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クウェート在外備蓄原油がつなぐ「制度的パイプライン」――日本・ベトナムを結ぶエネルギー連携

The “Institutional Pipeline” Underpinned by Kuwaiti Overseas Crude Stockpiles: Energy Cooperation Linking Japan and Vietnam

PDF版ダウンロードページ:https://hdl.handle.net/2344/0002001945

2026年5月

(5,860字)

なぜベトナムは日本に備蓄の融通を求めたのか?

2026年5月現在、ホルムズ海峡の実質的な封鎖の継続は、アジア全域をかつてないエネルギー危機へと突き落としている。湾岸産油国からの原油供給は深刻なレベルで滞り、東南アジア諸国では物流の麻痺や電力不足など市民生活に甚大な影響を及ぼしている。日本国内においても、燃料価格の高騰のみならず、広範な業界で原料不足による操業停止・供給停止への懸念が強まっている。日本政府は、代替調達先の確保に奔走するとともに、他国に先んじて3月16日から国内備蓄原油の放出を開始した。日本で国内備蓄の放出が開始された翌日、ベトナム政府は日本に備蓄原油の一部提供を公式に要請した。この要請は、供給不足と家計への不安を募らせる日本国内で困惑と疑念を呼んだ。なぜ、ベトナムが日本に備蓄の融通を求めるのか、と。

日本政府が「産油国共同備蓄」の順次活用という方針を示したことは、高市首相のベトナム訪問予定が報道されたことも相まって、日本政府がベトナムへの備蓄原油の融通に踏み切るのか、注目を集めることとなった1。ひとまず、4月15日に高市首相が金融支援の実施とあわせて、日本の備蓄を他国へ融通することはないと明言したことで決着はついたが、周辺諸国は有事の保険として、世界最大級の日本の石油備蓄を注視し続けている。今回なぜ、ベトナムが真っ先に日本の石油備蓄の融通を求め、日本側も検討の俎上に載せざるを得なかったのか。これらの疑問を解く鍵は、ホルムズ海峡の封鎖で石油を積み出せず窮地に陥った産油国・クウェートの介在にある。

本稿は、クウェートが所有権を持つ、鹿児島県喜入基地に存在する「産油国共同備蓄」という名の海外石油在庫と、ベトナム北部に位置し、日本・クウェート・ベトナム三カ国の戦略と思惑が複雑に絡みあうニソン(ギソン)製油所の操業問題に着目する。ホルムズ海峡封鎖という危機の下で、この二つをつなぐものとして浮かび上がったのが、物理的なパイプラインの不在を法理と金融で乗り越える「制度的パイプライン」という知略のスキームである。

写真1 ホルムズ海峡のオマーン側・ムサンダム半島の付け根に位置する要衝・ハサブ付近の様子(2019年5月29日)

写真1 ホルムズ海峡のオマーン側・ムサンダム半島の付け根に位置する要衝・ハサブ付近の様子
(2019年5月29日)
出口を封じられた産油国・クウェートの苦境

ホルムズ海峡の封鎖は、湾岸産油国にとっても大打撃である。とくにクウェートは、サウジアラビアやUAEのようにホルムズ海峡を回避するパイプラインを持たないため、出口を完全に塞がれた状態で、全く石油を積み出せなくなった。石油の積み出しができなければ、石油を売ることができず、価格高騰の恩恵を受けるどころか、収入の途絶に陥るのである2。クウェートの苦境は、国庫の9割を占める石油輸出収入を途絶されたことによるキャッシュフローの悪化である。公務員給与や通常経費の支出に加え、イランからのドローン攻撃を受けたインフラの修復費、ホルムズ海峡の封鎖と空域の閉鎖で供給が止まった食糧や物資を、周辺国を介した陸路で代替調達するためのコストがかさんでおり、つなぎ資金の必要性が一気に高まった。

世界屈指の政府系ファンドと海外資産を擁するクウェートが、キャッシュフローで苦境に陥るのは「金持ちの餓死」に等しい。一見すれば不可解なパラドックスに見えるが、保有する海外資産の多くは即時換金性が低く、政府系ファンド資金の取り崩しも、制度的・政治的に制約が強い3。国債発行による借り入れは可能であるが、危機の初動で必要となる即時のキャッシュインには限界がある4。こうした制約のなかで、つなぎ資金確保のための在外備蓄の緊急現金化は、クウェートにとって現実的な選択肢となる。

ホルムズ海峡封鎖という有事に備えて、クウェート政府が何の手も打っていなかった訳ではない。しかし、国内政治の状況と周辺国との関係に阻まれて有効な手を打てないまま、米軍のプレゼンスが海峡の安全を保障し続けるという前提の下で現状維持に安住していた。その背景には、独自の強力な議会制を有するがゆえに、政府と議会の対立が常態化しており、戦略的なインフラ投資の決定が先送りされてきた事情がある。パイプライン建設は、費用だけでなく、他国の領土を通過せざるを得ない外交的・政治的コストの観点から、優先度を下げられ続けていた。

周辺国との関係では、カタールから海底パイプラインで天然ガスの供給を受ける構想がサウジアラビアの領海通過拒否で頓挫した経験や、旧中立地帯でのサウジアラビアとの共同操業の主導権を巡る対立から、クウェートが常に隣人の機嫌ひとつで封じ込めにあうリスクがあることは明白だった5。イラクとのパイプラインの接続も、バスラ領事館襲撃事件(4月7日)が象徴する根深い不信と治安不安によって、検討の対象とはなり得なかった6

そのため、パイプラインに代わる対策として重みを増したのが、主要顧客であるアジア諸国内に、在外在庫の備蓄拠点と自国原油の使用を前提とした製油所(下流部門)を確保する構想であった。在外在庫は、主要な輸出先である日本と韓国に「産油国共同備蓄」という公的な枠組みで維持されている。産油国は備蓄タンクの一部を借りて原油を在庫として預け、相手国(日・韓)が優先供給権を持つ一方で、産油国側の判断で第三国に供給(販売)することも可能な、備蓄タンクの有効活用を図る仕組みである。対日本では、2020年の契約更新により、アジアにおけるエネルギー安全保障のハブとしての機能を担うとの定義づけに基づき、日本への優先供給に加え、東南アジア諸国などへ緊急供給できる体制を整えることが公式に盛り込まれた7。産油国共同備蓄の原油は、緊急時には備蓄であると同時に、売買と現金化の対象にもなり得る。物理的なパイプラインを持たないクウェートにとって、それは制度上の「出口」に等しい意味を帯びる。

自国原油の使用に特化した製油所ついては、2000年代に入って最大の輸出先である中国や、消費の伸びが期待できる東南アジア諸国に対して合弁を働きかけた。しかし、各国とも自前での製油所および石油化学プラントの整備が進行し、先行するサウジアラビアやUAEが市場シェアを押さえている状況で、クウェート側の自国産原油のみを使用するという条件を受け入れるパートナー探しは困難であった。唯一の候補として残ったのが産油国でありながら精製施設を持っていなかったベトナムであった。新たな製油所の構想が立ち上がったタイミングで、下流部門(小売り)も含むベトナム国内市場への進出を検討していた出光興産の打診を受けて、2008年に日本・クウェート・ベトナム三カ国での合弁事業に合意したのが、ニソン製油所であった8

写真2 クウェートの石油輸出の拠点であるミナ・アル・アフマディー製油所・港(左奥)とシュアイバ製油所・港(中央~右手前)(2017年11月25日)

写真2 クウェートの石油輸出の拠点であるミナ・アル・アフマディー製油所・港(左奥)と
シュアイバ製油所・港(中央~右手前)(2017年11月25日)
石油の「質」が招いたロックインの罠

2018年に操業開始したニソン製油所は、ベトナム国内需要の4割をカバーする規模を誇る9。この製油所の要は、日本の精製技術との適合性が高く、クウェート産の中質・高硫黄原油を前提に組み立てられた設備構成にある。これによって、サウジアラビアやUAE産の「軽質」な原油に比べ市場で割安に取引されるクウェート産原油から高品質なガソリンやジェット燃料を高効率で抽出して利ザヤを稼ぐことが可能となる。クウェートの原油に日本の精製技術をかけあわせて高い精製利益を生み出す「相利共生」の関係が、ニソン製油所によってベトナムにも裨益することが期待された。

しかし、この「相利共生」は、裏返せばロックインでもあった。運営会社であるニソン精油化学有限会社(NSRP)の経営は厳しく、2022年には資金ショートによる操業停止危機に直面した10。主な要因は、契約条件に対するベトナム側の不満と不履行にあった11。また、クウェート・日本側も、ペトロベトナムの不透明な会計処理や支払いと意思決定の遅延に加え、国内の燃料価格を抑制するためにNSRPの赤字を外資パートナーに押し付けるベトナム政府の姿勢に不信と不満を募らせることとなった。そうした状況で累積赤字が積み上がり、2022年のクウェートへの原油代金の支払い遅延が、クウェート産原油の供給停止による操業停止の危機を招いた。

その後、出資者による製品引き取り代金の前払いやベトナム政府による財政支援の枠組みによってNSRPの破綻は回避され、2024年以降の需要の回復を背景に黒字化も視野に入った。2025年から2026年にかけては、建設時の巨額借入金の返済負担と最終利益の黒字化に向けた抜本的再編交渉が進められた。そのなかで、2025年5月にクウェートのサバーフ・ハーリド皇太子が訪日し、日本との二国間関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」へ格上げすることに合意した背景には、ニソン製油所の安定的運営について、クウェート側から国家レベルでの確約があったと考えられる[外務省2025]12。同年11月にはベトナムのファム・ミン・チン首相がクウェートを訪問し、NSRPの再建策について、出資者間での「利益の調和とリスクの共有」の原則が確認された。再建策で特筆すべきは、クウェートがニソン製油所の操業の継続性に重きを置き、クウェート産原油への限定縛りを緩和したことである[NSRP 2026]。

ニソン製油所は、経営再建による黒字化の見込みとベトナム国内需要の高まりを受けて、備蓄も含めた拡張計画が決定した。しかし、その矢先でのホルムズ海峡封鎖は、クウェートからベトナムへの原油供給を停止させ、再びニソン製油所を操業停止の危機に陥らせている。ここで焦点となったのが、日本国内の共同備蓄として存在するクウェート産原油である。ベトナムが見ていたのは、ニソン製油所を動かし続けるために必要なクウェート産原油が日本にあるという一点であり、そこに日本が危機対応の当事者として浮上する理由があった。

資産の流動化問題と「制度的パイプライン」の実務

クウェートが渇望するキャッシュインと、ニソン製油所の操業継続に必要なクウェート産原油。この双方を満たす唯一の解が、物理的な管に頼らず、法理と金融で道を拓く「制度的パイプライン」の起動であった。ここでいう制度的パイプラインとは、共同備蓄の優先購入権、売買契約、金融処理を通じて、供給と資金の流れを結び直す制度的な回路を指す。ホルムズ封鎖の下でクウェートが欲していたのは、石油そのものよりも在外資産を現金に変える道であり、ベトナムが欲していたのは、ニソン製油所を止めないためのクウェート産原油だった。両者をつなぐ唯一の現実的な回路が、日本にある共同備蓄だったのである。

その実務的な予行演習ともいえる事態が、2026年4月中旬に韓国で発生した。韓国石油公社(KNOC)の蔚山基地等に寄託されていた共同備蓄原油約90万バレルが、韓国政府が優先購入権の行使を躊躇する隙に、クウェート石油公社(KPC)からNSRPへと売却されていたことが明らかになった[佐々木 2026]。ちなみに、3月25日にニソン製油所は操業に必要な分の原油を確保したと発表したが、調達先は明示していない13。この一件は、韓国国内では自国資源の守り損ねとして批判を浴びたが、実務の観点から見れば、クウェートがいかに切迫して在外資産の現金化を急いでいたかを示す痛切な傍証である。

日本政府が3月24日に打ち出した産油国共同備蓄の「順次活用」方針は、実質的にはクウェートに対する優先購入権の行使表明として、適正価格で確実に買い取る「キャッシュ化の保証」であったといえる。スキームとしては、日本企業が、喜入基地にあるクウェートの在庫を「優先購入権」に基づいて買い取る。この瞬間、クウェート石油公社(KPC)の口座には、封鎖によって途絶していた原油代金が「売上」として即座に振り込まれ、クウェート政府の国庫である一般財政基金へ移される。買い取られた原油は、まず日本国内への供給に振り向けられる。物理的な制約を法的な契約(制度)で読み替えるこの「パイプライン」こそが、金持ちの餓死に瀕した産油国を救う、目に見えない救命索なのである。

ベトナムへの融通については、日本が優先購入権を行使しなかった分をクウェートがベトナムに直接売却することも可能ではある。その場合、日本国内で韓国同様の批判を招くおそれがある。現状では、ニソン製油所が当面の稼働継続に必要な分の原油を確保したことで、ベトナム支援は金融支援中心で整理された14。しかし封鎖の長期化やニソンの稼働状況次第では、改めて供給面での対応が検討課題となる可能性は残る。いずれにせよ重要なのは、日本の共同備蓄が、クウェートにとっての在外資産の現金化、日本にとっての供給安定、そして場合によってはベトナムの操業維持をつなぐ制度資産として浮かび上がったことである。

「制度的パイプライン」の課題と展望

制度的パイプラインの限界は、備蓄分が空になれば、最終的には物理的に原油をどこからか運ぶ必要があることである。従って、このスキームはあくまで時間を稼ぐためのシュノーケル・救命索であり、備蓄在庫の減り具合とホルムズ海峡の通行再開の状況次第では行き詰まる可能性が高い。また、代替調達によって他国の油(スワップ原油)を融通する場合には、油質の壁(グレード・マネジメント)、すなわち精製設備の適合性をどう担保するかという技術的な課題も残る。制度だけで危機を乗り切れるわけではない。

それでも、この危機が示した意味は大きい。共同備蓄は、有事において供給と資金をつなぐ制度資産として再定義され得るからである。日本国内にあるクウェート産原油は、クウェートにとっては流動性危機をしのぐ在外資産であり、ベトナムにとってはニソン製油所の操業継続に関わる戦略物資であり、日本にとっては国内のエネルギー安全保障を確保しつつ、地域の供給網再編に関与し得る手段でもある。

さらにいえば、制度的パイプラインは、物理的なパイプラインを欠くという弱点を、制度的な備えによって補う可能性を示している。積み出した原油の「出口」を複線化する知恵として、在外備蓄を平時から緊急時対応の枠組みのなかに位置づけ、アジア全体の供給レジリエンスにつなげる視点が求められるだろう。

ホルムズ海峡封鎖を契機に浮かび上がったのは、資源国、消費国、第三国の供給拠点を契約と制度によって結び直す発想の重要性である。共同備蓄を軸とした制度的パイプラインのスキームは、単なる石油の売買を超えた、より段階の深化した「資源国と消費国の新たな連帯」の雛形となる可能性を示している。

写真3 クウェート石油公社(KPC)本社(手前海岸沿いのビル)とクウェート・シティの遠景(2013年3月15日)

写真3 クウェート石油公社(KPC)本社(手前海岸沿いのビル)とクウェート・シティの遠景
(2013年3月15日)
※この記事の内容および意見は執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式意見を示すものではありません。
写真の出典
  • すべて筆者撮影
著者プロフィール

石黒大岳(いしぐろひろたけ) アジア経済研究所地域研究センター中東・南アジア研究グループ研究員。博士(学術)。専門は比較政治学、中東湾岸現代政治。おもな著作に、『中東湾岸諸国の民主化と政党システム』明石書店(2013年)、『アラブ君主制国家の存立基盤』(共編著)アジア経済研究所(2017年)など。


  1. 石油確保、東南アジア諸国が日本に支援要請 政府は協力の余地見極め」『日本経済新聞』2026年3月27日;「様々な対応策検討、決定したものはない=原油確保支援報道で官房長官」ロイター、2026年4月9日。
  2. 原油の現物取引においては、タンカーに石油が注入され、船長が船荷証券に署名した「積込日」を起点として、三十日後に現金が支払われるのが標準的とされている。積み込めなければ1ドルの現金も入らないため、クウェート石油公社(KPC)へのキャッシュインは断絶する。仮に今、積み出しができたとして、現金が入るのは1カ月後となり、タイムラグが生じることとなる。
  3. 政府系ファンドである「次世代基金(Future Generation Fund)」は、1976年法律第106号により設立され、国家歳入の10%を毎年一律に積み立て、運用益も再投資へ回すことが決められている。基金の取り崩しには別途議会での立法化の手続きが必要とされている。特例措置として湾岸戦争後の復興費用として一部を引き出したが、2005年に全額返済・組み戻し済みである。2020年には、コロナ禍による財政赤字の深刻化を受けて、黒字の年度のみ積み立てを行うよう法律が改正された[Ibrahim 2022]。取り崩しを含む基金の柔軟な活用については、運用を担当するクウェート投資庁(KIA)による運用状況の不十分な情報開示に対する不信や、財政規律維持の観点(バラマキによる早期枯渇・モラルハザード懸念)から政府と議会の対立が強く、実現していない。
  4. 公共債務法は、1987年に10年間の時限立法として制定され(1987年法律第50号)、1995年に湾岸戦争後の復興費を国債発行で調達することを目的に法律の年限が30年間に延長された。2017年に失効後、政府は再法制化を目指したものの、財政支出の透明性を巡って議会の反対が強く法律を成立させられなかったが、2024年5月の議会解散と憲法一部停止ののち、首長令により2025年3月に法制化された(Kuwait Returns To The Global Debt Market.” Global Finance, 17 March 2026)。
  5. ドルフィンプロジェクトについて、カタールがUAEへ海底パイプラインで天然ガスを供給する構想の延長として、クウェートへのパイプライン接続も検討されたが、領海を通過するサウジアラビアの同意が得られず、2006年2月に断念した(Saudi Arabia refuses to budge on Qatar-Kuwait pipeline deal.” Arabian Business, 2 March 2006)。クウェートとサウジアラビアの国境沿いに位置する地域の油田では、かつて中立地帯であった経緯から、原油および天然ガス資源を両国で50%ずつ分割し、共同で操業する取り決めとなっている。しかし、操業の主導権(具体的にはサウジアラビアが独自に米国シェブロンへ権限を与えたことへの反発など)を巡って2015年に操業停止に陥り、2019年にサウジ側が一部譲歩する形で再開に合意した(Saudis, Kuwait Agree to Resume Oil Output at Shared Fields.” Bloomberg, 24 December 2019)。
  6. Kuwait summons Iraqi envoy after Basra consulate attack.” The Arab Weekly, 9 April 2026.
  7. 東南ア向け石油を共同備蓄 クウェートと合意」『日本経済新聞』2020年12月1日; Kuwait signs deal to store 3.14 million crude barrels in Japan.” Kuwait Times, 2 December 2020
  8. 私の履歴書 天坊昭彦(25)ニソン製油所:ベトナムで巨大投資決断 1兆円事業を主導」『日本経済新聞』2020年4月26日。
  9. ベトナムは産油国であるが、自国に精製施設がなかったため、ガソリンや軽油などの製品を輸入していた。ベトナム産原油の最大油田であるバクホー(Bach Ho)油田の原油を処理する目的で初の製油所である「ズンクアット製油所」が建設され、2009年に稼働した。バクホー油田の原油(軽質・低硫黄)を主原料として処理するように設計されているが、重質油を分解してガソリンや軽油などの高付加価値製品を増やすための二次処理設備を備えている(「ベトナム初の製油所稼働/ガソリンを国内生産へ」『四国新聞』2009年2月22日; USEIA 2017)。
  10. NSRPの出資比率は、クウェート国際石油(KPI)と出光興産が35.1%の同率筆頭株主としてタッグを組んで経営の実権を握りつつ、地元のペトロベトナムが一定の拒否権(25.1%)を持つというバランスで成り立っている。基本的なスキームは、クウェートがドル建てで原油を供給し、精製後の製品をベトナムが輸入関税分を上乗せした価格で買うことでNSRPの収益を確保するというものであった(Largest oil refinery on verge of shutdown due to financial difficulties.” Voice of Vietnam, 27 January 2022; “Vietnam's top refinery at risk of shutdown with debt talks stalled.” Nikkei Asia, 17 May 2023)。
  11. 原油の供給がドル建てのクウェート産原油に限定されたことで原油調達の価格柔軟性を欠いた点や、ベトナム側が製品を買い取る際、輸入関税分を上乗せした価格で買うという条件(これがNSRPの収益の柱であった)に対し、周辺国とのFTAの締結によって無税でガソリンなど精製後の製品調達が可能になり、NSRPから割高な価格で買い取らざるを得ない状態になったこと等がベトナム側の不満であった。
  12. 訪日前にサバーフ皇太子はマレーシアでの「ASEAN・GCC・中国首脳会合」に出席した。同会合にはベトナムのファム・ミン・チン首相も出席していた。ファム首相は2025年11月にクウェートを訪問し、サバーフ皇太子と会談を行っており、二国間協力関係の強化に合意している。
  13. 出光系のベトナム製油所「原油を確保」 5月末まで操業可能に」『日本経済新聞』2026年3月26日; “Nghi Son Refinery and Petrochemical Complex has enough oil inventory to ensure stable production through May.” Petro Times, 1 April 2026.
  14. 出光興産は、ニソン製油所へホルムズ海峡を通過しない中東産原油400万バレル供給を発表した。日本国内の石油備蓄の放出分は活用していないとのことである(「出光、ベトナムに原油融通へ 400万バレル、日本を含む供給網維持」時事通信、2026年4月28日)。
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