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世界はトランプ関税にどう対応したか

  • (世界はトランプ関税にどう対応したか)第1回 総論――第2次トランプ政権の関税政策の衝撃と世界経済 / 磯野 生茂 2025年に発足した第2次トランプ政権は、通商政策において第1次政権時以上に急進的かつ制度外的な手法を採用し、国際経済秩序に深刻な揺らぎをもたらしている。強硬な数値目標は大統領選挙戦の段階から前面に出ていた。トランプ氏は選挙中、再選後に全輸入に10〜20%の包括関税を課し、対中輸入には60%の追加関税を上乗せする構想を繰り返し示唆していた。当時は「トランプ氏がどの程度本気かはわからず、実際に高い関税を課すのは中国中心で、他国向けの包括関税は通商交渉のカードにとどまるのではないか」という見立ても有力であった(Bade 2024)。 2025/10/21