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論考

2025年

  • イラン核交渉の停滞と「強制された」12日間戦争――イランの視点からの一考察 / 松下 知史 現地時間2025年6月13日未明、イランとイスラエルという中東の大国同士の軍事衝突は、イスラエルの先制攻撃によって始まり、その後、昼夜を問わない両国間の攻撃の応酬へと発展した。軍事衝突がエスカレートするなかで、同22日には米軍が、イスラエルの要請に基づきイランの核関連施設3カ所を空爆した。これに対し、イランが24日にカタールの米軍基地へ反撃したため 、一時は中東全域を巻き込んだ紛争へと発展することも危惧された。しかしイランは、外交ルートを通じて攻撃実施を事前に通報するなど(NHK、2025年6月24日)、死傷者の発生や事態のさらなるエスカレートを避けるべく、慎重に報復を行った。その後、イランとイスラエルは、米トランプ政権が提示した停戦案に速やかに合意し、翌25日の停戦発効以来、現在に至るまで停戦を維持している。 2025/08/25
  • タイの対中接近外交が目指すもの──タクシンとプラユットの対外構想の比較による考察 / 青木(岡部)まき トランプ政権発足で米中対立が新局面に入りつつある。そのなかで、東南アジアなど周辺諸国の対中・対米姿勢にも関心が集まっている。タイは長らく米中間で外交的バランスを維持していたといわれるが、2000年代から急速に中国との関係を強化してきた。タイの対外政策担当者は、対中接近によって何を得ようとしているのか。本稿はこの問いに解答する。 2025/02/06
  • 台湾のオープンデータ推進――日本との比較からみえた台湾の特徴 / 柏瀬 あすか 台湾ではオープンデータの推進が始まってから10年以上が経過した。台湾のオープンデータ推進は、欧米から少し遅れて2012年ごろ始まったが、2015年に英国の非営利団体が発表したOpen Data Indexで、122の国・地域中1位を獲得するなど急速に発展した(簡・張 2016; 狩野 2018)。オープンデータの活用は多岐にわたり、例えば、コロナ禍では、マスク実名販売制度の導入にあわせて、オープンデータを用いた官民協力によりマスク在庫マップが構築された(Lin and Guo 2022)。 2025/02/04