アジア動向年報
2022アジア動向年報
2021年のアジアは前年に落ち込んだ経済がおおむね回復傾向を示した一方で、多くの国で政情が不安定になりました。特にミャンマーとアフガニスタンでは体制転換が起き、両国では2022年に入っても不安定な状況が続いています。新型コロナウイルスの蔓延という表面的事象に目を奪われずに各国の動向を多面的に把握し、冷静かつ正確な分析を行うことが正しい理解につながるはずです。それは、アジア諸国・地域のコロナ後を見据える上でも欠かせません。『アジア動向年報2022』では23のアジアの国・地域、またアメリカとアジアの関係をカバーし、各国・地域を長年観察してきた研究者が現地の一次資料に基づいて2021年の動向を分析するだけでなく、その歴史的背景や意味についても明らかにしています。
■ 各国・地域の動向 大韓民国/朝鮮民主主義人民共和国/モンゴル/中国/香港特別行政区/台湾/ASEAN/ベトナム/カンボジア/ラオス/タイ/フィリピン/マレーシア/シンガポール/インドネシア/ティモール・レステ(東ティモール)/ミャンマー/バングラデシュ/インド/ネパール/スリランカ/パキスタン/アフガニスタン
CONTENTS
主要トピックス
アメリカとアジア――分断のなかの国際秩序再建戦略とその限界―― / 玉置 敦彦
各国・地域の動向
大韓民国
「非好感度比べ」と化した大統領選と経済の回復 / 奥田 聡、渡邉 雄一
朝鮮民主主義人民共和国
数値目標のみえない5カ年計画の開始 / 中川 雅彦
モンゴル
国政選挙で与党人民党が相次いで圧勝 / 湊 邦生
香港特別行政区
民主化の終わりと民主派の徹底弾圧 / 倉田 徹
台湾
高まる米中間の緊張と台湾の存在感 / 竹内 孝之、池上 寛
ASEAN
ミャンマー政治危機への対応とコロナ禍からの経済復興 / 鈴木 早苗、梅﨑 創
ベトナム
新指導部発足,感染症対策と経済回復に苦心 / 石塚 二葉、荒神 衣美
カンボジア
フン・セン首相による後継者指名 / 新谷 春乃
ラオス
新指導部の発足と「転換」への船出 / 南波 聖太郎
タイ
「政治改革」の後退と連立政権の内紛 / 青木 まき、高橋 尚子
フィリピン
任期終了を迎える強権的な政権 / 渡辺 綾
マレーシア
流動的な政治情勢が継続 / 谷口 友季子
シンガポール
次期首相選定問題の再発と迷走 / 久末 亮一
インドネシア
権威主義化の傾向を強める政権と政府主導の経済 / 水野 祐地、濱田 美紀
ティモール・レステ(東ティモール)
油田・ガス田開発と国家財政への懸念が浮上 / 田中(坂部) 有佳子
ミャンマー
軍クーデタの発生と複合危機の進行 / 長田 紀之
バングラデシュ
経済の復調と地方選挙での混乱 / 日下部 尚徳
インド
独立75周年を前に停滞するモディ政権 / 近藤 則夫、湊 一樹
ネパール
第5次デウバ政権,連立諸党との調整が難航 / 佐野 麻由子
スリランカ
コロナ禍と外貨危機に迷走するラージャパクサ政権 / 荒井 悦代
パキスタン
野党連合の分裂と上院選挙の波乱 / 井上 あえか、牧野 百恵
アフガニスタン
アメリカ軍撤退を受けて政権崩壊,ターリバーンが実権掌握 / 青木 健太