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海外研究員レポート

2023年

  • 法整備は「不足」か「不要」か――南米コロンビアの博物館事情 / 則竹 理人 南米コロンビアの最古にして最大の博物館であるコロンビア国立博物館(Museo Nacional de Colombia)は、今年2023年に創立200周年を迎えた。コロンビアの独立をいつとするかは諸説あるが、独立記念日として現在も祝日になっている1810年7月20日だとしても、その約13年後には博物館が設立されたことになり、建国当初から文化財を重要視していた姿勢がうかがえる。 2023/12/06
  • 台湾南部におけるデング熱の感染拡大と対応――蚊の繁殖を「巡、倒、清、刷」で防止 / 柏瀬あすか デング熱は、デングウイルスに感染した蚊にさされることで発症する感染症で、熱帯や亜熱帯の都市を中心にみられる。人から人への感染はほとんどなく、急激な発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状がみられる。特定の薬はなく、対症療法によって1週間程度で回復する場合が多いが、重症化することもある。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界全体で毎年3億9000万人が感染しているとされる。 2023/08/31
  • 選挙ポスターから見るトルコのダブル選挙 / 今井 宏平 どの国でも選挙が近づくと各党の党首や候補者の顔写真のポスターを中心に、選挙に関連するポスターが町で散見されるようになる。日本のように選挙掲示板に笑顔、もしくはまじめな顔の政治家のポスターが貼り出される国もあれば、選挙以外の時期でも選挙ポスターが貼り出されたり、選挙ポスターを通してさまざまな政治的主張をアピールしたりする国もある。例えば、筆者が専門とするトルコでは、選挙の宣伝がソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)やYouTubeの広告を通じて行われるようになっても、ポスターは相変わらず町の至る所に貼られている。本小論では、選挙ポスターが果たす政治的意義について概観したうえで、トルコの選挙ポスターを事例に、その政治的インパクトについて検討する。 2023/06/28
  • 深化する台湾とチェコの関係――アダモヴァー下院議長の訪台 / 柏瀬 あすか 2023年3月25日に、チェコのアダモヴァー下院議長率いる訪問団が台湾を訪れた。チェコからは2020年にヴィストルチル上院議長も訪台しており、要人の往来が続いている。本稿では、直近の台湾・チェコ間の交流や、両者の貿易・投資におけるつながりを概観するとともに、今回の訪問団の活動および成果を整理する。 2023/04/26
  • オランダにおけるズワルト・ピート論争――祝祭は伝統か差別か / 能勢 美紀 12月6日の「聖ニコラウスの日」とそれに関連する祝祭は、オランダで最も重要な伝統行事の一つである。この日、子どもたちはシンタクラース(Sinterklaas)からプレゼントをもらうが、シンタクラースはそれに先立つ11月中旬、従者のズワルト・ピート(Zwarte Piete ──英訳は‘Black Peter’)を連れ、スペインから蒸気船に乗ってやってくる。ズワルト・ピートは、「黒いピート」というその名が示しているように、黒い。今日一般的に行われる説明では、ピートが黒いのはプレゼントを配るために煙突にのぼり、煤で汚れたからである。 2023/02/21