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ライブラリアン・コラム

連載:途上国・新興国の2020年人口センサス

第5回 韓国――高齢化の進展と単身世帯の増加
 

二階 宏之

2022年2月

はじめに

韓国の人口センサスは1925年から開始され、2020年のセンサスまでに20回実施された。1990年の調査からは「人口住宅総調査」と呼ばれている。「人口住宅総調査」とは、韓国に住むすべての住民と住宅の規模および特徴を知るための国家の基本的な統計調査である。近年、単身世帯や共稼ぎ夫婦などの増加で未回答の事例が増え、また、調査費用の負担も大きいことから、2015年の調査から登録センサス方式を導入した。登録センサスとは、訪問調査をせずに、住民登録簿や建築物台帳などの行政情報を利用して全数調査を行う方式である。登録センサスにおける行政資料を活用した人口、世帯、住宅に関する統計は毎年作成されているが、地域の福祉、経済、交通など政策樹立に必要な実質的なデータを収集するため、5年ごとに全世帯の20%の標本調査を実施する。

時代を反映する調査項目

調査項目は、人口、世帯、住宅の3部門から構成される。新たな社会課題に関連する項目については標本調査で調査する。質問内容の変化を詳しく見ると、その時代の潮流と人々の生活を知ることができる。植民地解放後は読み書きができない人が多く、国家にとって重要な問題であったため、1960年の人口センサスから読み書きに関する質問を設けた。そのうち識字率が高くなると、1970年の調査を最後に質問から除外された。首都圏への人口集中が激化し、通勤や通学の「問題」が深刻化すると、1980年のセンサスに通勤や通学の交通手段に関する質問が導入された。また、改宗、改派する人や複数の宗教に属する人が増え、正確な信者数の把握が困難であったため、信仰する宗教に関する質問が1985年に導入された。それ以降も時代を反映する質問が次々と導入された。2000年のセンサスではインターネット回線の有無、2005年には北朝鮮内の離散家族の有無、2010年には外国人に対する調査が初めて導入され、2015年には女性のキャリア中断に関する質問が追加された。センサスの回数が重なるほど、住宅、経済、社会、文化、少子高齢化などの調査内容が増えていった。2020年の標本調査では、付き添い看護の必要、単身世帯の理由、一人暮らしの期間、ペットの所有、消防施設の有無、飲み水の種類など、6つの質問が新たに加わった。

センサスの情報は国家の政策に活用されるほか、企業もセンサスから時代の変化を読み取り、情報を積極的に活用している。例えば、単身世帯の増加を見据えたインスタントご飯や、女性の社会進出に伴う低度数焼酎の販売などがセンサスを活用した一例である。

多様な回答方式(標本調査)

オンラインでの回答方式が2005年の調査から導入されたが、今回はあらたにモバイルからの回答が導入された。標本調査に選定された世帯は、郵便で発送された調査案内の参加番号から、オンライン(パソコン・モバイル)調査、電話調査に参加できる。オンライン調査はパソコンで「人口住宅総調査」を検索して参加するか、またはスマートフォンのQRコードをスキャンして参加する。電話調査は無料コールセンターに電話して参加するか、ホームページで電話調査の予約をする。これらの方法で期間内に回答しない場合には、調査員が直接訪問し、面接調査を行う。2020年は非対面調査を原則としているため、パソコンやモバイル、電話で調査に参加した世帯を対象に、抽選で3万ウォン相当のモバイル商品券を景品として提供するなど、非対面調査への誘導を図った。

全数調査の結果

(高齢社会から超高齢社会へ)

2020年人口住宅総調査の全数調査は、登録センサス方式で集計したもので、2020年11月1日午前0時を基準に住民登録簿、外国人登録簿、建築物台帳、学籍簿など25種の行政資料を集計したものである。人口住宅総調査は経済、社会に関わる政策策定の評価資料として活用される。2020年の集計結果では、韓国に居住する総人口は5183万人で、韓国人が5013万人、外国人が170万人となり、2019年に比べて総人口は約5万人増加した。外国人は総人口の3.3%を占め、2019年に比べて8万人減少した1。ソウル、仁川、京畿道に居住する首都圏の人口は2604万人で、総人口の50.2%を占めており、2019年の50.0%から0.2%増加した。少子高齢化の影響が深刻化するなか、0~14歳の幼少年人口と15~64歳の生産年齢人口は、2019年に比べてそれぞれ13万人、19万人減少した。65歳以上の高齢人口は821万人で46万人増加した。

韓国人全体に占める高齢人口の比率は、2000年の7.3%から2020年には16.4%に増加し、高齢社会から超高齢社会への道を着実に進んでいる(図1)。

図1 年別年齢構造

図1 年別年齢構造
(出所)『2020年人口住宅総調査結果<登録センサス方式>』統計庁 2021.7.29より筆者作成

(3割が一人暮らし)

2020年11月1日現在、韓国の総世帯数は2148万世帯で、2019年に比べ59万世帯(2.8%)増加し、首都圏に1060万世帯(49.3%)が居住している。一般世帯のうち、マンションに居住する世帯は前年比37万世帯増加した1078万世帯となり、全体の51.5%となった。

一般世帯の世帯人員は、単身世帯が31.7%と最も多く、2人世帯28.0%、3人20.1%、4人15.6%、5人以上4.5%の順である。3世帯に1世帯が一人暮らしという状況である。また、2019年に比べて単身世帯は1.5%、2人世帯は0.2%増加した一方で、3人世帯は0.6%、4人世帯は0.6%、5人以上の世帯は0.5%減少した。この影響で、平均世帯人員は2.34人となり、2019年に比べて0.05人減少した。単身世帯は急速に増加しており、2000年には15.5%だった単身世帯の割合は、2020年には約2倍の31.7%に増加した。単身世帯と2人世帯を合計した割合も2000年の34.6%から2020年には59.7%へと大幅に増加した(図2)。

図2 年別世帯員数の比率

図2 年別世帯員数の比率
(出所)『2020年人口住宅総調査結果<登録センサス方式>』統計庁 2021.7.29より筆者作成

単身世帯を年齢別に見ると、20代が19.1%で最も多く、続いて70歳以上が18.1%、30代が16.8%の順である。20代の単身世帯は昨年127万世帯に達し、1年前と比べて15万世帯も増えた(表1)。

表1 年齢別単独世帯数

(単位:千人、%)

表1 年齢別単独世帯数
(出所)『2020年人口住宅総調査結果<登録センサス方式>』統計庁 2021.7.29より筆者作成

(住まいはマンションが人気)

2020年11月1日現在、住宅数は1853万戸で2019年に比べて40万戸増加した。マンションは1166万戸で、全住宅の62.9%を占めており、2019年に比べて38万戸増加した。築20年以上の住宅は910万戸で、全住宅の49.1%を占め、2019年に比べて40万戸増加した。

標本調査の結果

標本調査は、2020年11月1日午前0時現在の全国の20%の標本世帯に対し、インターネット、モバイル、電話、調査員訪問の調査で集計した結果である。

基本項目の特徴は、一つ目に、教育水準の向上、男女教育格差の減少、未婚現象が拡大しているなど従来の傾向が大きくなっていること、二つ目に、少子化による人口構造の変化が本格的に現れ始めたということ、三つ目に、ベビーブーム世代の高齢化に伴う変化が具体的に現れ、60歳以上の高齢人口の増加傾向が強まっていることである。さらに、四つ目に、2020年の新たな質問項目から、介護が必要な人口135.1万の1割(9.8%)にあたる13.2万人が介護をしてくれる人がいない、ペットを飼っている世帯が313万世帯で全世帯の15%、ミネラルウォーターを飲んでいる世帯が967万世帯で全体の46.2%、という傾向がわかった。

人口特性項目の特徴は、一つ目として、出生数の減少などにより合計特殊出生率は継続的に悪化しており、子どもがいない傾向まで目立ち始めている。二つ目として、コロナの影響で、保育施設に預けられない児童を父母や祖父母が養育する家族が増加した。また、在宅勤務やリモート授業により通勤・通学する人口の割合も減少した。三つ目として、近年は首都圏からの流出が続いたが、2020年には首都圏集中化が再び始まったという点である。

世帯項目の特徴は、単身世帯については、半数が未婚で本人が生計を立て、賃貸の一戸建てに暮らしていると要約できる。単身世帯になった理由は、職場(34.3%)が一番多く、続いて、本人の自立(26.2%)と家庭内事情(17.0%)、家族との死別(15.5%)、学業(4.9%)、本人の健康(1.5%)、その他(0.6%)となった。年齢別に見ると、29歳以下は学業が多く、30~50代は本人の職場が相対的に多く、60歳以上は家族の事由および家族の死別が相対的に多いことがわかった。住宅項目の特徴として、2015年以降、一般世帯の賃貸形態が、チョンセ(家賃なしの補償金賃貸)より家賃賃貸の比率が高くなる傾向が続いているといえる。

単身世帯が急速に増加する理由として、青年層の結婚への意識が変化し、学業と就職を理由に家族と離れて暮らす事例が増えたことや、中年離婚の増加、配偶者と死別し一人暮らしする高齢者が増加していることによると分析されている。今後は単身世帯がより増加することが予想されるため、より住みやすい制度を構築できるかが大きな課題であろう。

おわりに

人口センサスは政策の方向を決める主要な指標である。今回の標本調査には45の質問項目があるが、なかには、一人暮らしの理由、一人で暮らした期間、部屋の数、職場の名称、初婚の時期、出産の有無、今後の出産計画、収入源、補償金・家賃の金額など、ややプライバシーに踏み込んだ質問も見受けられる。そのため、人口センサスを行うたびに、プライバシー侵害や個人情報流出を危惧する声があがり、質問の適切性をめぐる議論が再燃している。統計庁は項目別調査の目的を明示しており、具体的な質問は必ず必要であると公益を重視する。また、個人情報は統計法第33条に従って厳格に秘密が保障されていると明らかにしている。他国も同様であるが、公益とプライバシーの均衡の追求は韓国においても重要な課題となりつつある。

参考文献
  • 金炫成(2017)「韓国――人口の高齢化と高まる長寿リスク」(末廣昭・大泉啓一郎編『東アジアの社会大変動――人口センサスが語る世界』名古屋大学出版会所収)。
  • 二階宏之(2015)「韓国の人口統計」『アジ研ワールド・トレンド』241号、54ページ。
  • 박영실・박현정・정남수(2013)「2015 인구주택총조사 조사표 설계를 위한 인지면접 사례 연구」 『통계연구』18(1), 34-55(パクヨンシル・パクヒョンジョン・ジョンナムス(2013)「2015人口住宅総調査調査票設計のための認知面接事例研究」『統計研究』18(1)、34~55ページ)

(報道資料)

  • 『2020년 인구주택총조사 결과 < 등록센서스 방식 >』통계청 2021.7.29(『2020年人口住宅総調査結果<登録センサス方式>』統計庁 2021.7.29
  • 『2020 인구주택총조사 표본 집계 결과――인구·가구 기본 항목』통계청 2021.9.27(『2020年人口住宅総調査標本集計結果--人口・世帯基本項目』統計庁 2021.9.27
  • 『2020 인구주택총조사 표본 집계 결과――인구 특성 항목(여성, 출산력, 아동, 인구이동, 통근․통학)』통계청 2021.11.29(『2020年人口住宅総調査標本集計結果--人口特性項目(女性、出産力、児童、人口移動、通勤・通学)』統計庁 2021.11.27
  • 『2020 인구주택총조사 표본 집계 결과――가구·주택 특성 항목(1인가구, 주거실태, 빈집)』통계청 2021.12.24(『2020年人口住宅総調査標本集計結果--世帯・住宅特性項目(単身世帯、住居実態、空き家)』統計庁 2021.12.24

(インターネット情報)

著者プロフィール

二階宏之(にかいひろゆき) アジア経済研究所学術情報センター主幹。担当は朝鮮半島。2001~2003、2017~2019年海外研究員(ソウル)。主な著作に『朝鮮半島における南北経済協力――韓国からの視点』アジア経済研究所 2008年、「第1章 韓国――大学の国際化と評価への期待と葛藤――」(佐藤幸人編『東アジアの人文・社会科学における研究評価――制度とその変化――』アジア経済研究所、2020年)など。

  1. 韓国人の人口は、住民登録人口から3カ月以上海外に居住している人口を差し引いた数値、外国人の人口は、外国人登録人口から3カ月以上国内に居住している人口を加えたものである。