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BOPレポート(Bottom of the Pyramid)

12. 実際のBOP試験

「激しく活動することは、理解することではない」(H. H. Williams)。これは、BOP領域が現在感じていることである。より優れた分析ツール、実証的研究、運用モデルを開発し、誰が何を、どこで、どのように、なぜ、誰と行っているかを理解して、何が有効で何が有効でないのかを評価するには、まだ多くの作業が必要である。BOPプロジェクトの質を評価するためのコストは、いまのところ高い。また、複雑でもある。実験的事業は、大小問わずさまざまなアクターにより世界各地で行われており、ときには遠隔の僻地で、文化的に敏感な場所でも実施されている。幸運にも、BOPの論理を支持する経験的基礎は、ノースカロライナ大学のBOP研究所など学術拠点で構築され始めている。しかしながら、結果を得るにはまだ数年待たなければならない。

一方、民間と公共分野の両方の交差部分にいる我々は、社会または市民セクターにおける活動の「カンブリア爆発」を目撃している。社会または市民セクターは現在、特定の社会ニーズや価値の真空を満たすために、世界各地に数百万の組織をもつようになった。近刊書How to Change the Worldの著者David Bornsteinは、このセクターの誕生を中世後の商業セクターの形成になぞらえている。この時期には起業家精神に対する障壁が、参入を妨害する封建制度やギルドの崩壊によって撤廃されている。起業家精神やビジネスをサポートする構造、制度、規範ができるまでには、さらに200年を要した。それは、現在では当たり前になっている有限責任、共同持ち株制度、経営基準、公的な経営教育などである。同様にして、公共セクターが権限を委譲して規制が撤廃され、民間セクターの役割が変化したことによって、社会起業家となるための障壁も低くなってきている。

我々はまた、ベンチャー・フィランソロピーにおける実験や、社会起業を有意義なキャリアとして捉える意識の変革によって、このセクターの繁栄を支援できるような構造の形成を始めたところである。このセクター内部における競争の激化は、よいアイデアから悪いアイデアを取り除くことができ、将来的なBOP概念、実験、組織モデル、トレンドの模索のために最適な場所となるであろう。そこで起こる社会革新には、民間セクターと公共セクター双方にとって示唆に富み、応用していくことが可能である。Bornsteinはビジネス起業家と社会起業家との収斂を見ている。社会起業家は特定のクライアントや流通ネットワークの管理方法に精通し、ビジネス起業家は生産能力とノウハウを持っている。

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