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ビジネスと人権――国家・企業・市民として――

2021年9月14日

アジア経済研究所では、「ビジネスと人権に関する国連指導原則」を中心にすえて、2013年政策提言研究会「新興国市場におけるビジネスと人権――日本のCSR戦略に向けて」を皮切りに、「ビジネスと人権」について研究を継続しています。ビジネスと人権に関する国際的動向を調査し、日本企業がどのように人権尊重をそのオペレーションに取り込むべきか、そして政府はどのようにサポートしていくのかを調査研究し、日本政府のビジネスと人権に対するコミットメントの重要性について提言してきています。

政策や実務が先行する一方、「ビジネスと人権」は学問的研究分野として急速に展開されています。法学および経営学はもとより、他の学問領域とされる経済、政治、税制、気候変動、AI、貿易、投資、移民労働など多くの研究分野との関係性が見出され、人権というレンズを通して、グローバルな重要課題に新しい視点を持ち込んでいます。グローバルな課題であるとともに、現地のコンテクストを理解するローカルなアプローチが不可欠です。

「ビジネスと人権に関する国連指導原則」とは?

書籍:ビジネスと人権に関する国連指導原則

2011年6月国連人権理事会において全会一致で承認された「ビジネスと人権に関する国連指導原則」(UN Guiding Principles on Business and Human Rights)は、人々の権利を尊重する企業の責任を、国連文書として初めて明記した、ビジネスと人権に関する公式のガイダンスです。第一の柱として人権を保護する国家の義務、第二の柱として人権を尊重する企業の責任、そして第三の柱として救済へのアクセスから構成され、31の原則を規定しています。国連の政府間組織が、専門家が策定した文書を承認(endorse)した点においても画期的です。日本は当時の人権理事会のメンバー国です。 指導原則には、政府、企業および業界団体、世界各地で企業活動から直接的に影響を受けている個人および地域社会、市民社会、そして指導原則が言及している法律や政策などの多くの領域の専門家を含む、ステークホルダーとの広範な話合いの成果が取り入れられています。こうした背景があるからこそ、指導原則は、国家、企業、市民社会組織、関係するすべてのステークホルダーの共通言語となっています。

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