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BOPレポート(Bottom of the Pyramid)

3. 消費者の4つの層

世界経済ピラミッドの最上階は、7500万から1億人の裕福な消費者階級で構成されている(第1層)。これは、先進国の中流階級から上流階級層と、開発途上国のわずかなエリート層で構成されたコスモポリタングループである。ピラミッドの中央部には第2層と第3層があり、先進国の貧困層と開発途上国で新しく登場した中流階級であり、MNCが過去に新興成長市場戦略のターゲットとしていた部分である。

次に、40億人で構成される最貧困層としての第4層を検討する。第4層の一人当たり所得は米ドル購買力平価で1500ドル未満であり、通常の生活を維持するために必要な最低額である。10億人以上(人類総人口の約1/6)の一人当たりの国民所得は1日1ドル未満である。

さらに重要なことに、貧富の格差は広がり続けている。国連によると、1960年時点では世界の富裕層20%が総所得の70%を占めていたが、その割合は、2000年になると85%まで増加した。同時期、最貧層20%の世界に占める所得割合は2.3%から1.1%に低下した。

この富の分配の大きな不均衡は、貧困層が人類の大部分を占めるにも関らず、彼らはグローバル市場経済に参加することができていないことを示唆している。人口の大きさから第4層は、数兆円規模の市場を構成している。世界銀行の予想によると、人口増加の大部分が最貧困層で起きていることから、この層の人口は次の40年で60億人を超えるものと推定されている。

最貧困層は成長可能な市場ではないという認識はまた、貧困層のなかでもさらに貧しい人々が従事するインフォーマル経済の重要性の高まりを無視している。ある推測によるとこれは、開発途上国の全経済活動の40%から60%を占めると推定されている。

第4層の多くの人々が地方の農村、あるいは都市のスラム街や仮設テント地区に住み、法的所有権や資産権利を持っていないのが通常である。公的教育はほとんど受けていないか、あるいはまったく受けておらず、通常の流通、信用取引、通信手段によっては、彼らに到達することがほとんどできない。第4層が使用できる製品やサービスの品質や数量は、通常低い。

したがって、世界人口に大きな割合を占め大きな市場チャンスを持つこの部分は、一見したところの氷山の一角と同様、企業セクターには長い間目を向けられてこなかったのである。

幸運にも、第4層市場には技術革新の機会が開かれている。多くの革新の可能性のなかでMNCは跳躍を果たし、過去50年間先進国で行われてきた環境破壊を繰り返さないような製品を生み出すことができる。今日のMNCは、天然資源が豊富にある時代に成長してきたため、資源を大量に消費し環境汚染をひき起こす製品やサービスを作る傾向があった。米国の2億7千万の人口(世界人口の約4%)だけで、地球のエネルギー資源の25%以上を消費している。この消費パターンの傾向を開発途上国でも作り出せば、結果は壊滅的であろう。

人権を損なわれてきた第4層が、第1層の富裕層の生活様式と安全を脅かし始めている。貧困が不満や過激主義を増幅させるのである。完全な所得の均衡はイデオロギー的な夢物語であるが、商業的発展によって貧困層を救い、より良い生活への機会を提供することは、世界経済の安定や西欧MNCの継続的成功にとって不可欠である。

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