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特集

2022年中国共産党第20回党大会特集

  • (2022年中国共産党第20回党大会)第6回 習近平時代における欧州の対中姿勢の変化 / ヴィダ・マチケナイテ 2017年10月の第19回党大会での報告で、習近平は「長年の努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った」と述べた。この報告は、習近平が中国共産党の総書記として第2期目に移行する際のものである。「新時代」という文言は、2012年に中国共産党の総書記となった習近平個人と結びついている。実際に、習近平自身も「新時代」の時間軸を2012年以降と定義している。これまでに中国が経験した歴史的飛躍は、中国が成立した1949年以降と、豊かになった1978年から2012年、そして力強くなった2012年以降であるという。 2023/05/22
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第5回 不安のなかの習近平――中国の安全保障概念と外交政策への影響 / 頼潤瑤 習近平国家主席(以下、習近平)が今後5年間およびそれ以降の中国の外交観と政治課題の青写真を提示した中国共産党第20回党大会は、中国にとって最も重要なイベントの1つとなった。1980年代に中国共産党の指導者であった鄧小平が政治局常務委員会内で指導者が常に交代する仕組みを作り上げたのは、中国の内政および外交を1人のストロングマンが支配することを防ぐためであった。しかし、今回の党大会で習近平の任期制限が撤廃されたことは、中国が習近平のもとで「新時代」を迎えたことを間違いなく意味している。最も権力を持つ中国の指導者として3期目に入った習近平を政治的に制約するものは何もないだろう。 2023/02/17
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第4回 習近平政権の経済政策——産業政策、米中対立と今後の展望 / 丁 可 2022年10月に中国共産党第20回党大会が開催され、習近平指導部の第三期目が正式に発足した。以下で詳述するように、習近平政権のこれまでの経済政策には、産業政策を通じて経済構造の高度化を図る、という論理が貫徹していた。中国製造2025や一帯一路、米中対立、双循環戦略など、一連の象徴的な政策やできごとは、いずれもこの枠組みにおいて理解できる。同様に、第20回党大会以降の経済政策を読み解くうえでも、産業政策の視点が欠かせない。 2023/01/20
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第3回 権力の伝統に回帰する中国政治――中国共産党第20回党大会の成果と第3期習近平政権の展望 / 鈴木 隆 2022年10月16~22日の1週間にわたり、中国共産党第20回全国代表大会(以下、20回党大会と略記)が開催された。大会では、習近平総書記が、「中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、社会主義現代化強国の全面的建設のために団結奮闘しよう」と題する、向こう5年間の施政方針演説、いわゆる政治報告を発表した。また、新任の中央委員の選出と党規約の改正も行われた。 2022/12/19
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第2回 「習近平一強体制」と人民解放軍――個人支配の強化と党軍関係 / 林載桓 10月に行われた第20回党大会において総書記習近平の続投が確定し、習近平政権第三期目が始まった。大会の前から「ほぼ確実」とされたものが現実になっただけであるが、その意味は決して軽くない。今回の党大会の結果は、改革開放以降、中国のエリート政治を安定させてきた一つの制度が崩壊したことを公にした。その制度とは、リーダー間の権力分有、および権力継承のあり方を決めていた集団指導体制である。 2022/12/07
  • (2022年中国共産党第20回党大会)第1回 第20回党大会の注目点 / 内藤 寛子 2022年秋に中国共産党第20期全国代表大会(第20回党大会)が開催される。党大会は5年に一度開催され、そこでは重要な政策課題が議論されるとともに、党規約の修正や中央委員会および中央紀律検査委員会の選挙が実施される。くわえて、党大会直後には中央委員会第1回全体会議(1中全会)が開催され、中央委員のなかから25名前後の政治局委員と、さらにそのなかから7名の政治局常務委員が選出される 。第20回党大会およびその直後の1中全会は、中国共産党による政治運営を展望するうえで、とくに注目される政治イベントといえよう。なかでも今大会では、習近平の続投が確実視されており、1990年代から続いてきた「制度化された政権交代」が変化する可能性が高い。このような変化は、今後の中国政治の予測をより一層難しくさせるだろう。 2022/09/07