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論考

2023年

  • 2022年マレーシア総選挙における「緑の波」とその背景 / 谷口 友季子 昨年11月19日、マレーシアで第15回総選挙が実施された。この選挙では、いずれの政治勢力も過半数の票を獲得できず、選挙後の交渉の末、野党連合・希望連盟(Pakatan Harapan:PH)の指導者であったアンワル・イブラヒムを首相とする連立政権が誕生した。2020年以降の政局から引き続き、勝者を決めたのは、多数派工作を行う政治家間の駆け引きであった。一方、有権者の投票の結果、議会内第一党となったのは、保守的なマレー・ムスリム政党である汎マレーシア・イスラーム党(PAS)である。PASが第一党となるのは初めてであり、この躍進は、その党旗の色にちなんで「緑の波」と評された。 2023/09/07
  • 「改革派」と「泥棒政治家」の奇妙な連立――2022年マレーシア総選挙 / 中村 正志 昨年11月19日に投票が行われたマレーシアの第15回総選挙は、大方の予想を裏切る不可解な帰結をもたらした。欧米メディアから改革派(reformer)と謳われたアンワル・イブラヒム希望連盟(PH)代表が、泥棒政治家(kleptocrat)と蔑まれるアフマド・ザヒド・ハミディ国民戦線(BN)議長と結託して新たな連立政権を立ち上げ、それぞれ正副首相の座におさまったのである。 2023/01/11