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高等教育無償化へ大きく舵を取るフィリピン――2010年代早くも2つめの大規模教育政策
/ 岡部 正義
2017年8月3日(木)、経済官僚らとの打ち合わせを夕方に終えたロドリゴ・ドゥテルテ大統領は共和国法(RA)第10931号、正式には「Universal Access to Quality Tertiary Education Act」(高等教育無償化法:以下、無償化法)法案に署名した。同法案が可決され大統領の署名を得たことで、選挙公約でも掲げられていた大学の無償化が2018年度から全国112の国公立大学・職業訓練校で実施される見通しとなった。日本でも教育無償化が様々に話題になっているさなか、隣国フィリピンの高等教育無償化には耳目が集まってよいだろう。
2017/10/31
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平静なソウルの人々
/ 中川 雅彦
ソウルの人々にとって、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器およびミサイルの開発が続いていることは、さほど重大な関心事ではない。核実験はすでに10年以上前に始まったものであり、ミサイルに関しても、もっと前の1998年8月に人工衛星の打ち上げ実験が実施されたことで、いまさら大陸間弾道弾が完成したといっても、ソウルの人々にはもはや衝撃ではない。核実験やミサイル発射が株価や為替の動向に影響を与えることもない。1990年代前半までは、ソウルで核問題などの危機感からコメや辛ラーメンを買いだめするという現象があったが、筆者は今回当地に赴任して以来これまでの間、このような人々を見たことはない。
2017/10/01
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ラオス人民革命党の綱紀粛正政策――2017年全党改善政治生活会議と思想教育について
/ 山田 紀彦
2017年に入りラオスでは党員の綱紀粛正が大々的に行われている。この背景には順調に経済発展を遂げる一方で、党員や公務員の汚職・不正が拡大し、党支配に対する国民の信頼が低下していることがある。党指導部は2016年1月に行われた第10回ラオス人民革命党全国代表者大会(以下、第10回党大会)において、汚職が一般的に蔓延していることを認め、党員・幹部の政治的資質の低下は「党の役割や影響力にとって挑戦的な問題である」(Eekasaan koongpasum nyai khang thii X phak pasaason pativat lao 2016, 28)との危機感を示した。
2017/09/02
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韓国の自転車事情
/ 二階 宏之
15年前に韓国に滞在していた時には韓国(ソウル)で自転車に乗っている姿をほとんど目にすることはなかった。今回韓国に来て、街中でヘルメットをかぶって自転車に乗る人や、地下鉄駅入り口やバス停近くに停車しているシェアサイクル自転車など、以前にはあまり見かけなかった光景を目の当たりにした。もともと韓国では、坂が多いとか、労働者の乗り物だとか、バスが発達しているとかの理由で自転車を交通手段として積極的に利用する人はいなかった。現在も、自転車といえばスポーツや趣味で使用するものだという考えが一般的である。一方で、政府の環境面からの自転車推進政策の推進により国民の自転車に対する意識の変化が少しずつ見えている。今回はここ数年の韓国における自転車に関する政策や取り組み、自転車に関する生活環境の変化について報告する。
2017/09/01
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