IDEスクエア
論考
イスラーム世界の「共同事業」――トルコとイラン
Business Partnership in the Islamic Societies: Turkey and Iran
PDF版ダウンロードページ:https://hdl.handle.net/2344/0002001832
2026年3月
(8,208字)
気心の知れた仲間でお金や労力を出し合ってちょっとした商売をしよう。利益が出たら、あらかじめ決めておいた方法でそれを分け合おう。そうしたビジネスは世界中で行われている。この種の事業体は多くの場合いわゆるインフォーマル・セクターに属し、統計に現れてこない経済活動の主体である。したがって誰が、どの程度の規模でビジネスを展開しているかが分からない。もちろんインフォーマル・セクターであるから非合法だというわけではなく、それは庶民が簡単に始めることのできるスモールビジネスであり、既存の人脈を駆使した手堅い資金調達法でもある。
アーディー・オルタクルク
数名の出資者からなるこうしたグループは自然人の集まりである。法人格を持ついわゆる会社とは異なり、出資額の下限も定款を定める義務もない。こうした事業体を何と呼ぶかは国・地域によってまちまちであるが、現行の日本民法・商法では「組合」として扱われるだろう1。組合と言ってもここでは労働組合や生活協同組合などの法人格を持つ社団ではなく、共同事業のために少人数の自然人が立ち上げるグループなどが想定される。日本を含む多くの後発諸国ではフランスやドイツなどの西欧法に倣いながら近代的法制度が整備されたため、組合に関わる規定もそれらに範を得ているのである。
トルコの法律ではこれを「アーディー・オルタクルク(âdi ortaklık 単純なパートナーシップの意)」2と呼び、現行トルコ債務法(法律第6098:Türk Borçlar Kanunu)が律している。トルコ債務法は民法とともに、スイス民法・債務法をほぼそのまま移入するかたちで1926年に制定された。スイスは組合契約に関わる法規を民法とは別に債務法と呼ばれる別の法典にまとめているため、トルコもそれに倣い、アーディー・オルタクルクに関わる規定を上述のトルコ債務法に置いているのである。トルコでは、オスマン朝期にイスラーム法に依拠したオスマン民法典「メジェッレ(Mecelle-i Ahkâm-i Adliye)」が編纂されたが、1923年の共和国成立後は徹底した法制度の欧化政策が採られ、メジェッレは廃止された。冒頭で示したようなスタイルでビジネスを行う事業体は、トルコの法律上はこのアーディー・オルタクルクに分類される例が多いと考えられる。アーディー・オルタクルクはその結成に際して当事者が契約書などの書面を残さないことが多く、結成そのものを届出させる行政システムもない3。
伝統的な経済実践?
本稿がトルコにおけるアーディー・オルタクルクを考察の対象とする理由は、それが、筆者が長年の調査フィールドとする隣国イランにおける同類の経済実践との比較においてきわめて興味深いためである。
今日のイランでは、数人の仲間が集まってスモールビジネスを手がけるグループ(日常のペルシア語では「モシャーレキャット(moshārekat)」などと呼ばれる)が随所にあり、人々のごく日常的な経済実践となっている(岩﨑2024)。人々はグループの仲間を互いに「シャリーク(sharīk)」と呼び合い、みんなで出し合った元手(共有資産)を使って利益をあげ、分配する。共同事業には、シャリーク全員が参画している場合もあれば、資金やなんらかの施設を提供しているだけの場合もあり、その様態はじつに様々である。広範かつ活発に行われているイランのモシャーレキャットは、同国の経済において依然として非常に重要な役割を果たしているといえる。
イランのモシャーレキャットはもともとイスラーム法におけるアラビア語の「シルカ(širka『共有』の意)」という法概念に主たる起源をもつ経済実践と考えられる。シーア派イスラーム法学を基礎にしたイラン民法上では「シェルキャット(sherkat)」(シルカに由来する語)という規定があり、イラン民法第571条はこれを「共有というかたちで単一のモノ(客体)に対する複数の所有者の権利が集まったもの」と定めている。シェルキャットのなかには当事者たちの意思とは無関係に(相続の結果などによって)結成されるものと、当事者間の合意(契約)によって結成されるものとが含まれ、後者は上に見たいわゆる「組合」契約に近似している。
トルコはオスマン朝期にはイランと同じくイスラーム法(スンナ派)を法治の根幹に置いていた。前述のメジェッレには「シルケト(şirket ペルシア語のシェルキャットに同じ)」が400カ条以上にわたって規定されている。そのなかの一部(第1329〜1430条)ではイラン同様に、合意(契約)に基づいて結成されたシルケトにおいて当事者たちが提供した物財をシルケトの共有の資本として事業を行い、その利益を分配することが想定されている。
じつは現行のトルコ債務法が2011年に改正された際、それまで用いられていた「シルケト」の語がトルコ語の「オルタクルク」に置き換えられた。すなわちアーディー・オルタクルクは、旧債務法(1926年制定)ではアーディー・シルケトと呼ばれていたのである。
そうであるならば、法文上はもとより、今日のアーディー・オルタクルクの経済実践はオスマン朝時代の人々の共同事業に関わる経済実践シルケトとなんらかの歴史的連続性があると考えられはしないだろうか。現代トルコでも、イランのモシャーレキャットに類するような事業体が随意に結成され、スモールビジネスの中心的な機動力となっているのではなかろうか。これが筆者の当初の仮説であった。
アーディー・オルタクルクを知らない
文献を紐解けば、アーディー・オルタクルクは少なくとも1970年代までは、仲間と組んで「ひとつの目的を達成しよう」とする多くの人々によって、商法に規定された「会社(ticaret şirketi)」よりも選好されていた。結成が容易であり、(法人企業のように)形式にとらわれずともよく、シンプルであるといった理由から、さかんと実践されていたのである(Yalman 1975, 443)。
ところが、現代のトルコではそうした企業形態があること自体があまり知られておらず、アーディー・オルタクルクの枠組みを使って事業を展開する企業は、ほとんど見られなくなっている。80万以上の会員数を誇り、その会員のほとんどが中小企業であるイスタンブル商業会議所(İstanbul Ticaret Odası)によれば、法人化せずに共同事業を遂行するアーディー・オルタクルクのような事業体は「きわめて少ない」という4。
商業会議所の担当者がPC上の会員リストからようやく見つけ出したアーディー・オルタクルクは「時計の代理販売」企業であった。
「とても古い企業で、二人でやっています。1977年創立ですが、もう法人化したいと言っています。その事情は詳しく分かりませんが、あれこれ問題があって法人化すれば解決できると考えているようです。そう、1977年以来ずっとそのままだったものが、今になって(企業形態を)変えたいと言い出している。」5
この企業はアーディー・オルタクルクが盛んであった時期に結成され、その枠組みのまま、今日まで半世紀近く操業してきたものと考えられる。アーディー・オルタクルクの枠組みでビジネスを行うことは違法ではなく、かつ不可能でもない。しかし現在のトルコでは事業者たちがそれを採用することは少なくなっているようだ。
「その方法(アーディー・オルタクルク)では請求書(fatura)を出せないのではないですか。インヴォイスも。まあ請求書なんてなくてもいいという場合もあるかも知れませんが、それは稀ですよね。」
「私自身は商業会議所に登録しています。まずは税務署に登録して、そのあと商業会議所です。(ビジネスをするには)その二つが大事です。」6
イスタンブルで20年ほど書籍の卸売業を営むÇ氏はこのように述べ、トルコではすべての企業が納税者番号を得るため税務署に登録するはずであるから、アーディー・オルタクルクのように「どこにも登録しない」ことはあり得ないのでは、と首を傾げた。
Ç氏のいう商業会議所への登録とは、「商業登記簿(ticaret sicili)」への登録のことを指す。トルコの中小企業・事業者には、その業種に応じてどのようなビジネスをどのくらいの規模で行っているのかを当事者以外の第三者が閲覧できるようにすることが義務付けられている7。トルコ商業省は商業登記簿を「自然人および法人の商人に関係する第三者が知っておくと有益かつ必須の、商人や商業企業に関する情報と記録を収めた国家の登記簿である」8と位置づけて、その公開性を重視しているのである。
同じくイスタンブルで書籍小売・出版業を展開する(その前は電気部品販売業を営んでいた)ベテラン事業家B氏も、アーディー・オルタクルクという企業形態には懐疑的であった。
「会社として登録していない3、4人のグループですか? それはあり得ない。……(中略)……もしあなたが一人でないのならカンパニーを設立しなければならない。有限(limited)会社でも、合同(kollektif)会社でも、合名(komandit)会社でも。それ以外の方法を私は知りません。」9
法的には、前述のとおり法人格を持たないアーディー・オルタクルク自体をどこかに登記する、登録するという義務は課せられていない。アーディー・オルタクルクに参加する当事者はそれぞれ自身の利益(所得)に応じて納税することになる。また個人でも商業登記簿への登録を行うことができる。上述の「時計の代理販売」企業はそのようにして商売を続けてきたはずである。しかしÇ氏にもB氏にも、そうした自然人が集まってひとつのビジネスを共同で運営するというイメージが湧かないようである。
法人化が有利
イスタンブル商業会議所によれば、トルコの中小業者が法人化する最大のメリットは各種の公的融資の恩恵を受けられることにある。
「(トルコの事業者の資金調達法として)一番多いのは銀行融資ですが、一方で政府もかなり支援しています。トルコ共和国中小企業振興支援局(KOSGEB)という組織があって、人民銀行(Halk Bankası)という政府系銀行を通じて資金を提供しています。低金利・長期融資という二つのメリットがある。……(中略)……人民銀行が中小企業を支えるために提供する融資は、自然人は使えません。」10
他方イランのモシャーレキャットには、手近な人脈を利用した即時融資という側面が色濃い。銀行からの借り入れはイラン企業の主要な資金調達手段となっておらず、モシャーレキャットが金融スキームとして機能している実態が窺われる(岩﨑2024)。トルコの場合は政府の中小企業支援策の進展によってアーディー・オルタクルクを通じた資金調達が衰微した、もしくはそうした方向へ政策的に誘導されたということが示唆される。
またトルコでは、オンライン申請後の数日以内に商業会議所へ出向けば、法人化そのものはきわめて容易にできるという。現行商法では一人から会社を設立することもできる。つまり法人化手続きそのものが負担になることはなく、上述の納税者番号取得や商業登記簿への登録はいずれの企業形態であっても避けられない以上、「法人化しない」メリットがあまりないと考えられるのである。
法律用語と経済実践
ところで、オスマン朝時代の「合意(契約)に基づいて結成されたシルケト」がイスラーム法に準拠した一種の事業体であったことはすでに述べた。じつはシルケトの語は近代化期以降、トルコ商法における法人企業すなわち「会社」の意味でも用いられている。いわゆる西欧式カンパニーの訳語として(オスマン朝時代から使われている)シルケトを用いることに、議論や混乱はなかったのだろうか。イスタンブル大法学部のトルコ債務法の権威A教授はこの問いに以下のように答えている。
「共和国建国後にはありません。というのもこういう構造はほとんどヨーロッパ式の(会社法)構造と同じだからです。我々は会社法をスイスから移入しました。スイスはヨーロッパ方式ですから。ですから共和国内ではこのとおりになったのです。」
1850年にオスマン朝がフランス商法の第1部と第3部の翻訳を用いて「商法(kanun-name-i ticaret)」を導入した際にも、イスラーム法学者からは大きな抵抗がなかったとされている11。フランス法においてもいわゆる「組合」と「会社」とは同じ語(ソシエテ société)が使われているため12、翻訳にあたってここに大きな矛盾が見出されなかったと考えられる。
しかし注意を要するのは、以下の点である。A教授の述べるように共和国建国後のトルコでは全面的な外国法移入政策が採られたため、法体系内での矛盾はない。
しかしそうだとしても、前述したメジェッレにおける合意契約としてのシルケト(第1329〜1430条)と、旧トルコ債務法におけるアーディー・シルケトとが同じ性格のものであるとはけっして言えない。メジェッレに登場した「シルケト」はイスラーム法に基づいた当時の人々の経済実践であったはずであるから、西欧法における「組合」と「会社」との関係をそのままトルコの「シルケト」と「会社」との関係に置き換えてしまったことによって、旧時代のシルケト結成における固有の文脈と経済慣行が失われた可能性は大きい。その意味でトルコ共和国建国期の法制度改革は、同国の法文化上の大きな断絶の契機となった。
一方で、法律用語というものは当該社会における慣行や規範と密接に結びついているため、外国法とそのターミノロジーの部分的な移入はしばしば法概念の混淆、法規範に関する潜在的な齟齬や誤認を生みがちである。法制度近代化に際して、民法分野などにイスラーム法の基礎を残したイランではこの種の混乱も生じている13。そうした観点からは、従来の法体系から完全に離脱するというトルコの選択は、無用な社会的混乱を避けるという意味で、十分に合理的であったと言えるのかも知れない。
消えゆくアーディー・オルタクルク?
さて今後は、アーディー・オルタクルクの枠組みはもはやトルコの企業活動に用いられることはなくなるのだろうか。じつは、必ずしもそうではない。前出のA教授によれば、今日でもアーディー・オルタクルクが活用される道はいくつかある。
第一には、法人企業どうしがアーディー・オルタクルクを結成する場合である。よく知られる例として、イスタンブルのボスポラス海峡の架橋プロジェクトでは海外企業を含む三つの法人企業がアーディー・オルタクルクを作り建設作業を実行した。三社は建設事業にあたり法人格を持つ会社を作っていない。ただし事業が大型であることから例外的にアーディー・オルタクルクを公証役場に登記したという(もっともこれは旧時代の慣行の延長線上にあるというより、むしろ現代の法人企業が新組織を作らずに共同事業をスムースに遂行するための一般的スキームである)。
第二には、当事者たちが明確に自覚することなくアーディー・オルタクルクを始めている場合である。A教授は、商法に基づいた会社を設立する場合には公証役場や商業会議所での登記・登録などの一連の手続きが必須であるのに対して、アーディー・オルタクルクにはそれが求められないことを強調し、トルコにおけるその実態を以下のように述べた。
「たとえば二人の兄弟がいるとします。父親が亡くなったとする。二人はすべてを相続してそれを使って一緒に働く。しかしこの者たちはけっして『自分たちはアーディー・オルタクルクだ』とは言いません。さて二人の間に係争が生じる。一人が裁判所に訴える。裁判所はこの件にアーディー・オルタクルクの規定を適用することを決めます。というのも明示的ではありませんが彼らはパートナーシップを有していたと考えられるからです。」
「しかし彼らはその関係を明言してはいません。『アーディー・オルタクルクをやっています』とは言っていない。しかし法律では、少なくとも二人の人間が一緒に働いて、一緒に所有し、資産を生み出している場合はアーディー・オルタクルクだということになります。そうだと言っていなくても。したがって、あれこれの手続きを踏んでいれば会社、なにもしていなければアーディー・オルタクルクとみなされます。」14
もちろんこうしたアーディー・オルタクルクが行うビジネスはあくまでも合法である。ただし事業体の外部の取引相手との間に訴訟が起きた場合には、取引相手は兄弟を別々に訴える必要がある。
なんらかの事業体がアーディー・オルタクルクであるか否かは当事者のみならず法律家にとっても判断の難しい問題である。法律事務所で働く弁護士K氏との聞き取り調査には、その知人であるイスタンブル大法学部G教授(この法律事務所には所属していない)も同席した。両氏はアーディー・オルタクルクの枠組みについて「当事者の関係が大事である」ことを強調した。K氏とG氏とは古い友人であり時折同じ案件を一緒に担当することがあるという。「私たちはアーディー・オルタクルクを結成しているわけではありません」と説明するK氏に対し、民法を専門とするG氏は苦笑しつつ、それに懐疑的な見方を示した。
「実際、アーディー・オルタクルクはかなりグレーゾーンにあるのです。だから議論が分かれるところになってしまう。」15
あたかも霧消しつつあるかのように思われたアーディー・オルタクルクだが、人々の経済慣行としては残り、機能し続けている可能性もある。実際、現代トルコ語の「オルタク」(仲間、パートナーの意。前述のイランの「シャリーク」に当たる)という語は、商売や事業に携わる人々の会話のなかにも頻繁に登場する。
前出の書籍卸売商Ç氏は法律上のアーディー・オルタクルクを知らなかったが、聞き取り調査の後日談がある。彼は手狭になった既存店舗に加え、近くに好条件の物件を見つけてそこに新規の店舗を出すことになった。新しい店の名義はしっかりとした納税実績も商業会議所への登録もあるÇ氏のものだが、じつは実際にそこで行うビジネスは、彼自身と旧知の友人の共同事業なのである。開店資金も店舗に並べる本もそれぞれが半分ずつ提供し、新店舗には友人が常駐して販売にあたる。実店舗で書店を始めたがっていた友人にÇ氏が助け舟を出した形だが、増え続ける在庫の置き場に困っていたÇ氏と友人との利害が一致した。お互いに信用のおける二人は手堅い「オルタク」同士となり、利益を折半することで合意して自然にことが運んだが、そこで初めてÇ氏は、友人と無意識のうちにアーディー・オルタクルクの関係になったことに気づいたという。
Ç氏と友人はなんらの契約書も書付も取り交わしていない。二人の取り決めが法的にどのように位置付けられるかは、将来彼らの間に何か係争が生じた場合に裁判所が判断することになるが、A 教授の指摘にあるように、これが「二人の人間が一緒に働いて、一緒に所有し、資産を生み出している」からアーディー・オルタクルクだと見なされる可能性はある。
このようにして全体を見渡すと、法人企業の枠組みや公証性のある取引記録といった近代的なビジネスのあり方は現代トルコにおいて確固たる地歩を築いている。企業活動のすべてに網をかけて可視化すればもちろん課税や公的融資はやりやすくなる。イランにおけるモシャーレキャットの隆盛に比較すると、おそらくはある時期までイスラーム法にも準拠した同根の経済実践を共有していたトルコが、他の中東諸国に比べはるかに徹底した欧化政策を突き進んだ結果、大きく別の道へ踏み出したことが観察できる。
その一方で、人々の間には行政府が捕捉できない様々な出資・収益構造が依然として存在することも事実のようである。アーディー・オルタクルクに象徴される相対の「融通」関係は、先進国型の会社がすっかり主流となったトルコにおいても、いまだ企業活動そのものの柔軟性を一定程度担保しているのかも知れない。これが旧時代の残滓といえるものなのか、あるいは人間社会に普遍的な経済実践なのか、ただちに判断はつけられない。
※この記事の内容および意見は執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式意見を示すものではありません。
写真の出典
- すべて筆者撮影
参考文献
- 石川真衣 2024.『組合・会社・社会――フランス会社法におけるソシエテ概念』岩波書店.
- 岩﨑葉子 2018. 『サルゴフリー 店は誰のものか――イランの商慣行と法の近代化』平凡社.
- ──── 2024. 「『シャリーク』考――イラン企業における資金調達と経営」IDEスクエア、10月.
- Ağır, S. & C. Artunç 2021. “Set and Forget? The Evolution of Business Law in the Ottoman Empire and Turkey.” Business History Review 95(4): 703-738.
- Yalman, M. 1975. “Âdi Ortaklık,” Adalet Dergisi 66(5): 443-454.
著者プロフィール
岩﨑葉子(いわさきようこ) アジア経済研究所新領域研究センタ―主任調査研究員。博士(経済学)。専門はイランの産業組織や経済制度。著作に『テヘラン商売往来──イラン商人の世界』(アジア経済研究所、2004年)、『「個人主義」大国イラン──群れない社会の社交的なひとびと』(平凡社、2015年)、『サルゴフリー 店は誰のものか──イランの商慣行と法の近代化』(平凡社、2018年)、Industrial Organization in Iran: The Weakly Organized System of the Iranian Apparel Industry (Springer, 2017)などがある。
注
- 日本民法第667~688条が定める「組合契約」および日本商法第535~542条が定める「匿名組合契約」などが参考になる。
- オルタクルクの語はパートナーシップを意味するトルコ語である。現代トルコの商法や民法の条文にも用いられるが、その文脈によって「会社」や、親族の共有資産の管理主体など多様な役割の社会的実体に該当する多義的な語である。
- K&Ö法律事務所にて筆者による聞き取り(2024年12月4日)。
- イスタンブル商業会議所にて筆者による聞き取り(2024年12月3日)。
- イスタンブル商業会議所・中小企業奨励支援課Ö氏から筆者による聞き取り(2024年12月3日)。
- 筆者による聞き取り(2024年12月5日)。
- 商人や法人企業が登録する商業登記簿のほか、より零細な職人・個人事業主が登録する「工業登記簿(sanayi sicili)」(Esnaf ve Sanatkârlar Odası事業者・職人会議所が管轄する)もあり、重複登記はできない。
- トルコ商業省(2026年3月13日閲覧)。
- 筆者による聞き取り(2024年12月5日)。
- イスタンブル商業会議所・中小企業奨励支援課Ö氏から筆者による聞き取り(2024年12月3日)。
- 当時イスラーム法学者は家族法の分野に外国の法規を移入することには反対した。一方で商法分野に「法人」などの西欧法概念を取り入れることについては道を閉ざさなかったという(Ağır & Artunç 2021, 708-710)。
- フランス法におけるソシエテを「組合」や「会社」などの語によって訳し分けるにあたっての問題については石川(2024)を参照されたい。フランス民法典におけるソシエテがあくまでも営利を目的として設立される共同事業の主体である点は、イスラーム法におけるシルケトとは異なっているように思われる。
- イランにおける法制度近代化に伴って生じたこの種の混乱の一事例として岩﨑(2018)が取り上げた店舗賃貸借における用益権売買慣行とその関連法規を挙げることができる。
- 筆者による聞き取り(2024年12月6日)。
- K&Ö法律事務所にて筆者による聞き取り(2024年12月4日)。
この著者の記事
- 2026.03.27 (金曜) [IDEスクエア] 論考:イスラーム世界の「共同事業」――トルコとイラン
- 2024.10.29 (火曜) [IDEスクエア] 論考:「シャリーク」考──イラン企業における資金調達と経営
- 2024.02.06 (火曜) [IDEスクエア] (アジアトイレ紀行)第7回 イラン――洗え、洗え、の爽やかトイレ
- 2021.07.30 (金曜) [IDEスクエア] 論考:イラン企業の実像――「非発展型」ファミリービジネスへのアプローチ
