受賞一覧

猪俣哲史研究員が第18回「樫山純三賞《一般書賞》」を受賞しました。

2023年9月27日

猪俣哲史研究員の著書『グローバル・バリューチェーンの地政学』(日経BP日本経済新聞出版)が、第18回「樫山純三賞《一般書賞》」を受賞しました。

受賞情報

第18回 樫山純三賞 受賞作が決定しました!
樫山純三賞は、国際的視野にたった社会有益な図書を表彰し、その業績を一層広く世に知らしめる事を通じて、国際社会の情勢を的確に捉え、それらに対処できうる人材育成に資する事を目的にしている賞です。そのうち一般書賞は、現代アジアに関する社会有益な一般書で、日本国内で発行された図書に授与されるものです。

第18回 樫山純三賞 受賞作品選考委員長講評(動画あり)

受賞作品

猪俣哲史 2023.『グローバル・バリューチェーンの地政学』日経BP日本経済新聞出版.

複雑に張りめぐらされた国際分業ネットワークを、付加価値という視点から読み解くグローバル・バリューチェーン分析。OECD国際産業連関表など最新のデータをもとに、米中対立を中心とする近年の経済対立、経済安全保障問題を見通す。

出版元ウェブサイト掲載情報より)

審査講評(抜粋)

「猪俣さんの著作は「グローバル・バリューチェーン」(GVC)と呼ばれる世界的な価値ネットワークが、現代世界の安全保障に大きな影響を及ぼしつつあるという現象に強い関心を寄せ、国民の生存や財産を守護するものは国家のみだという発想から離れ、GVC が世界の安全保障のありように大きな影響を及ぼすにいたった経緯を論じた著作です。

安全保障とGVC との関係を地政学の観点から考察しようとする雄大な構想から生まれたものが本書です。

動態を分析するトゥールとして著者は国際産業連関表を活用して国際生産ネットワークの構造を解析するという新しい手法を駆使しておりますが、このことも注目に値します。本書の分析により「米中デカップリング」や新しい経済安全保障のありようを探るという野心までみせております。本書はこれからさらに本格化するでありましょう GVC 研究のインフラストラクチャーとなることを予想させる秀作でもあります」

*******

アジア経済研究所の研究成果は、第17回第15回第10回の樫山純三賞も受賞しております。また、猪俣研究員は、2019年の著作『グローバル・バリューチェーン――新・南北問題へのまなざし――』(日本経済新聞出版社)で、第36回「大平正芳記念賞」第31回「アジア・太平洋賞特別賞」を受賞しています。