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アフリカにおける中国—戦略的な概観 (China in Africa)

10.アフリカにおける中国のインフラ事業の軌跡

中国は現在アフリカ35カ国でインフラ・プロジェクトに関与している。アンゴラ、ナイジェリア、スーダンにプロジェクトが集中している。しかし中国は他の諸国、とくにDRCにおいて新しいプロジェクトを計画している。同国の活動はこれまでふたつの分野、すなわち発電(とくに水力発電)と運輸(とくに鉄道)でみられ、これにICT分野(主に機材の供給)が続いていた。水道プロジェクトなどはわずかであった。

主要なインフラ分野における中国出資のプロジェクトに関する、より詳細なプロフィールは下記の通り。

10.1 成長著しい中国の競争力

中国建設業の国際的な競争力を測るためのひとつの方法は、公開入札での中国企業の成績を見ることである。世界銀行やアフリカ開発銀行(ADB)といった国際機関は、すべての融資案件において制限を伴わない国際競争入札(ICB)を行わなければならない。これらの機関の調達データは公的に入手可能であり、これを利用してさまざまな市場分野でのプロジェクトに入札している中国企業が、総契約金額に占めているシェアを計算することができる。これは、中国の建設会社の競争力に関する客観的な指標となる。

世界銀行の場合1999年以降中国のコントラクターは、国際開発協会(IDA:第二世銀)アフリカ案件のうち10~20%という大きなシェアを獲得してきたが分かる。2001年から2006年にかけて中国のコントラクターが獲得した契約金額の累積は7億3800万米ドルである。この数字もかなりの額ではあるが、同じ期間中に中国から提供された、120億米ドル以上と推定されるインフラ資金の額に比べたら、はるかに小さい。

世界銀行とADBのより最近のデータを見ると、中国企業による落札はおおむね土木工事の分野に限られてきた。中国企業のプレゼンスはコンサルティングサービスの分野ではほぼ皆無で、また機材供給の分野でも極少であり、市場のわずか3%を占めているに過ぎない。しかし土木工事の分野では、中国企業は2004年から2006年にかけての総契約金額の31%を占めている。

世界銀行の土木工事契約の12%を獲得してきたフランスを除いては、他のいずれの国も5%以上のシェアを獲得していない。これらの数字はこの市場での中国のコントラクターの競争力の高さを示している。世界銀行の調達データはまた、それぞれの入札で2位にランクされた企業の国籍に関する(部分的な)情報も提供している。ここにおいて中国企業は契約総数の20%に達しており、次点入札者もまた中国企業が多いことを示している。

中国企業はまた、大規模な土木工事契約を獲得する傾向がある。中国のコントラクターが獲得した土木工事契約の平均規模は、一般的な契約価値が300~400万米ドルであるのに対し(ADB内の)アフリカ開発基金の場合は600万米ドルであり、また世界銀行のIDAの場合は1100万米ドルであった。全体として、多国籍プロジェクトで中国企業が獲得した契約金額の約70%はエチオピア、モザンビーク、タンザニア、DRC の4つの国のみによって占められている。中国融資によるプロジェクトの地理的な範囲をみると、契約金額の55%以上がアンゴラ、スーダン、ナイジェリアによって占められているのだが、これとはまったく異なっている。これは、中国融資においてまだ顕著に特徴づけられていない多くの国々においても、中国のコントラクターが大きなプレゼンスと経験をもっていることを示している。

アフリカのインフラ開発における中国の軌跡を分野ごとに見てみると、次のような像が浮かび上がる。

ダム

中国企業が請け負っているダム・プロシェクトのほとんどは水力発電用のものである(「電力」の項を参照)。2008年10月にSinoHydro は、ガーナ政府と5億6200万米ドルの融資契約を締結した。この融資は、ガーナのBrong Ahafo地方のBuiダム建設用のものである。このダムはBlack Volta川沿岸の貯水および灌漑を改善すると期待されている。同プロジェクトは5年以内に完成する予定である。

電力

中国からの融資額が最大となっている分野は電力分野であり、現在までの累計融資額は53億米ドル以上にのぼる。この大半は水力発電計画に集中している。2007年末現在で、中国はアフリカ9カ国で10の主要なダム建設に融資してきた。これらのプロジェクトの合計費用は50億米ドル以上と推定されており、そのうち中国は33億ドル以上を融資した。これらの発電所を合わせた発電能力は6000MW以上にのぼり、現在アフリカに存在する1万7000MWの水力発電能力のうちの大きな部分を占めている。実際これらのプロジェクトのうち4つは、それらが位置している各国内の合計発電能力を倍以上高めることになる。

これらのプロジェクトのうちのいくつかを以下に示す。

  • リスト上での最大の水力発電プロジェクトは、ナイジェリアにおける2600MWのMambilla計画であるが、実施されるかどうかは現在不確実である。
  • 今日までに完成している最大の発電プロジェクトは、スーダンにおける1250MWのMeroweダムで、今年初頭に操業が開始された。
  • 2008年11月: 中国のShenzen Energy Groupはナイジェリアに3000MWの発電所を建設するためFirst National Bank of Nigeria PLCと提携関係に入ると発表した。このプロジェクトの推定費用は25億米ドルであり、操業開始は2009年初頭を予定している。ナイジェリアの設置済み発電能力は合計で3500MWであるが、老朽化した発電所の保守が不十分で、また適切な管理が行われていないためしばしば停電が起こり、発電能力はときにはわずか1000MWまで落ち込むことがある。
  • 2008年10月: ケニアはケニア西部に新しい20MWの水力発電所を建設するためSinohydroと6500米ドルの契約を交わした。建設予定のSangoro発電所は、ソンドミリュー発電所より5km下流に位置する。このプロジェクトは3年以内に完成すると予想されている。
  • 2008年10月: 中国のInternational Cooperation Group (CHIC O)は、モザンビークから、中央部のマニカ州に水道システムを建設するため4500万米ドルの契約をえた。このプロジェクトはChicambaダムにおける新しい水処理場と6つの貯水タンクの建設を含む予定である。
  • 2009年3月: 中国のSinohydroはザンビアのカリバノースにおける4億米ドルの発電所建設を受予定と発表した。中国輸銀が資金の85%を融資し、南アフリカの南部アフリカ開発銀行(DBSA)が残りの15%を融資する。ザンビアは、同国の「ビジョン2030」に沿って多くの発電プロジェクトを意図している。
  • 最後に、ガボンのPoubara水力発電用ダムが、30億米ドルのBelinga鉄鉱石プロジェクトの一環として、Sinohydro の手で建設される予定である。同プロジェクトに対する中国の融資額は不明である。

資金の一部を確保するために天然資源が利用されている。現在建設中のコンゴ共和国のコンゴ川ダムおよびガーナのBuiダムについてみれば、コンゴ川ダムの場合は原油、Buiダムの場合はココアによる返済を担保とした、中国輸銀の融資で資金が賄われている。ギニアのSouapiti ダムに対する融資は鉱産物(ボーキサイト)資源からの収入にリンクされることになっている。

水力発電以外にも中国は火力発電所の建設も活発に行っており、もっとも重要な活動はスーダンとナイジェリアで行われたものである。2005年にShandong Electric Power Construction Corp.は、スーダンでの火力発電所3ヵ所の建設に合意した。ポートスーダンにおける500MWの石炭火力発電所、Al-Fūlahにおける300MWのガス火力発電所、Rabakにおける320MWのガス火力発電所である。それ以前にもHarbin Power Equipment Companyが、E1-Gailiにおける複合サイクル火力発電所の建設に合意している。

ナイジェリア連邦政府は中国輸銀のクレジットラインからの借入で3つのガス火力発電所を建設中である。すなわち、中国のSepcoグループによるOgun州のPapalanto 発電所(335MW)、中国のNational Machinery & Equipment Import & Export Corp. (CMEC)によるOndo 州のOmotosho 発電所(335MW)、シーメンスによるKogi 州のGeregu発電所 (138MW)である。発電所以外にもCMEC とChina Machine Building International Corporation (CMIC) はそれぞれタンザニアやアンゴラのルアンダにおいて、大規模プロジェクトの一環として送電事業にも関与している。このように、現在中国の中心的な焦点は大規模な水力発電プロジェクトにおかれている。現在のアフリカにおける電力供給危機や、水力発電潜在能力のわずか5%しか開発されていないという事実に鑑みると、これらの計画はアフリカの経済発展のためにきわめて重要である。その意味で水力発電計画に対する資金提供者としての中国の出現は、アフリカの電力部門にとって戦略的に重要な意味をもつ。

2009年初頭、Huaneng Power International Inc.が株主になっているShenzhen Energy Investment Co.が、ガーナに10億3000万元(1億5000万米ドル)のガス火力発電所を建設するかも知れないという報道がなされた。

スタンダード銀行と中国工商業銀行(ICBC)が、ボツワナの石炭火力発電所の拡充に8億米ドルを超える資金を提供することになった。ボツワナ東部のMorupule B発電所に対して、つなぎ融資として1億4000万米ドルという額が提供される予定である。この融資にはボツワナ財務省の公的保証がついている。

港湾

2009年1月13日、中国は(モーリタニアの)ヌアクショット港を900m以上延長し、同港が現在もつ年間50万トンの貨物取扱い能力を増大させるため、2億8000万米ドルの拡張契約に合意した。

鉄道

中国のアフリカへの進出は1970年代のタンザニア・ザンビア鉄道の建設で始まったが、これは現在、アフリカ経済開発への中国の貢献を象徴するものとなった。

近年では中国は、アフリカの鉄道部門に対しておよそ40億米ドルの融資を行っており、この部門での主要な地位を獲得した。それらは1350km以上の既存路線のリハビリ、1600kmを超える新路線の建設を含んでいる。参考までにいえば、アフリカの鉄道総延長距離は約5万kmである。

最大の案件はナイジェリア、ガボン、モーリタニアで動いている。中国はナイジェリアで、第1期鉄道近代化計画の下でアブジャ 鉄道大量輸送システムの建設、ラゴス=カノ線1315kmの修復のための融資をコミットした。ラゴス=カノ鉄道プロジェクトの総コストは83億米ドルと推定されており、そのうち中国はクレジットラインを通して25億米ドルを負担する。その一部は電力プロジェクトの支援にも充てられる。

しかし2008年10月、中国が約束した投資を行っていないというナイジェリア側の苦情で両国関係が緊張した後、協定の見直しで中国の鉄道プロジェクトは中断した。
[注: ナイジェリアは昨年China Civil Engineering Compan y (CCECC) との鉄道契約を中断。ナイジェリア側は、コストが増大したことで、1世紀前に作られた同国鉄道を近代化するための十分な資金が得られなくなったといっている。ナイジェリアのオバサンジョ前大統領は2006年に中国企業と契約を結び、その見返りに、インセンティブとして同社に油田の開発権を約束した。中国側はまず20億米ドルのローンをオファーして、この取引を進めていた。]

2007年、アンゴラ中央部1302kmに及ぶベンゲラ鉄道の修復工事が3億米ドルで始まった。しかし2008年2月、香港に本拠をおく中国国際基金(CIF)のクレジットラインからの支出の遅れによって、修復工事は中断された。1000km以上の線路が修復を必要としている。明らかになった資金問題に加え、地雷の存在や再建が必要な橋が50ヵ所もあることで、作業は妨げられている。DRC国境までの鉄道の復元は、2012年までは完成しないと予想されている。

中国輸出入銀行はガボンの560kmのBelinga-Santa Clara鉄道への融資を準備している。これは、Poubara水力発電用ダムやSanta Claraの深水港湾と同様、すでに述べたBelinga鉄鉱石プロジェクトの一環である。このプロジェクトへの中国輸銀融資は、中国への鉄鉱石販売によって返済されることになっている。

2009年1月にChina Civil Engineering Corporationは、172kmの鉄道線路を建設するためにリビア政府と8億500万米ドルの契約を締結した。

もっとも新しい鉄道プロジェクトは2007年に合意されたモーリタニアのもので、ヌアクショットと燐酸塩の豊富なBofalとを結ぶ430kmの鉄道に対する融資である。このプロジェクトは中国輸銀から6億2000万米ドルの融資を受け、中国のTranstech Engineering Corporationによって実施される予定である。

道路

中国はアフリカ全土で道路建設を活発に行なってきた。世界銀行のデータでは、1400kmを超える道路の建設および修復のため、中国は18以上のプロジェクトに関与している。しかし、確定しているプロジェクトに対するおよそ5億5000万米ドルの融資合計額は、他の部門で報告されている額をかなり下回っている。

中国企業が請け負った道路プロジェクトは、他の部門における平均的なプロジェクト規模よりも比較的小さく、またそれらの多くは商務部の助成金でファイナンスされている。実際、データベースには1億米ドルを上回る中国融資の道路プロジェクトはわずかふたつしか記録されていない。そのいずれもアンゴラで実施されたものであり、2004年に提供された中国輸銀のクレジットラインの一部である。アンゴラ、ボツワナ、エチオピアにおいては、道路建設はとくに重要な活動であった。今日までのもっとも活発な中国の道路建設会社はChina Road and Bridge Corporation (CRBC)であった。

スーダンは、486kmの道路建設のため中国のSinohydro corporationと3億米ドルの契約を結んでいる。これは、北部と中央部におけるスーダンの道路輸送網の改善にかなりの貢献をするものと期待されている。

水道と衛生

水道と衛生は、アフリカのインフラ開発への中国融資にあっては比較的小さなシェアしか占めていない。確認されているプロジェクトへの参加は約1億2000万米ドルで、これとは別に推定2億米ドルが、2004年の中国輸銀のクレジットラインの一部としてアンゴラの水道部門に提供されている。2005年にはナイジェリアにおける一連の水道プロジェクトが発表された。

これらのプロジェクトのほとんどは内容からみて規模が比較的小さく、即座に社会ニーズを満たすことのほうに重点がおかれている。中国の水道プロジェクトは、カーボヴェルデとモザンビークにおける、水力発電には関係しない、水供給を目的とした多数の小規模ダムを含んでいる。

10.2. 数カ国での事例研究

アンゴラ


アンゴラのインフラ融資への中国の関与は、内戦が終結した翌年の2002年に、鉄道および送電インフラの修復や新規の光ファイバーリンクの設置を含む、比較的小規模な一連のプロジェクトによって開始された。

中国がアンゴラにおける関与を目に見えて拡大したのは、2004年のことである。それは、2002年に正式に終結した27年間にわたる同国内戦によって損傷したインフラを修復するため、中国輸銀が提供したクレジットライン合意によってであった。

クレジットラインの全体的な規模は20億米ドルであったが、その半分はインフラ(電力、道路、水道、電気通信、公共工事)に向けられ、残りの半分は保健、教育、漁業に振り向けられた。このクレジットラインは、2004年から2006年にわたって、2回の同額融資として実行された。

20億米ドルのローンは、日量1万バレルのアンゴラ原油を17年間にわたり中国に供給するという合意によって担保された。この種の、天然資源を担保とする融資(これはその最初の大きな例であった)は、その後「アンゴラ方式」として知られるようになった(Chen, 2007b)。ステレンボッシュ大学(南アフリカ)中国研究センターは、貸出金利は当初の1%超から0.25%まで下げられ、据置期間3年、返済期間15年としている(Stellenbosch University、2006)。

この中国融資は、建設土木工事契約の公開入札で70%が中国政府承認の中国国有企業に与えられることになっている。このため中国輸銀は、同行と中国当局双方が承認した中国企業35社のリストをまとめた。

2007年9月に中国輸銀は、全額がインフラ需要に向けられると報道されている、別個の20億米ドル融資を発表した。

2006年にアンゴラはまた、中国国際基金(CIF) と一般インフラ開発用に29億米ドルの融資契約を締結した。これは大統領府管轄で「再建省」大臣ととして知られるHelder Viera “Kopelipa”将軍によって差配されている。

今日では100を超える中国企業がアンゴラで活動しており、約6万人の中国人労働者が、そこでのさまざまなプロジェクトに雇用されている。

これらのプロジェクトには次のようなものがある。China Road and Bridge Corporation (CRBC)はUige州からMaquela do Zomboに向かう国道の再建を行なってきた。約8000万米ドルを要すると推定されるそのプロジェクトは、来年完成の予定である。

ナイジェリア

中国のナイジェリアに対する融資総額は54億米ドルに上っている。活動の開始は2002年における全国地方電話プロジェクト(NRPT)の第1期契約までさかのぼる。このとき中国の巨大電気通信会社ZTE とHuaweiは、同国の固定電話と携帯電話の両方で、機材供給とネットワーク展開プロジェクトを受注すべく活動を開始した。

2002年3月にChina Machinery and Equipment Import and Export Company (CMEC)とShandong Power Construction Companyは、合計で670メガワットのガス火力発電所2基を建設するための3億9000万米ドルの契約について、ナイジェリアの電力鉄鋼省と合意した。CMECのLi Shuzhi社長は、これらふたつの発電所はナイジェリアの電力不足を緩和し、経済および貿易面で両国間の協力を促進することに役立つであろうと述べた。

ナイジェリアにおける中国輸銀からの最初の融資は、2005年にOgun、Ondo、Kogi各州におけるPapalanto発電所(335MW)、Omotosho発電所(335MW)、Geregu発電所(138MW)の建設を支援するためのものであった。中国情報筋によると、Papalanto 発電所の建設は中国のSepcoによって請け負われ、中国輸銀は推定4億米ドルの建設コストのうち3億米ドルを融資することに合意したという。この取引は石油を担保としたものであり、CNPC (またはCNPC小会社のペトロチャイナ)が、見返りとしてナイジェリア国有石油会社(NNPC) から1年間(更新可能)日量3万バレルの原油を確保することになっていた。

2005年3月に中国は、ナイジェリアの首都アブジャを含む37州のうち18州で598ヵ所の井戸を建設して、同国の水道計画を支援することに合意した。この無料水道プロジェクトの目的は、僻地に住む一般のナイジェリア人に清浄な飲料水を提供することにあった。ナイジェリアはまた、全国水道計画と灌漑のために予定されている大小のダムを建設・修復するという中国の申し出を受け入れた。

これらのプロジェクトが合意されたため2006年には、中国輸銀からの融資額が50億米ドル近くまで大幅に拡大した。これらには、ラゴス=カノ鉄道の拡張プロジェクトに対する25億米ドル、ラゴス=アブジャ間高速鉄道リンクの建設を含むアブジャ鉄道大量輸送プロジェクト、Murtala Mohammed国際空港とNmandi Azikwe国際空港をラゴスとアブジャの中心街と結ぶ市街鉄道に対する10億米ドルが含まれている。

スーダン

2001年以降、中国はスーダンのインフラプロシェクト資金として13億米ドルを提供してきた。2001年のEl Gaili複合サイクル発電所および2002年のQarreI火力発電所(しかしこの融資は中国の情報源では確認されていない)の建設をはじめとして、初期のインフラプロシェクトはすべて電力部門に関連したものであった。中国は後にポートスーダン、 Al-Fulah、Rabakにおける石炭およびガス発電所3基の建設のため、かなりの規模の融資をしている。中国の支援によって合計2200MWの新しい火力発電能力が追加されようとしている。

かなり高額の電力部門プロジェクトとしては、2004年初頭に着工して最近完成した1250MWのメロウェダムがある。この巨大な12億米ドルの水力発電プロジェクトは、中国がかつて参加したプロジェクトの中でも最大級の国際プロジェクトであった(ただし現在では、ナイジェリアにおける2倍以上の規模をもつMambilla水力発電プロジェクトに抜かれている)。

このプロジェクトへの融資は中国輸銀(4億米ドル)、サウジ基金(1億5000万米ドル)、BADEA (1億米ドル)、アラブ経済開発クウェート基金(1億米ドル)、アブダビ基金(1億米ドル)であった。Sinohydroは発電所の建設に従事し、Harbin Power Engineering CompanyとJilin Province Transmission and Substation Project Companyは1776kmに及ぶ送電線の建設を請け負った。

ハルツームの政府は、このダムの恩恵のひとつとして同国の電化率が大きく向上するであろうと発表した。このプロジェクトは5万5000人から7万人の住民を、ナイル川沿岸の肥沃な農業地域から立ち退かせることになった。

2008年12月、15億米ドルにのぼる開発契約がスーダンと中国のあいだで締結された。これらのプロジェクトは、6億8000万米ドルを要するAl-Fulah発電所(405MW)の建設、1億2000万米ドルを要するDongola=Halfaパイプラインの敷設、1億米ドルを要するDibaybat=Malakal間の道路建設を含んでいる。

10.3. 世界同時不況の影響

中国は世界同時不況の影響から完全に免れているわけではない。それは中国の輸出需要を減少させ、その結果国内の電力使用量が減少し、China Datang等の発電会社に海外展開の必要性を感じさせた。

大規模な工業プロジェクトが中断または取りやめになっている。たとえば中国のSinoma
Internationalは、最近ナイジェリアのDangote Groupとのあいだで14億5000万米ドルのセメントプロジェクトを中断することに合意し、またナイジェリアでの他のプロジェクトの規模をほぼ3分の2削減した。中断されたプロジェクトは6つのセメント製造ラインを含んでおり、また7つのラインからなるもうひとつのプロジェクトは、18億1000万米ドルから6億8950万米ドルに縮小された。

中国の鉱業プロジェクトは莫大な影響を被っている。ギニアでの野心的な計画は中断されている。ギニアでの、ダム、道路、橋梁建設と引き換えにアルミニウム鉱山を開発する計画は、世界経済の変化、および政治的不安定と不確実性をもたらした2008年12月のクーデターのため、中断している。

ザンビアやDRCといった国々で中国人の経営する鉱山でも、コバルトや銅の価格低迷のため大幅な縮小が行われた。

中国の投資家は、ガボンのBelinga鉄鉱山への30億米ドルの投資計画を延期した。米国およびEU向けの中国輸出が落ち込んでいるため、中国の主要な新規投資に対してより厳密な吟味が行なわれている。

一方ポジティブな面としては、外国会社の資産価値が下落したことにより、とくに鉱業・石油部門での企業買収に拍車がかかっている。中国企業によるキャッシュ補填と引き換えに、外国の会社は採掘権ライセンスの一部または全部を、中国に引き渡すことを余儀なくされているという。

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