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アフリカにおける中国—戦略的な概観 (China in Africa)

1. はじめに

最近中国がアフリカに急接近しているのは、慈善的な理想主義とはほとんど関係がない。それは、急成長する自国経済と、その輸出品に対する新しい消費者市場に対応するために、必要不可欠な原料、とくに石油および鉄鉱石にアクセスすることを最大の関心事としているからである。21世紀の終わりまでに原料の輸入を加速する必要に直面しているため、中国の政策決定者は全地球規模でのエネルギー・資源の分散供給を確保するための戦略的決定を行った。その方針は2001年の9/11危機によって加速した。なぜなら、9/11によって、不安定な中東の石油供給に60%以上を依存する中国の政策の偏りが明らかになったからである。これを受けて中国の政策決定者は「積極的に買いに行く」政策に舵をきった。当初は、新しい原料供給先を確保するため中国の石油・資源企業が、アフリカ、中央アジアおよび南米へ赴くという戦略が重視された。中国がアフリカのような地域にまで政治・経済的な触手を拡大しているのは、国内の経済開発が喫緊の課題であるという焦りを、色濃く反映している。

本報告書は、ほんの10年前には欧米の多国籍企業によるほぼ排他的な領域であったアフリカ経済において、中国がうまく台頭した背後にある理由を明らかにするものである。本報告書は、それらの運用法の評価、中国企業の行動の指標となる中国政府の役割、アフリカへの中国の投資に対して提供される制度上の支援、特定のアフリカ諸国への中国の進出を下支えする政治的・戦略的な理由、および、なぜ中国企業、とくに石油会社が欧米のカウンターパートに対して非常に成功裡に競争することができるかについて述べる。

本報告書は、欧米諸国が見落としがちな、市場原理に基づかない中国の投資決定の基本的な考え方について明らかにする。それには、今日アフリカで、中国の天然資源企業と競争する欧米企業が直面する難題が関連している。それは、中国企業の主要株主が私人や企業ではなく国家であるため、利潤よりも中国の国家安全保障を優先するという思考パターンである。中国企業には、政治的支援から補助金交付や資金支援にわたる、国家による、制度化された、十分な、数々の支援が提供されている。よって中国企業は市場開放を厳格に要求したりしない。このことは、欧米企業が直面する伝統的なリスク・ファクターから中国の企業を保護し、アフリカでの資源獲得競争において大きな競争優位となっている。

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