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ベトナム共産党第13回党大会の結果(3) 経済発展の方向性

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00052128

2021年6月

(9,841字)

はじめに

2021年1月25日から2月1日にかけて実施された、ベトナム共産党第13回全国代表者大会(党大会)の結果を紹介する第3回では、党大会文献で示された経済発展の方向性について取り上げる。

今回の党大会では、これまでの党大会でも示されてきた5年後、10年後までに達成されるべき具体的な数値目標に加え、ベトナム共産党設立100周年にあたる2030年までに「近代的な工業を有する上位中所得国」になること、そして独立100周年にあたる2045年までに「高所得国」になること、という党・国家建設における節目の年を意識した中・長期目標が掲げられたことが特徴であった。1996年の党大会時に掲げられ、結局実現できなかった「2020年までに工業国入りする」という長期目標の代わりとなる目標が示されたことになる。25年先という長期の国家の発展観を示し、そのために必要な方向性をこれまでより明確に示したという点では、今回示された発展の方向性は、これまでのものとは若干異なったものといえよう。

今回の党大会でも、大会後にベトナム共産党ウェブサイトで公開された「政治報告」「5カ年計画」「10カ年戦略」の3つの主要な文献 1で経済に関する過去の評価と今後の発展の方向性、数値目標が示されている。本稿では、まず党大会でこれらの文献の内容の背景となった2010年代の経済状況を概観し、次にこれらの文献の内容のなかから注目すべき点をいくつか指摘する。なお、本稿で示す数字は、断りのない限りベトナム統計総局ウェブサイトから得られるデータによるものである2

2010〜2020年のベトナム経済とコロナ禍の影響
今回の10カ年戦略では、2011〜2020年の実質GDP成長率の平均値は示されなかったが、2020年10月に公表された草案の段階では5.9%となっていた(なお、5カ年計画に示された2016〜2020年5カ年の平均成長率は「約」6%)。これは、10年前の2011年党大会時に示された2001〜2010年の実績値7.26%や、2011〜2020年の目標値7〜8%を下回る。コロナ禍の影響により2020年の成長率が2.91%まで落ち込んだことも影響しているが、むしろ、2008年に起きた世界的な経済危機の影響から急回復できず、2010年代前半を通してベトナム経済が停滞していたことがその大きな要因である。2009年に政府が発動した経済刺激パッケージは一時的にGDPを押し上げる効果はあったが、2010年代前半は、GDP成長率が目標値を超えられず、インフレ率(CPI上昇率)が成長率を上回る年が続いていた(図1)。

図1 2011〜2020年のGDP成長率とCPI上昇率の推移

図1 2011〜2020年のGDP成長率とCPI上昇率の推移

(出所)統計総局より筆者作成。

2011年は、年平均CPI上昇率がまだ18.6%という高い水準にあり、政策金利(ディスカウントレート)も13%に据え置かれていたため、企業の借り入れが滞り、消費も低迷していた。2000年代を通して続いた貿易赤字は2011年もまだ約100億ドルあり、財政赤字は2013年に世界銀行が「危険水準」とみなす対GDP比5%を超えていた3。2009年の経済刺激パッケージは公的債務を膨張させ、不採算な国有企業の不良債務の増加という事態も招いた4。経済が本格的に回復したと言える状態になるには、GDP成長率が6%台を回復しCPI上昇率がGDP成長率を下回るようになった2015年まで待たねばならなかった。

2020年はコロナ禍の影響で、感染拡大開始当初のサプライチェーンの混乱や大規模社会隔離の影響などもあり、第2四半期の成長率が前年比0.39%増にまで落ち込み、マイナス成長の可能性も懸念された。しかし、輸出や内需に牽引され、最終的には年間で2.91%のプラス成長となった。急速な経済状況の回復は、徹底的な感染拡大防止策が功を奏したことに加え、感染拡大当初から積極的に経済支援策を打ち出したことによるものである。ベトナム国家銀行が迅速に利下げを実施し(3月にディスカウントレートを6%から5%へ、さらに5月には4.5%へ引き下げた)、4月には政府による金利支払い猶予や社会政策銀行を通した中小企業向けの無担保融資、低利融資などを含む12億8000万ドルの緊急支援策の実施を迅速に決定した。このような迅速な対応が可能であったのは、2010年代後半にマクロ経済状況が回復したこと、そして政府やベトナム国家銀行のマクロ経済運営能力が向上したことがその要因であったといえる。

過去10年のベトナム経済の構造的変化

上述のように、過去10年間のGDP成長率はその前の10年間の成長率を下回ったものの、経済構造は10年間で大きな変化を遂げた5。最も目立つ変化は、貿易の拡大である。これは、世界貿易機関(WTO)加盟をはじめとする多国間、二国間の自由貿易枠組みへの積極的な参加の効果であるといえよう。WTOに加盟した2007年に1113億ドルであった貿易額(輸出入額の合計)は、2020年にはコロナ禍のなかにあっても過去最高となる5439億ドルとなった。WTO加盟から13年で5倍以上に拡大したことになる。貿易額の増加に大きく寄与したのは主に韓国サムスン社をはじめとする携帯電話や電子機器の生産拡大である。2011年時点の携帯電話の輸出額は縫製品の半分以下の69億ドルであったが、2013年には200億ドル台を突破し、携帯電話が縫製品を抜き輸出品目第1位となった。2020年の輸出額は500億ドルを超えている。2020年のコンピュータ・電子機器および部品の輸出額も2011年の46億ドルから446億ドルに増加し、輸出額第2位の品目となっている。

また、2010年代には、国有、民間、外資の各部門の企業の構造が大きく変わった。2010年のビナシン(造船企業を核とした国有経済集団)の破綻とそれに続く相次ぐ大規模国有企業の経営危機の発覚を契機に、国有企業改革は、それまでの主要分野での大規模国有企業の競争力強化を図る方針から、国有企業を存続させる分野を徐々に限定するという方向に修正された6。民間部門では、企業数が大幅に増加し7、さらに、10年前は大きな存在ではなかったビングループやFLCグループのような民間コングロマリットが台頭し、工業団地整備や自動車生産、航空事業にまで参入して巨額の投資を行っている。一方で、外国直接投資は、2010〜2019年の間に年間の認可額ベースで1.8倍増となる380億ドルにまで増加し、2019年には外資企業による輸出額は総輸出額の72%まで上昇している。また、10年前には年間の投資額上位10カ国にも入っていなかった中国からの投資が増加し、2020年は投資額上位第3位の国となっているのも新たな動きである。特に米中経済摩擦の影響で、中国企業のベトナムへの生産移転が加速した2019年には、前年比1.6倍の伸びとなった8

写真:2018年のパリ・モーターショーでお披露目されたビングループの 自動車会社ビンファスト社の自社ブランド自動車

2018年のパリ・モーターショーでお披露目されたビングループの 自動車会社ビンファスト社の自社ブランド自動車
2025年および2030年までの目標、発展の方向性

このように、2010年代前半の経済の停滞を脱し、2018年、2019年には7%台までGDP成長率が回復したところでコロナ禍による大きなショックを受けたという状況のなかで、今後5年間と10年間の経済発展の方向性が策定された。GDP成長率の目標値は、2025年までの5年間の平均が6.5〜7.0%、2030年までの平均で7%と、10年前の党大会時の目標の7〜8%よりもやや控えめに設定されている9。なお、2021年の成長目標は6.5%に設定されており、政府はコロナ禍による経済の落ち落ち込みからの急速な回復を見込んでいる。

5カ年計画と10カ年戦略に掲げられた主な指標の達成評価と目標値は表1のとおりである。

表1 主要な指標の達成値と目標値

表1 主要な指標の達成値と目標値

(注)1) 2019年、 GDPの再計算が行われたが(詳しくは 藤田(2021)を参照のこと)、2020年の達成値は再計算前の数値、2025年、2030年の目標値は再計算後の GDPを基準としている。
(出所)「5カ年計画」および「10カ年戦略」より筆者作成。

今回の党大会文献の記述や目標値において、大枠では10年前の党大会時からの大きな路線変更は見られない。10カ年戦略の「総括目標」(第Ⅲ章第1節)の記述に従えば、「国家は近代的で競争力のある経済運営を実現し、科学技術とイノベーションをベースとし、対外的な経済活動と国際経済統合の効果を高めることで、急速かつ持続的な自主・独立の経済発展を進める」という路線である。

また、2011年に新たに掲げられた「成長モデルの刷新」や「戦略的突破口」というスローガンも引き続き使われている。「成長モデルの刷新」というスローガンは、「中所得国の罠」に陥ることへの懸念を意識した、労働と資本の多投入型の成長モデルからの脱却、産業の生産性の向上を目指すものである。「戦略的突破口」とは成長モデルの刷新を実現するために重点を置く「社会主義指向の市場経済」「人的資本の発展」「インフラ建設」という方向性を示すものである。

成長モデルの刷新の具体的な数値目標として、総社会投資額はGDPの30%台前半を維持し、全要素生産性(TFP)の成長への寄与率を年平均1%ポイントずつ上げ、2030年には50%にすることが挙げられている10。また、2011年に設定された「GDPに占める工業・サービス部門の割合」という目標が「GDPに占める製造業部門の割合」へと変更になり、同じく「訓練を受けた労働者の割合」から「訓練を受け学位・資格を持つ労働者の割合」へと目標が変更され、労働生産性の平均成長率が2010年に設定された目標と比べ高い数値になっている。製造業の生産性向上あるいはより付加価値の高い製造業の発展に重点を置いた経済成長を志向するという意思表示であると考えられる。

発展の方向性の注目点

今回の文献の注目点は二つある。ひとつは、生産性向上の具体的な手段として、科学技術、特にデジタル技術への期待がはっきりと見られる点である。10カ年戦略の数値目標の文言が「工業生産に占めるハイテク製品生産価値」から「GDPに占めるデジタル経済部門の割合」に変更になっている(ただし、「デジタル経済」の定義は示されていない)。また、3つの党大会文献の多くの部分で「デジタル経済」「デジタル社会」「デジタルトランスフォーメーション」「第四次産業革命」といった記述が登場する。その一方で、2011年大会時に「新産業」として発展を期待していたバイオ産業や新素材産業に関する記述がほとんどなくなっている。また、今回の5カ年計画に再生エネルギーに関する目標値が新たに加わり、「環境に配慮したハイテク工業の発展」が成長モデルの刷新のひとつの政策として示されていることも目新しい。環境問題(特に今回は気候変動に関する記述が目立つ)の解決と科学技術を結びつけた、世界の時流に則った目標設定であるといえる。

また、各文献の「科学技術」という言葉と並行して、「イノベーション」(đổi mới sáng tạo――直接の意味は「創造の刷新」)という言葉が頻出する11。たとえば、10カ年戦略の第Ⅴ章(「経済・社会発展のための方向性、任務、解決策」)第2節の表題「生産性、効率性、国家の競争力を向上させる突破口となるための科学技術とイノベーションの強力な発展」に見られるように、単にデジタル製品を製造するだけではなく、国内企業がイノベーションを起こし、それが製造業の生産性向上や行政効率化に生かされ、国家の競争力が高まるとの認識である。10カ年戦略には、そのための方策として、「国家イノベーションシステム」を構築し「イノベーティブな起業のためのエコシステム」を発展させるという記述も見られる(第Ⅳ章第2節)。なお、5年前の5カ年計画に引き続き「国家イノベーションセンターを建設する」ことも目標に掲げられている。

注目すべき二つ目の点は、戦略的突破口のひとつである「社会主義指向の市場経済」に関する記述の変化である。「社会主義指向の市場経済」という言葉は2001年の第9回党大会文献から登場するが、当初は「多部門経済」を実現するための国有企業改革のあり方について語られる際に用いられることが多かった。以降の党大会の文献では、経済発展における国家、民間、外資それぞれの経済部門の役割について触れられるようになる。今党大会では、国有企業を通した直接的な経済管理の範囲は大幅に狭め、民間企業に幅広い分野での活動を奨励する一方で、市場の管理者たる国家の変わらぬ重要性を強調している。

今党大会の政治報告の第Ⅳ章第1節(「社会主義指向の市場経済化のための統一と意識向上」)では、旧来どおり引き続き国家経済部門を経済発展の「主導的役割」を果たす存在、民間企業を「重要な原動力」と位置づけているが、国家経済部門は「国有企業は鍵となる重要な分野、国防、安全の分野に集中する」という表現で、国有企業の資源を投入する分野をさらに限定的なものに規定している。一方、民間経済部門は「法律で禁止されていないすべての分野、特に生産、ビジネス、サービスの分野で発展することが奨励される。強力で競争力のある企業、経済集団は発展の支援を受ける」とし、民間企業により幅広い分野で経済活動を行うことを奨励する姿勢をさらに強くしている。また、外資部門は、「国民経済の重要な一部」であり、「資本と技術、近代的な経営手法を持ち込み、輸出市場を拡大する」重要な役割を果たす、と評価されている。

これに加え、政治報告の同節では、社会主義指向の市場経済に合致する国家、市場、社会(組織)の関係について述べられている。国家は「法律、制度、政策、計画、指標、規範、国の経済力に従い、市場経済の要求と原則に合致するよう経済を管理する」、市場は「財・サービスの価格を決定し、モチベーションを創造し、資源を効果的に分配し、生産、流通、企業活動を調整し、弱い企業を整理する役割を担う」、社会組織は「組織のメンバーを連結させ、活動を連携し、メンバー同士に問題が発生すれば解決し、メンバーの利益を保護し、支援サービスを提供する」一方で「法、制度、政策を審査し、国家機関や幹部、公務員を監督する役割を担う」というものである。国家が市場の管理のための諸制度を構築し、国家の管理下にある社会組織を通した市場の管理を実現する分業体制、という社会主義指向の市場経済の新たな定義が示されたことになる12

おわりに

今党大会文献の経済に関する内容の重要な点は、デジタル技術の発展、イノベーションを梃子とした経済成長を志向し、そのために民間企業や外資企業の資本、技術をさらに活用し、残り25年間で高所得国まで「リープフロッグ」(かえる飛び)することを目指すという方向性が提示されたことにある。このような方向性は過去10年の間に打ち出された諸政策を集約したものといえよう。例えば、政府は2014年の政府決議19号以来、毎年ビジネス環境改善を謳った政策を発出し続け、民間企業の競争力向上のための基盤整備を図ろうとしている。そのなかでは、世界銀行の「事業環境ランキング」や世界経済フォーラムの「世界競争力ランキング」の評価に用いられる客観的指標でその成果を評価するとしている。一方、デジタル技術発展に関しては、2000年代の終わりから本格的な政策立案が始まっており、2008年に「ハイテクノロジー法」が制定され、2012年には2020年までの科学技術発展戦略も策定された。2016年にはエコシステム発展のためのプロジェクトを策定し13、投資家やインキュベーター企業なども成長させイノベーションを促す取り組みを始めている。さらに2017年以降は「第四次産業革命」を推し進めることが政府の重要な方針となった14

しかしその達成度は必ずしも十分であったとはいえず、党・政府の新体制が新たに有効な政策を打ち出していけるかが今後の課題となる。例えば、政府決議19号が公布されるようになった2014年以降、「事業環境ランキング」や「世界競争力ランキング」に大幅なランクの上昇は見られず、ランクを構成する個別の指標を見ても、電力供給や携帯電話の普及など以外に大きな向上は見られない(Sakata 2020)。また、デジタル技術については、単に外資企業によるデジタル製品およびその部品を生産・輸出するだけの国から脱却し、自らデジタル技術を開発し、イノベーションを起こせる国になるための具体的な方策が求められる。2020年8月、サムスンが携帯電話の生産拠点をインドに移管するのではないかという憶測が主要メディア15に流れたように、外資企業の立地戦略の変化は早く、外資企業からの技術移転にいつまでも期待し続けられるわけではない。

Klingler-Vidra and Wade (2020)は、科学技術発展のために重要な政府の3つの役割、すなわち、将来の大きな到達目標を掲げ方向性を示すこと、科学技術教育や研究施設といった公共財を提供すること、科学技術をビジネスに生かすエコシステムを作ることのなかで、ベトナムの政策はエコシステム作りに偏りすぎている、と批判的に評価している。国家はイノベーションのエコシステムの「管理者」となるだけでなく、例えば2021年1月にハノイのホアラック・ハイテクパーク内で建設が始まった国家イノベーションセンターのような、国の科学技術の基礎に対する投資をより積極的に行う重要性が今後増していくこととなるであろう。

写真の出典
  • Rutger van der Maar, Mondial de l'Auto Paris 2018 VinFast is Vietnam's first carmaker. Its first products debuted at the Paris Motor Show: the Lux A2.0 sedan and Lux SA2.0 SUV. They are based on the previous generation BMW 5 Series and X5 respectively. (CC BY 2.0)
参考文献

<日本語文献>

<英語文献>

  • APO. 2020. APO Productivity Databook 2020. Tokyo: Asian Productivity Organization.
  • Klinger-Vidra, R. and R. Wade. 2020. "Science and Technology Policies and the Middle-Income Trap: Lessons from Vietnam." The Journal of Development Studies. Vol. 56. No. 4: 717-731.
  • Sakata, S. 2020. "Has Nguyen Phu Trong’s Leadership Curbed Economic Reform? Economic Reform Trends in Vietnam." Asian Economic Policy Review. Vol. 15. Issue 2: 305-322.
著者プロフィール

坂田正三(さかたしょうぞう) アジア経済研究所バンコク研究センター研究員。専門はベトナム地域研究。主な著作に、『ベトナムの「専業村」――経済発展と農村工業化のダイナミズム』(研究双書No.628)アジア経済研究所 2017年、「ベトナムの農業機械普及における中古機械の役割」小島道一編『国際リユースと発展途上国――越境する中古品取引』(研究双書No.613)アジア経済研究所 2014年、など。


  1. 正式名称はそれぞれ「第13回党大会における第12期中央委員会政治報告」「第13回党大会における2015−2020年5カ年経済・社会発展任務実現の評価と2021−2025年5カ年経済・社会発展の方向性と任務の報告」「2020−2030年10カ年経済・社会発展戦略」である。なお、「5カ年計画」の正式名称には「計画」という言葉は使われていないが、ベトナムの政府機関や国際機関は英文では5-year Socio-economic Development Plan (SEDP)という名称を使っているため、それに準じて本稿でも「5カ年計画」という名称を使う。
  2. オンデマンドでダウンロードできる各年の様々な指標および毎年12月に公表される各年の経済社会状況報告を参照した。
  3. 財政省ウェブサイトより。
  4. 2010年代前半の公的債務は対GDP比で50%台が続き、2015〜2017年は対GDP比60%を超える状態が続いていた(財政省Bulletin Public Debt報告書より)。
  5. 近年の経済構造の変化と課題については、藤田(2021)も参照のこと。
  6. 2010年代の国有企業改革の方向性とその成果について、詳しくは藤田(2019)を参照のこと。
  7. 統計総局のウェブサイトでは直近のデータは得られないが、「活動中の」民間企業数は、2016年から2018年までの3年間で10万3104社増加している。
  8. 計画投資省外国投資局ウェブサイトより。
  9. 2011〜2020年 10カ年戦略および2016〜2020年5カ年計画の目標値については、坂田(2017)を参照のこと。
  10. 基幹産業が異なるため単純な比較はできないが、TFPの成長への寄与率45%という2025年の目標値は、シンガポールやタイの2015〜2018年の平均値(それぞれ44%と43%)に近い(APO 2020)。
  11. この言葉は、5年前の党大会時には政治報告で1回、2016〜2020年5カ年計画で3回使われていただけであったが、今党大会では、政治報告で19回、5カ年計画で25回、10カ年戦略で39回使われている。
  12. 国家、市場、社会の関係については、2017年6月の第12期第5回中央委員会総会で議論され、党中央委員会議決第11号として議決された内容に基づくものである。
  13. 首相決定844号「イノベーションスタートアップのエコシステムを支援する2025年までの国家プロジェクト」。
  14. 2017年に「第四次産業革命に接近するための能力増強」のための首相指示16号が公布され、さらに2019年には2030年までに全国的な5Gネットワークを構築するなどの目標を定めた党中央委員会決議52号が公布された。
  15. 例えばtuổi trẻ紙、Kinh tế Sài Gòn紙などで報道された。サムスン・ベトナム側は、その憶測を否定している。

(2021年8月27日 修正)
(2023年6月13日 誤字修正)

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