IDEスクエア

世界を見る眼

ケニア情勢レポート (短報)ケニア軍広報官による「誤報」

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00050867

2012年1月

昨日(2012年1月11日)ケニア軍チルチルMajor E. Chirchir広報官が「アルシャバブが、ケニア人1名をスパイと断定し公開処刑した」と写真付きで連続ツイートしました(https://twitter.com/#!/MajorEChirchir/status/157098988422692865, https://twitter.com/#!/MajorEChirchir/status/157099586614345730)。

広報官は、ケニアのデイリー・ネーション紙にも同様の情報を発出しました。(広報官への取材に基づく11日付け記事
http://www.nation.co.ke/News/Al+Shabaab+executes+Kenyan+spy+/-/1056/1303950/-/vx9k9u/-/index.html

これに対し、アルシャバブを名乗るアカウントHSMPressはすぐに「偽情報だ」としてこれを否定しました(https://twitter.com/#!/HSMPress/status/157210760542560257)。ただし、同アカウントはこれまで公然とアルシャバブ側宣伝活動を行っており、これだけで真偽の判断をするのは通常困難です。

しかし、この鞭打ち・投石公開処刑を写したとする写真に関しては、おとといの事件ではなく何年も前の事件として、すでに国際メディアでの報道が存在します。例えば、英デイリー・メイル紙2009年12月付けの記事(http://www.dailymail.co.uk/news/article-1235763/Pictured-Islamic-militants-stone-man-death-adultery-Somalia-villagers-forced-watch.html)もそのひとつです。

「今週10日(火)に、アルシャバブがケニア人男性をスパイと断定し、ソマリアのキスマユにおいて鞭打ち・投石により公開処刑をおこなった」というセンセーショナルな報道が入っていますが、誤報の可能性があります。ケニア軍広報が意図的に、あるいは事故により、歪んだ情報を発した可能性があり、今後とも注意が必要です。