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海外研究員レポート

2026年

  • 台湾・慈湖に集められた蔣介石の像――「移行期正義」と記憶の再構築 / 松本 はる香 慈湖は、台北市街から約60キロ南西に位置する、桃園市大渓区にある小さな湖である 。小高い山々と森に囲まれた湖畔には、亜熱帯の植物が鬱蒼と生い茂り、周囲には山間の静けさが広がっている(写真1)。蔣介石は、この地の風景が故郷である中国浙江省奉化県渓口鎮に似ているとして、ここに総統の滞在施設である慈湖行館を置いた。また、慈湖の奥には後慈湖があり、大陸反攻を掲げる蔣介石政権のもとで、戦時の指揮や退避に備えるための施設が整備されていた。緑に包まれた湖畔の景観の背後には、冷戦時代の台湾の軍事的緊張や、中国大陸への反攻を目指した蔣介石政権の構想の痕跡が、いまも残されている。 2026/06/30