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アフリカにおける中国—戦略的な概観 (China in Africa)

14.付属文書2:中国=アフリカ協力フォーラム

現在動いているアフリカ政策において中国が重視している以下の4課題に関して、第2回FOCACフォーラムが開催された。

  • 欧米の覇権志向に対抗する広範な戦線の形成する
  • 拡大を続ける生産力のために新たな消費市場を確保する
  • 新たな原料供給先を確保する
  • 台湾の国際的認知を求める動きを無効化する

アジスアベバのFOCAC会議の開催に先立って、第2回中国=アフリカ協力フォーラム(FOCAC)のための、第3回政府関係者会議(SOM)が開かれ、翌週の第2回FOCAC閣僚会議の議題案を採択して、2003年12月12日に閉会した。アフリカ連合(AU)のエチオピア終身代表でアフリカ問題部長のKongit Sinegiogisと、FOCACフォローアップ委員会(FUC)事務局長のDu Qiwenが議長を務めた。

SOM開会にあたりエチオピアのTaddese Haile通商産業大臣は、「政治的社会経済的発展を一変させようとして真摯に戦っているアフリカ諸国を支援するにあたって、中国の協力ぶりは、とくに重要な分野において実のある成果を残してくれるだろう」と語った。注目すべきは、同相が「中国はわれわれにとって欠かせない戦略的パートナーだと考えている」と述べたことである。

FOCAC会議

FACOC会議は、アフリカ6ヵ国の大統領の出席をえて、12月15-16日に開催された。出席者は、コンゴ共和国のサスヌゲソ大統領、モザンビークのジョアキム・シサノ大統領、スーダンのアルバシール大統領、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領、ジンバブエのロバート・ムガベ大統領、コモロのAzali大統領あった。

他のアフリカ諸国からもトップレベルの政治家が出席した。エチオピアのメレス・ゼナウィ首相、南アフリカのジェイコブ・ズマ副大統領(当時)とンコサザナ・ドラニミ・ズマ外相、タンザニアのFrederick Suraye首相、ジャカヤ・キクウェテ外相、Juma Ngasongwa産業相等である。またフォーラムにはアフリカ各国から69名の大臣と国際機関や地域機関の代表が出席した。

中国代表団は、中国にとってのこのフォーラムの重要性を表すがごとくに、温家宝首相が率いた。彼は国家のリーダーになるやいなや最初にアフリカを訪問したのである。中国代表団の高官にはLi Zhaoxing外相が含まれていた。

これはアフリカ大陸で開催された初のFOCAC閣僚会議であった。初会議は2000年に北京で、およそ500名が出席して開かれた。そこには、中国外交部と対外経済合作部から80人以上、中国と外交関係をもつアフリカ諸国から45人が参加した。

FOCACは一堂に会した協議体であり、中国アフリカ関係史における新たな旅立ちとしていい表されてきた。中国広報筋では「南-南協力における未来志向のムーブメント」たるべく設計されたものである。

第2回FACAC閣僚会議における主要課題は「北京宣言」と「経済社会開発における中国アフリカ協力プログラム」の実行状況レビューであった。これらの文書は北京で開催された第1回会議で採択されたもので、パートナーシップ確立のための枠組みが書かれてある。人的資源開発、農業、インフラ開発、貿易投資といった分野での中国アフリカ協力のイニシアティブと政策について著したものである。

会議が始まるとアフリカのリーダーたちは、パートナーシップ確立に向けた枠組みにおいて大陸の開発を継続するため、中国との協力関係強化を求めた。FOCACメカニズムの意思決定過程を強化促進するため、中国政府はアフリカ側の省庁や機関、諸委員会から21人の高官を交え、2001年12月にフォローアップ委員会を設置した。

さらにアフリカのリーダーたちは「アフリカ開発の新たなパートナーシップ」(NEPAD)のガイドラインに則った中国の協力を求めた。

温首相は開会演説において、アフリカ連合ならびにNEPADの創設に関し、これらは平和と発展に向けた普遍的経路に大陸を導こうと糾合した、アフリカのコミットメントの表れだと述べた。

経済開発

温家宝首相は、中国政府は前倒しで債務減免措置を行い、アフリカ31ヵ国の105億元(12億米ドル)の債務を免除すると発表した。続いて研修プログラムに関し、現在7000人が中国で職業訓練と技術訓練を受けているが、2003年には新たに1万人のアフリカ青年を招致すると発表した。

会議において温首相は、タンザニア、エチオピア、ケニア、チュニジア、セーシェル、ザンビア、ジンバブエ、モーリシャスに「中国人海外観光旅行の承認対象国」のステータス、あるいは「承認目的地ステータス」(ADS)を与えることを発表。このステータスによって中国の観光業者は、昨年承認されたエジプト、南アフリカ、モロッコと同様、団体旅行ツアーを組むことができる。

しかし、これには条件が付いている。それは、ADSを与えられたアフリカ諸国に対して、ホテル代や食事代、サファリやツアー料金にいたる観光費用を中国人観光客が支払うことができるレベルに規制するよう、中国政府から有形無形の圧力がかかるということである。観光市場の大半は国家が運営しているわけではないので、市場競争のルールに反して法を通そうとする悪質な試みを誘発しかねない。エチオピアで中国の決定が発表された直後、ビジネスマンのTony Li(China Golden Bridge Travel Service Corp.、本社北京、1986年設立)が経営する中国屈指の観光会社はジンバブエ、タンザニア、ケニアへ視察旅行を繰り返し、現地の旅行費用を調査した。そして大幅なディスカウントを申し入れたが、民営の観光地では受け入れられそうにない。

例えばChina International Travel Service Shanghai Corp. Ltd、Peace International Tourism Corporation、Guangdong Overseas、Shantou Tourist General Corp.、the China Youth Travel Service、Travel Service Beijing、Hua Du Travel or Xinhua Toursといった中国の大手旅行業者では、アフリカ旅行の大多数はいまだに南アフリカ、エジプト、モーリシャス、モロッコ、チュニジアである。

広範なインフラの改善や、2006年までに健全な農業開発を達成するといった既存のNEPADプロジェクトにおいて、中国とアフリカは最大限協力することを決め、アフリカ大陸全体の発展と成長に向けた合理的戦略を支えるため中国の資源を活用すると決議した。だが、アフリカにおけるNEPAD強化に向けた具体的プロジェクトは発表されていない。

中国=アフリカ・ビジネス会議

おそらくFOCAC会議においてもっとも重要なイベントは、12月14-16日に同じ会場で開催された中国=アフリカ・ビジネス会議である。中国とアフリカ双方の企業を代表して、320人を超える企業家がこの会議に出席した。中国側は100を超える企業から142名の企業家が出席(前述リスト参照)し、アフリカ側では24カ国の180人以上のビジネスマンが出席した。この会議は中国国際貿易促進委員会(CCPIT)が、Yu Ping副議長をヘッドとする専任チームを組んでオーガナイズした。

ビジネス会議のスピーカーは、ザンビアのDick Patel商務大臣、ウガンダ商工会議所のOlive Kiongo、アンゴラのManuel da Cruz貿易副大臣、カーボヴェルデのAvelino Bonifácio貿易大臣であった。

CCPITの事務官は、中国の銀行はアフリカ投資を望んでいる中国企業に対して貸付を増やすことに合意したと述べ、主要な関心分野が直ちに示された。

  • CCPITと中国国際商務会議所(CCIC)は、常設の中国アフリカ産業貿易連盟を創設し、これに経済的関心をもつあらゆる団体をメンバーとして受け入れることを提案した。(原則としてG7メンバーを含む。下記参照)
  • 中国への輸入において関税引き下げや免除対象となるアフリカ産品リストを予め作成する
  • 今後5年から7年で30億ドルの国外直接投資を実現する計画を、中国企業とアフリカ諸国で作成することがもうひとつの目標である。その3分の1はナイジェリア向けといわれている。ナイジェリア外国投資会議のMustapha Bello議長が近々北京と上海を訪問して、この課題についてハイレベル協議をもつことになっている。

貿易フォーラムに参加した中国高官は、エチオピア、タンザニア、スーダン、ウガンダ、ルワンダ、カーボヴェルデ、ナイジェリア、モーリタニアの8カ国と通商協定を結んだと語っている。これらは、エネルギー、セメント、化学品、薬品、布地、シュガーミル、農産物の供給に関するもので、680億ドルに上った。そのほとんどは会議前に取り纏められていた。

政治的進展

温首相はアフリカのリーダー達(計13名)と個別に面談、FOCACの議題のみならず、中国のテロ対策や台湾問題を含む政治課題や安全保障問題について伝えた。

このような高度な事柄に関して同首相と会談する特権を与えられたのは、南アフリカのズマ副大統領、モザンビークのシサノ大統領、AU議長、ジンバブエのムガベ大統領、コンゴのサスヌゲソ大統領、スーダンのアルバシール大統領、AUコミッションのAlpha Konare議長、エチオピアのメレス大統領、シエラレオネのSolomon Berewa副大統領、ブルンジのAlphonse Meie Kadege副大統領、タンザニアのFrederick Suraye首相、コモロのAzali Assoumani大統領、ウガンダのムセベニ大統領である。

安全保障の発展

防衛・安全保障面について中国は、現在アフリカに展開している平和維持活動レベルを増大させるという約束のほかに、武器貿易、テロリズム、マネーローダリング、コンピューター犯罪、麻薬密輸、その他の組織犯罪に対して断固として対処していく意思と政策を示した。このような現象を防止し、阻止し、鎮圧するため、インテリジェンス情報を共有し、警察官を訓練し、軍の活用についても議論することが示された。

国際テロリズムに対する中国の懸念は、トルキスタン独立国家のために戦っている中国新彊地区のウイグル族モスリム分離主義者の活動に関するものである。中国の諜報機関は、こういた分子はアルカイダのネットワークにつながっており、これに連携するグループはアフリカにも侵入していると主張している。

中国政府のテロリズムに関する見解を聞いたほとんどのアフリカ人外交官や治安関係の役人は、とくにスーダン、エチオピア、ナイジェリアは、いわゆる「テロリストの脅威」の実態について深い疑念を表明した。彼らがいうには、中央アジアの紛争拠点から過激派が逃亡しているというルートや、その活動レベルについて、中国から資料が提供されているわけではない。

そのなかでアルジェリアは、中国の見解を真剣に受け止めた唯一の国であろう。アルジェリアの治安部隊は、アルカイダと連携する同国のサラフィスト過激派グループとにウルグル分子とのコンタクトを監視するよう政府から指示されている。会議の安全保障ブリーフィングにおいて中国政府は、アルジェリアに対テロリズム研究調査センターを設立するため援助を行うと発表した。

中国はアフリカ連合平和安全保障委員会のセキュリティー計画に物的支援を約束し、中国の防衛産業が、エンジニアリング、地雷除去、運輸、パトロール、海上・陸上偵察機、緊急援助、環境保護、その他の治安任務のため、ハイレベルの非殺傷用機材を提供すると述べた。

その他の進展

  • 主に重点がおかれたのが、中国の開発スキルを使った、若くて優秀なアフリカ人向けの訓練と教育である。これは、2002年に北京に設立されたアフリカ人材開発基金を通じて実行されることになるだろう。目標は、今後3年で中国の学校や中国人教官によって1万人のアフリカ人に職業訓練を施すことである。
  • また中国は、現在40カ国1100カ所にとどまっている医療施設を、全大陸で2000まで増設し、アフリカにおける医療プレゼンスを向上させたいと考えている。Wu Yi副首相がこの野心的な計画の資金手当てを研究する委員会をとりしきった。予防、治療、専用医薬、医療器具など中国からの特別支援を必要としている主な病気として、HIV、結核、マラリヤが想定されている。
  • 北京会議の決定により、2004年後半に中国で、中国アフリカ・ユースフェスティバルが計画されている。アフリカからおよそ15芸術グループが招聘されてパフォーマンスを行う。また「アフリカへの中国文化の旅」月間として、招聘した芸術グループとともに、展覧会、セミナー、特別イベントが企画されている。
  • 1月12日に中国政府は、FOCAC会議のフォローアップとして北京にて北京でレセプションを開き、FOCACアジェンダの強化と前進を図った。このイベントはChinese Association for Friendship with Foreign Countries (CPAFFC)とChinese-African People’s Friendship Association (CAPFA)が共催した。中国政府はCPAFFCやCAPFAをうまく活用して、アフリカ諸国との関係を前進させたいと考えている。これらふたつの組織は、外交関係を強化することでいくつかの国と連結を深め、さらには、市民社会やNGOのような非政府レベルにおける関係強化を図るために使われていると思われる。これらの組織は北京に駐在するアフリカの大使何人かをターゲットとして特定し、自国政府にメッセージをより効果的に伝えてもらおうとしている。

中国政府はアフリカ11カ国に作ったビジネスセンターを強化する意向を表明している。これらのセンターは、アフリカにおける中国の新規の貿易や投資にとって、拠点として機能することが期待されている。中国政府によると、現在約650の中国企業がアフリカ大陸に進出している。中国政府はまた、中国企業は今後数年にわたり9億ドル以上の投資を請け負っているという。ところが、外交筋はこの投資契約はあてにはならないという。中国企業は現地の銀行や現地にある中国の銀行から借り入れをしており、実際のところ中国からアフリカへの資金の移動はみられない。

中国政府はまた、アフリカ諸国に対し「可能な範囲で無条件の援助」を提供する意思を示唆してきた。しかしながら、中国は常に援助の見返りを期待しているというのが、これまでの経緯が示しているところだ。そのうえ中国政府は、これまでのようには対アフリカ援助を提供できないといい始めている。その代わり、貿易投資に基づいた関係という言い方をするようになっている。外交筋によれば、中国はアフリカ諸国における援助の不正使用や返済の滞りに不満を募らせているという。結局のところ中国政府は、債務国から政治的支援の約束を引き出す代わりに、債務の一部を棒引きすることを決めた(いずれにしても返済が期待できなかった金である)。中国の安価な労働コストと効率化が進む中国経済を考慮するなら、アフリカ諸国とはもっと正常な経済関係に移行することのほうが、中国にとってはるかに利益をもたらすと考えられ始めている。

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