お知らせ
猪俣哲史研究員が共同開発したサプライチェーン脆弱性指標がOECDの公式統計に採用されました。
2025年2月4日
アジア経済研究所の猪俣哲史研究員が、九州大学・土中哲秀氏(システム情報科学研究院 准教授)と共同開発したサプライチェーン脆弱性指標が、OECD(経済協力開発機構)の公式統計として採用・公開されました。
グローバルな生産ネットワークでは、最適な資源配分を求める過程で、特定の国や地域に生産能力が集中するケースが多く見られます。しかし、世界経済の不確実性が高まるなか、このような生産集中がチョークポイントとして経済全体に大きな影響を及ぼすリスクが生じました。猪俣研究員らが開発した「通過頻度(PTF: pass-through frequency)指標」は、サプライチェーン上のこのような集中リスクや脆弱性を特定するものです。
関連リンク
OECDのウェブサイトでは、今回の指標の概要や、猪俣研究員の研究成果に基づく分析が閲覧でき、データもダウンロード可能です。
Identifying hot spots in global supply chains using frequency measurement
なお、この指標については以下のIDE Research Columnにわかりやすく解説されています。
Supply Chain Exposure to Geographic Concentration Risk: In View of Engagement Frequency
猪俣研究員は長年にわたり国際生産ネットワークの研究を続け、日本語での研究発信にも注力しています。著書『グローバル・バリューチェーン―新・南北問題へのまなざし―』(日本経済新聞出版社, 2019年)では第31回「アジア・太平洋賞」特別賞と第36回「大平正芳記念賞」をダブル受賞。また、『グローバル・バリューチェーンの地政学』(日経BP日本経済新聞出版, 2023年)では第18回「樫山純三賞」を受賞するなど、その研究成果は幅広く評価されています。