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論考

RCEPの電子商取引条項――TAPEDデータベースに基づくマッピング分析

Electronic Commerce Provisions in the RCEP: A Mapping Analysis using the TAPED Database

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2021年11月

(16,318字)

はじめに

情報通信技術の加速度的な発展に加え、2020年から世界を覆い続けているコロナ禍により、電子商取引の重要性、そして電子商取引に関する世界的なルールを策定する必要性がこれまでになく高まっている(三浦 2020)。しかし、電子商取引のルールに対する考え方は多様であり、「電子商取引の自由化を志向する米国、個人情報保護等の信頼性を重視するEU、主権や途上国支援を踏まえた議論を求める中国など、主要国・地域の意見の隔たりは大きい状況にある」(上谷田2020, 110)1

従来、経済取引に関する世界大でのルールの策定に中心的な役割を果たしてきたのは、世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)である。電子商取引ルールに関しても、WTOにおける取り組みは1998年5月の「世界電子商取引宣言」にまで遡ることができるが、その後の進捗は滞っており、2020年12月にようやく有志国による「統合交渉テキスト」がまとめられたところである。他方、難航するWTOでのルール策定と並行して、二国間・多国間の貿易協定のなかでも電子商取引に関する国際ルールが積み上げられてきている。WTOルールがある分野においてはそれを参照点として交渉が行われることが多いが、WTOルールが確立していない電子商取引分野においては、多国間協定交渉が事実上の世界標準をめぐる競争の場となっている2。2020年11月に署名された地域的な包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership: RCEP)協定の電子商取引章もその一つである。このような趨勢を踏まえると、RCEPの電子商取引章の意義はそれ自体だけでなく、加盟15カ国がRCEP署名以前に締結していた電子商取引協定を参照点として、RCEPにおいてどのような新規・追加的コミットメントを行ったのか、あるいは自国がすでに合意しているものよりも低い水準のルールを受け入れたのか、という観点から評価する必要がある。以下本稿ではまず、電子商取引ルールの策定に取り組んでいる主要な多国間枠組みを概観し、そのうえで「電子商取引およびデータに関する貿易協定における条項(Trade Agreement Provisions on Electronic-Commerce and Data: TAPED)」データベースを用いて、近年締結された主要な貿易協定の電子商取引章・条項をマッピングし、それらとの比較において、RCEPの電子商取引章の評価を行う3

電子商取引ルール策定の多国間枠組み

図1は、RCEPを中心として、電子商取引ルールの策定に関わっている主な多国間枠組みを示している。各枠組み名に付している数字は、その枠組みに参加している国(エコノミー)の数を示している。RCEPに参加している15カ国のうち、ベトナムとカンボジアはWTOの共同声明イニシアティブ(Joint Statement Initiative: JSI)に参加しておらず、また、カンボジア、ラオス、ミャンマーはアジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation: APEC)に加盟していない。RCEP加盟国のうち、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership: CPTPP)にも加盟している国が7カ国、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)加盟国が4カ国ある。このように、重複しつつも多様な多国間枠組みにおいて電子商取引のルールが積み上げられてきているのが現状である。


図1 電子商取引ルール策定の主な多国間枠組み

図1 電子商取引ルール策定の主な多国間枠組み

(注)各枠組み名の末尾の数字は参加国数を示している。
「JSI-EC」は電子商取引ルール策定を目的としたJSIであり、「Non-JSI-EC」は同JSIに参加していないWTO加盟国である。
(出所)筆者作成。

WTOにおける電子商取引に関するルール策定の取り組みは、「次期閣僚会議まで電子送信(electronic transmission)に対する関税を付加しないという現在の慣行を継続する」という「関税不賦課のモラトリアム」が合意された1998年の「世界電子商取引宣言」にまでさかのぼる4。以後、交渉決裂による合意不在期間を2回経験しながらも、同モラトリアムは現在まで延長を繰り返してきている(経済産業省 2021, 485-486)。この点が象徴しているように、先進国と途上国の意見の相違も大きく、具体的なルール策定作業が始まるまでには約20年という時間を要することになった。

2017年12月、第11回WTO閣僚会議に際して、71の有志国が電子商取引に関するJSI会合を開催し、①電子商取引の貿易関連の側面に関してWTOでの交渉を開始すること、②できるだけ多くの参加を得て高い水準の成果を目指すこと、➂途上国や中小零細企業が直面する特有の問題を認識し考慮すること、などを確認する「電子商取引に関する共同声明」を発出した5。2019年6月のG20大阪サミットでは、デジタル経済、特にデータ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていく「大阪トラック」が立ち上げられ、JSIによる電子商取引ルール策定の動きが加速した。2020年12月に取りまとめられた電子商取引ルールに関する統合交渉テキストは、本稿執筆時点で86カ国にまで拡大したJSI参加国の間で共有され、2021年11月末から開催される第12回WTO閣僚会議までに「実質的な進展」をすべく、各国の意見の取入れが進められている。日本は、同じくRCEPの加盟国でもあるシンガポール、オーストラリアとともに、電子商取引に関するJSIの共同議長国を務めている。

RCEP加盟国のうち、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国はOECD加盟国でもある。OECDでは、1998年10月に策定された「OECD電子商取引行動計画」において、①ユーザー・消費者との信頼構築、②「電子商取引の税制枠組み条件」などの基本ルール確定、➂情報インフラの強化、④電子商取引がもたらす利益の最大化、の4原則を提示している。この4原則は、その後に締結されたFTA/EPAにおいて援用されるガイドラインとなっているが、OECDとして電子商取引に関して拘束力のある協定が締結されているわけではない。

また、RCEP加盟国のうち、カンボジア、ラオス、ミャンマーを除く12カ国はAPECに加盟している。APECでは、1999年に高級実務者タスクフォースとして電子商取引運営グループ(Electronic Commerce Steering Group: ECSG)を設置し、データプライバシーやペーパーレス貿易などについての議論を進めている。2007年9月に公表された貿易協定のためのモデル条項は、その後の貿易協定における電子商取引条項の参考となっている(山﨑 2017;APEC 2007)。2019年、ECSGはデジタル経済運営グループ(Digital Economy Steering Group: DESG)に改組され、2017年に合意された「APECインターネット及びデジタル経済に関するロードマップ」の実施状況をモニタリングしている。このようにAPECにおいても電子商取引に関する取り組みは進められており、WTOにおける議論の後押しにもなっているが、「自主的、非拘束的、かつコンセンサスに基づく」6協力という成り立ちを反映して、加盟エコノミーを拘束する具体的なルールが策定されているわけではない。今後、APECがアジア太平洋自由貿易圏(Free Trade Area of the Asia Pacific:FTAAP)へと移行することになれば、その点の再考も必要になる。

RCEPは他の多国間枠組みと比較して、加盟国の多様性に特色を持っている。先進国、新興国から後発開発途上国まで、世界第2位の巨大市場から都市国家まで、また、政治体制にも大きな違いが存在している。電子商取引市場の発展度合い、電子商取引市場を支える物理的・制度的インフラの整備状況、望ましい電子商取引ルールについての考え方もまた多様である。したがって、交渉の結果は、各加盟国の姿勢や交渉力を踏まえた最大公約数的なものになると想定される。この点を踏まえて、次節ではTAPEDデータベースによるマッピング分析を通じて、RCEP加盟各国が何を獲得し、何を譲ったのかを分析していこう。

主要貿易協定の電子商取引条項

本稿執筆時点で公開されているTAPEDデータベースは、2000年以降に合意された貿易協定を対象とし、データの越境移動の自由、関税不賦課、電子商取引における無差別待遇(内国民待遇、最恵国待遇)、円滑化措置、紛争処理、サイバーセキュリティ、消費者およびデータの保護、知的財産、政府調達などを含む84項目を評価している。Burri and Polanco (2020a)が分析対象とした346の貿易協定のうち、電子商取引に関連する条項を含んでいる協定が184件と過半を占めており、そのうち78件は電子商取引「章」を持っている。電子商取引条項を盛り込んだ最初の貿易協定は、2000年10月に署名された米国・ヨルダンFTAであり、それを別建ての「章」として盛り込んだ最初の貿易協定は、2003年2月に署名された豪州・シンガポールFTAである。電子商取引条項を含む貿易協定の割合は年々高まっており、個々の貿易協定における電子商取引に関する条文の数、さらには電子商取引条項を構成する単語の数も増加傾向にある7。この傾向は、電子商取引市場の拡大や多様化を反映して、より多くのルールが求められるようになってきていることを示している。

TAPEDでは項目ごとのコミットメントの程度を以下のように評価している。まず、当該項目に関する規定がない場合は「0」と評価される。当該項目を加盟国が実行しなくても、紛争解決メカニズムなどを通じて他加盟国が実施を強制することができない、いわゆるソフト・コミットメントの場合は「1」と評価される。逆に、紛争解決メカニズムなどを通じて他加盟国が実施を強制することができる、いわゆるハード・コミットメントの場合は「3」と評価される。当該項目に関して、ソフト・コミットメントとハード・コミットメントが混在する場合は、その比率に関わらず「2」と評価される(Burri and Polanco 2020a, 3-4)。

表1は、RCEPにおける主な電子商取引条項を、主要貿易協定と比較したものである。基本的にTAPEDデータベースにおける評価を用いているが、以下の点について、筆者の判断で修正を加えている。

① RCEPの「データ越境流通の自由」に関する評価――TAPEDでは「3」と評価されているが、例外規定の条件として「非常に重要な安全保障上の利益(essential security interest)」が規定されていることおよびその点に関して他国が争うことができないと明記していること(第12.15条第3項(b))、同じく例外規定の条件である「正当な公共政策(legitimate public policy)」が当該国の判断に基づく点が脚注に明記されていること(第12.15条第3項(a))を考慮して「2」と修正する8

② RCEPの「データ・ローカライゼーション要求の禁止」に関する評価――TAPEDでは「3」と評価されているが、上記①と同様の理由により「2」と修正する。参照条文は、第12.14条第3項である。

③ 日米デジタル貿易協定(DTA)の「データ越境流通の自由」に関する評価――TAPEDでは「0」だが、同協定第11条に規定されているため「3」と修正する。

④ CPTPPの「紛争解決手続きにおける電子商取引章・条項の除外」に関する評価――TAPEDでは同協定第14.18条においてマレーシアとベトナムに発効後2年間の猶予期間が設定されていることを理由として「3」と評価しているが、これは特定国にのみ認められた時限的な例外規定であるため「2」と修正する。

⑤ ASEAN電子商取引協定(2019年1月署名)についてはTAPEDで評価されていないため、協定本文およびTAPEDのコードブック(Burri and Polanco 2020b)を参照して筆者が独自に評価した。


表1 RCEPおよび主要貿易協定の電子商取引条項

表1 RCEPおよび主要貿易協定の電子商取引条項

(注1)「紛争解決手続きにおける電子商取引条項・章の除外」に関しては数値が大きい、
すなわち電子商取引章を紛争解決手続きの適用除外とする方が実効性が低くなるという関係がある。
(出所)TAPEDデータベース、各協定条文等に基づいて筆者作成。
GDPシェアはIMF, World Economic Outlook Database, April 2021の名目米ドル建てGDP(NGDPD)をもとに算出。

中国ASEAN枠組み協定では、電子商取引に関する協力についてのソフト・コミットメントがなされただけであり、実質的な条項は含まれていない(第7.3条(c))。ASEAN-ANZ FTAではデータ越境移動の自由についての条項が含まれたほか、電子商取引の円滑化、信頼性・格差対応の項目でのコミットメントが合意されている一方で、電子商取引に関する条項は紛争解決手続きの適用外とされている(第10.10条)。中国・韓国FTAには、WTOがモラトリアムの延長によって対応している関税不賦課についての条項が含まれた(第13.3条)。他は2018年以降に署名された貿易協定であり、おおむね新しい貿易協定ほど、多くの電子商取引関連条項を含んでいることが分かる。これは、電子商取引の発展にともなって、従来認識されていなかったような問題が生じるとともに、政策領域が拡大してきたことを反映している。したがって、RCEPの電子商取引章を評価する際にも、直近年に締結された貿易協定と比較することが重要であるといえる。

ASEAN電子商取引協定は、ASEAN経済共同体の構築などを通じて経済統合を深化させ続けているASEANが2019年1月に署名した協定である。インドネシアの批准遅延により発効が遅れていたが、2021年9月7日にインドネシア下院で批准され、ASEAN事務総長への寄託に向けた最終段階に入ったところである9。RCEPに関しては、2021年11月2日にオーストラリアとニュージーランドが批准手続きを完了したことにより、2022年1月1日に発効することが決まっている10

表1に示した近年の貿易協定と比較すると、RCEPの特徴は以下のとおりである。

第1に、RCEPの電子商取引章は、ASEAN電子商取引協定と、2018年以降に締結された貿易協定との間で、相対的にASEAN電子商取引協定に近いところに位置付けられる。これは、RCEPの加盟15カ国のうち10カ国がASEAN加盟国であることを反映しているといえよう。例えば、RCEPにおいてカンボジア、ラオス、ミャンマーに認められている猶予期間は、ASEAN電子商取引協定と同等である。ただし、後述するとおり、紛争解決に関しては大きな違いがある。

第2に、「ソース・コード開示要求の禁止」について、近年の貿易協定ではハード・コミットメントとされることが多いが、RCEPではソフト・コミットメントになっている。この点は、RCEP電子商取引章の第16条において、「対話の重要性を認識する」検討事項に位置付けられているのみである。「ソース・コード開示要求の禁止」は、「データ越境流通の自由」「データ・ローカライゼーション要求の禁止」すなわちサーバー等コンピュータ関連設備の自国内設置要求の禁止と並んで「電子商取引のTPP3原則」として重要視されている項目である。なお、ASEAN電子商取引協定には「ソース・コード開示要求の禁止」に関する条項は含まれていない。

第3は、電子商取引章全体がRCEP第19章で規定される紛争手続きの適用対象外と位置付けられていることである(第12.17条(3))。ASEAN電子商取引協定では第15条において「強化された紛争解決メカニズムに関するASEAN議定書」(2004年11月29日)が適用されると規定されており、かつ適用除外についての規定がない。なお、CPTPPに関する「2」という評価は、マレーシアとベトナムに対して認められた2年間の猶予期間を反映したものであり、それ以外については電子商取引章(CPTPP第14章)全体が紛争解決手続き(CPTPP第28章)に従うこととされている。したがって、紛争解決手続きが規定されていないという意味においてRCEPは、ASEAN電子商取引協定、日米デジタル協定、米国・メキシコ・カナダ(USMCA)協定、日EU経済連携協定だけでなく、CPTPPと比較しても実効性に弱みを持っているということになる。この意味においては、「データ越境流通の自由」「データ・ローカライゼーションの禁止」を含む電子商取引章全体に関して、RCEPは他の貿易協定と比較して実効性に劣っていることが懸念されている(浜中 2020)。

RCEPの電子商取引条項――TAPEDデータベースによるマッピング分析

表2は、RCEP以前の貿易協定で合意された電子商取引条項をマッピングし、RCEPにおいて、どの加盟国がどのくらいの新規・追加的コミットメントを必要としたのか、あるいは既に他の協定において合意していた水準よりも低い条項をどの程度容認したのか、といったことを示したものである。基本的に、より高水準のルールに合意していた国にとっては、水準を下げた合意をすることは容易である。逆に、低い水準のルールにしか合意していなかった国にとって、高水準の合意を受け入れることは、相対的に困難であろう11


表2 RCEP以前の貿易協定で合意した主な電子商取引条項のマッピング

表2 RCEP以前の貿易協定で合意した主な電子商取引条項のマッピング

(注1)RCEP加盟国の主要条項ごとの各セルは、RCEP以前の貿易協定における合意内容のうち最高水準(評価値の最大値)にあるものと、RCEPにおける合意内容の差に応じて色分けをしている。
暖色系は、RCEP以前に当該国がRCEP以前に締結した貿易協定において、RCEPよりも高水準の内容が合意されていたことを示している。
逆に寒色系は、RCEP以前に締結した貿易協定の内容よりもRCEPの方が高水準であるため、RCEPに加盟するために当該国が新規・追加コミットメントをする必要があったことを示している。
暖色系、寒色系いずれも、色が濃いほどRCEPの合意内容との差が大きいことを示している。
色付けをしていない項目に関しては、RCEP以前に当該国が締結した貿易協定における合意内容が、RCEPと同等水準であったことを示している。
(注2)「紛争解決手続きにおける電子商取引条項・章の除外」に関しては、数値が「小さい」、すなわち電子商取引章を紛争解決手続きの適用除外規定が「ない」方が電子商取引章の実効性が「高く」なるため、この項目に関してのみ、締結済みの貿易協定における評価値の最小値を示している。
(注1)の色分けもこの項目に関してのみ逆にしている。
(注3)RCEP比の欄は(注1)の色分けに基づいて、寒色系、無色、暖色系の項目数を示している。
(注4)CPTPP比の欄は、RCEP加盟国に関してはRCEPにおける合意内容も含めてCPTPPの内容と比較し、(注3)に相当する項目数を示している。
(出所)TAPEDデータベース等に基づいて筆者作成。

表2からは以下の諸点を読み取ることができる。第1は、CPTPP参加国にとっては、RCEPの電子商取引条項に従うことは容易であったが、ほかの加盟国がより低い水準のルールに従うことを容認しなければならないという意味では難しい判断を迫られたともいえる。逆に、CPTPP不参加国にとっては、表に示した16項目中の1~4項目に関して新規・追加的なコミットメントが求められることになった。この意味で、CPTPP不参加国にとっては、RCEPの電子商取引条項の受け入れは容易なものではなかったといえる。これが最も顕著なのが、交渉の最終段階でRCEP交渉からの離脱を表明したインドである。インドがRCEPに参加するためには、表2に示した電子商取引条項16項目のなかだけでも8項目において新規・追加コミットメントが必要であったことになり、そのハードルは他の加盟国よりも高かった。また、TPP/CPTPP参加国と不参加国、ASEAN加盟国と非加盟国が交錯していることもRCEP交渉を困難なものにした。RCEP交渉会合のイマン・パンバギョ議長(インドネシア貿易省通商交渉局長・当時)は、TPP/CPTPPへの参加・不参加にかかわらずASEAN加盟国に「一つの声」を持つよう求め、TPP並みの自由化を望んだ日本とオーストラリアに対してはRCEPをTPP化しないよう警告している(鈴木 2021)。この姿勢は、RCEP交渉の原則とされたASEAN中心性を具現化したものであり、RCEPのルールがASEAN加盟国にとって受け入れやすいものに収斂していく蓋然性が高いことを示している。実際に、RCEP電子商取引章の交渉結果は、RCEPに先んじてASEANで合意されたASEANデジタル貿易協定を基盤として、ASEAN域外のTPP/CPTPP参加国、不参加国の主張を取り入れた折衷案になっている12

第2は、いわゆる「電子商取引のTPP3原則」の取り扱いについてである。日本などCPTPP参加国は、「データ越境流通の自由」「データ・ローカライゼーション要求の禁止」「ソース・コード開示要求の禁止」を「電子商取引のTPP3原則」と位置づけ、特に重要視している。他方、中国、韓国においては、RCEP以前に締結した貿易協定において、「データ・ローカライゼーション要求の禁止」「ソース・コード開示要求の禁止」についての規定をしていなかった。このため、これら条項の取り扱いがRCEP交渉における重要な争点とされてきた。中国のサイバーセキュリティ法では、重要情報を取り扱う事業者は、中国国内で収集・生成した個人情報および重要データを中国国内で保管することを義務付けている13。同法はRCEP締結以前の2017年に施行されているため、これを理由として中国が「データ・ローカライゼーション要求の禁止」条項に関する例外規定を要求することに異論をはさむのは容易ではない。また、「データ越境移動の自由」に関しても、中国の国内法による制約がある。2021年9月から施行されたデータセキュリティ法では、データの越境移転や輸出規制に関して「国家安全と利益の維持、国際義務の履行に関わる規制品目に該当するデータに対しては、法に基づき輸出規制を実施する」と規定しており14、RCEPにおける「データ越境移動の自由」の例外規定に則した法制化が行われたといえる。他方、「電子商取引のTPP3原則」を重要視するCPTPP参加国からみると、RCEPの合意内容には恣意的な運用の余地がある例外規定があり、また、紛争解決手続きの対象外となっていることで実効性が大きく減殺されてしまっているという評価が支配的である(浜中 2020)。それでも、中国、韓国がRCEP以前の貿易協定では取り上げてこなかった「データ・ローカライゼーション要求の禁止」「ソース・コード開示要求の禁止」をRCEPに盛り込んだことは一定の前進とみることも可能である。特に、現在進行中のJSIにおける電子商取引ルールの策定作業においても、「電子商取引のTPP3原則」のすべてを拘束力のある条項とすることは、参加国の多様性がより高いことを考慮すると、RCEPでの交渉よりも困難になると考えられる。こういった状況下で、「電子商取引のTPP3原則」が曲がりなりにもRCEPに規定されたということは、JSIなど他の多国間枠組みにおいても交渉すべき電子商取引ルールの構成要素であることを示している。

なお、協定の合意内容と国内の規定に齟齬が生じるのは中国に限ったことではない。CPTPPに加盟しているベトナムでは、サイバーセキュリティ法を2018年6月12日に国会で可決し、2019年1月1日に施行している。国会における可決日は、CPTPPの署名(2018年3月8日)と発効(同年12月30日)の間にあり、同法はCPTPP発効の2日後に施行されたということになる。同法第26条第3項は、インターネット上でサービスを提供する国内外企業に対して、ベトナム国内でのデータ保存および事務所設置を義務付けている15。同法に対しては、CPTPPをリードしてきた日本のみならず、TPPから脱退した米国も、自国企業のベトナム進出が阻害される懸念を繰り返し表明している。2019年に公表された同法実施規則では、データ・ローカライゼーションの対象となるのは、①ベトナムの法令に反する目的で利用された場合、②違法コンテンツを通告から24時間以内に削除することなどの法的要求に応えられなかったサービス提供者などに限定されるといったことが示されたが、日米両政府も実際の執行状況の注視を続けている16

表2から読み取れる第3の点は、電子商取引条項に関する紛争の解決を、当該協定で定めた紛争解決手続きに委ねないという中国の一貫した姿勢である。表2に示されているとおり、中国だけは「電子商取引の主要条項が紛争解決手続きの対象」と「電子商取引条項・章を紛争解決手続きから除外」のいずれの項目にも「0」という評価値が与えられている。前者に関しては、中国がRCEP締結以前に締結した、電子商取引条項を含む12の貿易協定すべてにおいて、電子商取引に関する主要条項が当該協定の紛争解決手続きの対象となっていないことを意味している。後者に関しては、電子商取引条項・章を紛争解決手続きから除外するという規定がないことを意味しているが、これは中国が締結しているすべての貿易協定に当てはまるというわけではない。実際、中国が韓国、オーストラリア、チリと締結している二国間FTAにおいては電子商取引条項・章を紛争解決手続きから除外するという規定がある17。中国が締結しているほかの協定においては同様の除外規定はないが、そもそも電子商取引条項が紛争解決手続きの対象とされていないため、それが電子商取引条項の実効性を高めているとはいえない。むしろ、電子商取引に関する条項が、拘束力を持たせる場合が少ない「協力」的内容に限定されており、あえて紛争解決手続きの適用対象外であると規定する必要性が低かったためであると考えられる18。中国における取り扱いとは対照的に、ほかのRCEP加盟国では「電子商取引の主要条項が紛争解決手続きの対象」の評価点は「3」、「電子商取引条項・章を紛争解決手続きから除外」については「0」となっている。すなわち、RCEP以前に締結された貿易協定のいずれかにおいては電子商取引の主要条項が紛争解決手続きの対象とされていること、および、RCEP以前に締結された貿易協定のいずれかにおいては電子商取引を紛争解決手続きの対象外とするという規定がないことを示している。以上の対比は、電子商取引条項を紛争解決手続きに委ねないという中国の一貫した姿勢を示しているということができる。

第4は、中国、台湾のCPTPP加盟交渉に関する展望である。2021年9月16日、中国商務省はCPTPP加盟のための申請書類を寄託国であるニュージーランドに提出したと発表した19。さらにその直後、9月22日には台湾もCPTPPに加盟申請した。今後、中国、台湾はCPTPP加盟各国との交渉に入ることになるが、表2の範囲内でその展望をしてみよう20。電子商取引に関する主要16項目のうち、CPTPPに加盟するために新規・追加コミットメントが必要になるのは、中国では6項目、台湾では4項目である。前述のとおり、中国のサイバーセキュリティ法は、CPTPPにおいて重視されてきた「データ・ローカライゼーション要求の禁止」「ソース・コード開示要求の禁止」と整合的ではない21。さらに、電子商取引を紛争解決手続きの対象外とするという立場を一貫して堅持してきたという事実を踏まえると、中国がこの点での譲歩をできるかどうかがCPTPP加盟交渉の行方に大きな影響を及ぼしそうである。この点に関して、CPTPP加盟国側としては、「中国のCPTPP加盟交渉においては、中国の現行法令・慣行に関するCPTPPルールとの整合性について十分に説明を求めるなどの対応が必要」(渡邉他 2021, 30)となろう。RCEPでCPTPP水準のルールを作れなかったのは、「妥結を急ぎ、厳しい規制に慎重姿勢を示す中国に配慮した面もあるから」であり、サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法22などで統制を強化する中国は「RCEPレベルが限界」という指摘もある23。これに対して台湾は、必要となる新規・追加コミットメントの数が若干少ないうえに、CPTPP加盟申請直後に蔡英文総統が「我々はすべてのルールを受け入れる用意」24があると強い意欲を示していることから、少なくとも法制度的な観点からは加盟交渉の難易度は中国よりは低いといえよう。

おわりに

RCEP加盟国は、先進国、新興国、後発途上国と多様性に富んでおり、電子商取引市場の発展度合い、電子商取引市場を支える物理的・制度的インフラの整備状況、望ましい電子商取引ルールについての考え方もまた多様である。このため、RCEPの電子商取引章が、ASEANデジタル貿易協定を基盤として、ASEAN域外のCPTPP参加国、不参加国の主張を取り入れた折衷案になったことは必然的な結果であったといえよう。日本やオーストラリアなどのCPTPP参加国は「電子商取引に関するTPP3原則」をRCEPにも取り入れようと試みたが、拘束力のないソフト・コミットメントに留まった。そのうちの一つである「ソース・コード開示要求の禁止」は、CPTPPに参加していないASEAN加盟国や中国、韓国にとってはRCEP以前の貿易協定では規定していない新しい条項であり、ソフト・コミットメントに留めることで受け入れを可能にしたと考えられる。特に、中国やベトナムのように国内法との整合性が取れていない場合もあるため、RCEP発効後の実際の運用に注視していく必要がある。他方で、電子商取引章を紛争解決手続きの対象外とする点に関しては、中国の一貫した姿勢が強く反映したものといえる。主要条項に付与された相対的に広範な例外規定も同様である。これらはいずれもRCEP電子商取引章の実効性を損なう可能性があるため、この点についてもRCEP発効後の運用を注視していく必要がある。これらは、RCEPの規定に基づき、今後設置されるRCEP事務局に期待される役割の一つである。
2021年11月末にはWTO第12回閣僚会議が開催され、日本、シンガポール、オーストラリアが共同議長を務めるJSIにおいて、電子商取引ルールの統合交渉テキストが改めて議論される見通しである。同JSIに参加している有志国は86カ国にのぼっており、今後、世界大のルールにつなげていくための重要なステップである。有志国の多様性を考慮すると、JSIが取りまとめ、協議を続けている統合交渉テキストは、CPTPPの電子商取引章よりも、RCEPの電子商取引章に近いものではないかと推察される。まず注目すべきは、統合交渉テキストの範囲や例外規定のあり方、紛争解決手続きにより実効性を担保できるかといった点である。さらに、JSIにおける合意形成と並行して、JSI不参加国への合意内容の適用方法についても、具体的な検討を開始する必要がある。

※本稿は「東アジア地域における貿易投資ルールの政治学・経済学的分析」研究会の成果の一部です。
本稿の内容および意見は執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式意見を示すものではありません。

インデックス画像の出典

Tiger 7253, The Members of Regional Comprehensive Economic Partnership.(CC BY-SA 4.0

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  • 浜中慎太郎(2020)「RCEP署名は何を意味するか――地経学的見方」『IDEスクエア』2020年11月。
  • 三浦秀之(2020)「デジタル貿易をめぐるルール形成の重要性」『世界経済評論IMPACT』No.1894、2020年9月21日。
  • 山﨑伊都子(2017)「電子商取引に関する貿易ルール構築」『地域・分析レポート』2017年10月16日、JETRO。
  • 渡邉真理子・加茂具樹・川島富士雄・川瀬剛志(2021)「中国のCPTPP参加意思表明の背景に関する考察(改訂版)」RIETI Policy Discussion Paper Series 21-P-016、2021年9月11日。
著者プロフィール

梅﨑創(うめざきそう) アジア経済研究所開発研究センター経済統合研究グループ長。修士(経済学)。専門はASEANと中心としたアジア地域の経済統合、連結性。著作に『地図とデータで読み解くメコン物流事情』(共編著、文眞堂、2020年)、『タイ・プラス・ワンの企業戦略』(共編著、勁草書房、2017年)などがある。

書籍:地図とデータで読み解くメコン物流事情


  1. 2019年1月のダボス会議で安倍首相(当時)が提唱した「データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト」(Data Free Flow with Trust: DFFT)は、「自由で開かれたデータ流通」と「プライバシーやセキュリティ・知的財産権に関する信頼」の両立を目指す概念であり、広範な立場を包含する折衷案となることが期待されている。IT総合戦略本部「デジタル時代の新たなIT政策大綱」(2019年6月7日決定)。
  2. 加盟国数が多い、あるいは経済規模が大きい多国間協定で合意されたルールは、その後に交渉される二国間・多国間協定の参照点とされやすくなると考えられる。
  3. TAPEDデータベースはスイスのルツェルン大学のミラ・ブリ教授が中心となって作成された。詳細はBurri and Polanco (2020a, b)を参照。
  4. WTO, “Declaration on Global Electronic Commerce,” WT/MIN(98)/DEC/2, 25 May 1998.
  5. “Joint Statement on Electronic Commerce,” WT/MIN(17)/60, WTO Ministerial Conference, 11th Session, Buenos Aires, 13 December 2017. JSIは、全加盟国ではなく有志国がルール作りを開始し、その参加国を増やしていくという方式が採用されており、加盟国の多様性によりコンセンサスに基づく決定が困難になったWTOの機能不全に対する一つの打開策と位置付けられる。第11回WTO閣僚会議の際に、①電子商取引、②投資円滑化、➂中小零細企業、④国内サービス規制の4分野で取り組みが進められているが、不参加国の取り扱いなどについては不確定要素が残されている。
  6. 外務省ホームページを参照。
  7. Burri and Polanco (2020a)のFigure 1、Figure 5、Figure 6を参照。
  8. CPTPP等においても、「正当な公共政策」目的による例外規定はあるが、その決定、すなわち正当性の判断が当該国に委ねられると明記しているのはRCEPのみである。また、安全保障上の利益に関する例外規定に関しても、他国による議論の可能性を排除している点において、RCEPの例外規定はより広範になる可能性が残されている。
  9. “DPR Passes ASEAN Agreement on E-Commerce Ratification,” TEMPO.CO, English Version, September 7, 2021. 2019年内に4カ国、2020年内に4カ国が批准し、9カ国目となるフィリピンの批准が2021年1月であり、発効のためにインドネシアの批准が待たれている状況であった。
  10. 「RCEPが22年1月発効、外務省発表 日中韓など15カ国参加」『日本経済新聞』2021年11月3日。
  11. 電子商取引条項の水準に関して、「高い」「低い」という表現を用いているが、どちらがよいのか、という価値判断はまた別の問題である。また、本来であれば、ある水準の電子商取引条項が、どの国との間で締結されたのか、という相手国にも関心を向ける必要がある。本稿では、この点は考慮せず、ある国にとって、ある項目に関して、最も高い評価値を与えられたコミットメントが、当該国にとって受け入れ可能な最大の合意内容であると解釈し、その水準を超えるコミットメントが必要な場合に「新規・追加コミットメントが必要」という評価をしている。
  12. この点に関しては石川(2021)が示唆に富む。RCEPの電子商取引章が中国の意向に沿っているという見解については、例えば浜中(2020)を参照。
  13. 電子商取引の『TPP3原則』と中国・韓国の法制度の比較」『地域・分析レポート』2019年5月20日、JETRO。
  14. データセキュリティー法、9月1日から施行、データ越境移転の管理など規定」『ビジネス短信』2021年6月18日、JETRO。
  15. サイバーセキュリティー法公布、国内でのデータ保存が義務に」『ビジネス短信』2018年7月19日、JETRO。米企業の懸念については、例えば、”Under Vietnam’s new cyber security law, U.S. tech giants face stricter censorship,” The Washington Post, March 16, 2019。
  16. 日米両政府の認識と対応については、経済産業省(2018, 63-64; 2019, 76)、USTR(2020, 517)、(2021, 549)などを参照。
  17. 2005年に締結された中国・チリFTAには電子商取引に関する規定はなかったが、2017年11月10日に合意された改訂議定書の第4章が電子商取引章に充てられている。同章の第58条において、これら電子商取引条項に関する紛争を、原協定第10章で規定されている紛争解決手続きの対象としないことが明記されている。中国・韓国FTAでは第13章が電子商取引章であり、そのなかの第13.9条において同章が同FTA第20章で規定される紛争解決手続きの適用対象外であることが規定されている。中国・オーストラリアFTAでは第12章が電子商取引章であり、そのなかの第12.11章において同章が同FTA第15章で規定される紛争解決手続きの適用対象外であることが規定されている。
  18. 例えば、韓国、オーストラリアとのFTA、チリとのFTAの改訂議定書などと締結時期が近いジョージアとのFTAがこれに該当する。中国・ジョージアFTAでは、第12章が協力分野(Areas of cooperation)に充てられており、電子商取引はそのなかの一分野として第12.2条で取り上げられているだけである。
  19. 「中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う」『日本経済新聞』2021年9月17日。
  20. 中国、台湾のCPTPP加盟申請に関しては、地政学的、戦略的見地を含めて、すでにさまざまな議論が巻き起こっているが、その全体像に言及することは本稿の範囲を超える。例えば、椎野(2021)/「米有識者・団体、台湾のCPTPP加入について、バイデン政権に支援を促す」『ビジネス短信』2021年9月27日、JETRO/「カナダ政府、中国・台湾のCPTPP加入申請への支持は見送り」『ビジネス短信』2021年9月28日、JETROなどを参照されたい。なお、ここでの議論では、中国がRCEPに加盟していることを与件としている。すなわち、表2に示したRCEP締結以前の中国の評価値とRCEPの合意内容を比較して、より高水準の評価値を、CPTPPの合意内容と比較するということである。
  21. 「中国・台湾のCPTPP加入申請を加入ルールでみるとどうなるか」『東洋経済オンライン』2021年9月30日。
  22. 中国のデータセキュリティ法は2021年6月10日の全国人民代表大会常務委員会で可決・成立し、9月1日に施行された。「データの越境移転や輸出規制については、『国家安全と利益の維持、国際義務の履行に関わる規制品目に該当するデータに対しては、法に基づき輸出規制を実施する』と規定した。また『他国・地域がデータおよびデータの開発・利用技術などに関わる投資、貿易などにおいて、中国に対し差別的な禁止、制限またはその他の類似の措置を講じた場合には、当該国・地域に対し、同等の措置を講じることができる』との対抗措置も盛り込んでいる」。「データセキュリティー法、9月1日から施行、データ越境移転の管理など規定」『ビジネス短信』2021年6月18日、JETRO。
  23. 「中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁」『日本経済新聞』2021年9月17日。
  24. 台湾がCPTPPへの加入を正式に申請」『ビジネス短信』2021年9月27日、JETRO。
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