国)ウイグル問題を抱える中国とトルコ / 今井 宏平 バラク・オバマ政権の第2期の後半から、シリア問題をめぐりアメリカとトルコの関係が少しずつ悪化してきた。この傾向はドナルド・トランプ政権の発足により、さらに拍車がかかった。また、欧州連合(EU)とトルコの関係も、トルコにおいて発生した2016年7月15日クーデタ未遂事件後のトルコ政府の国家非常事態宣言の適用をめぐって緊張した。トルコとアメリカの関係およびトルコとEUとの関係が悪化すると、トルコがEUや北大西洋条約機構(NATO)を脱退して、ロシアと中国が主導する上海協力機構への参加に舵を切るのではないかといった論調も見られるようになった。トルコとロシアの関係は歴史的に深く、これまで協調と対立を繰り返してきた。近年は2015年11月25日のトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件で両国の関係が緊張したが、2016年6月末に関係を修復、その後はシリア内戦への対応を中心に、密接な関係を築いている。 2018/10/19
  • (アジアに浸透する中国)ベトナムと中国――因縁の二国間関係の行方 / 石塚 二葉 ベトナムの中国との関係は、「世界で最も非対称的な二国間関係のひとつ」(Thayer 2016, 200)とされる。両国間関係はまた、最も深い因縁を持つ二国間関係のひとつであるといえるかもしれない。 2018/11/05
  • (アジアに浸透する中国)「中国化」するカンボジア / 初鹿野 直美 近年、カンボジアは「中国化」しているといわれる。中国から莫大な援助を受けた結果、政策的に中国の言いなりになっているのではないかという意味あいや、さらには、人権問題などの内政への不干渉を基本とする中国の援助を受け、カンボジアの国内政治がより強権化しているという意味でも「中国化」という言葉がつかわれているようだ。以下では、主に1990年代後半以降の中国とカンボジアの関係を整理したうえで、カンボジアの「中国化」の現状と今後について考えたい。 2018/11/05
  • (アジアに浸透する中国)モルディブの選挙で親中派の大統領が敗北 / 荒井 悦代 モルディブは、2013年に就任したアブドッラ・ヤミーン大統領の下では中国が第一のパートナーであり、中国の資金を得て経済開発を推進してきた。それに比して長年強固な関係を継続してきた地域のリーダー国であるインドに対するヤミーン政権の態度は露骨に冷淡だった。 2018/11/05