坂田 正三
研究歴
私は、これまで一貫してベトナムの農村の経済・社会の変容をテーマとして研究してきました。より具体的には、1990年代の終わりから2000年代前半にかけて、北部山岳地域の少数民族の貧困及び貧困削減プログラムの効果について研究しました。その後2010年代後半までは、農村における非農業部門のインフォーマルセクターの労働市場や地域経済への影響について研究成果を発表してきました。特に北部の「専業村」と呼ばれる零細製造業の集積地を対象としてフィールド調査を重ねてきました。ベトナム社会科学院傘下の研究所やベトナム農業学院、カントー大学などベトナム国内の研究者たちの協力を得ながら研究を進めてきました。
現在取り組んでいるテーマ
現在は主に、ベトナムのフードバリューチェーンの変化と、その農家世帯、農村社会への影響というテーマについて研究しています。ベトナムでは2000年代初頭からコメ以外の農産物の輸出が増加し、一方で、国内では2010年代に入りスーパーマーケットなどの近代的小売業の数が急増しています。さらに近年では、FacebookなどSNSを通した農産物の販売も盛んになっています。そのような中、農産物の品質・安全性の確保や正確なデリバリーなど、農家に求められる要求も変化しています。このような変化に対して、農業生産の大半を占める貧しい小規模な農家世帯がどのように対応しているのかに注目しています。
関連するリンク
- 『ベトナムの「専業村」――経済発展と農村工業化のダイナミズム――』
- IDEスクエアコラム「ベトナム改造農機傑作選」
- 2020年 Asian Economic Policy Review誌掲載記事
- Pritchard, B. (ed.) 2021. Global Production Networks and Rural Development. (Chapter 8)
- Kojima, M. and S. Sakata (eds.) 2021. International Trade of Secondhand Goods.