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ベトナム:最高4ポストの顔ぶれが正式決定
PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00049651
2006年6月末に終了した第11期第9回国会で新しい大統領、首相、国会議長が選出された。今年4月の第10回党大会で撮られた「写真のネガ」が同会期で「現像」されたのである。党大会で留任が決まったノン・ドゥック・マイン書記長を初めとするベトナム最高4ポストの顔ぶれは以下の通りとなった。
ノン・ドゥック・マイン党書記長:1940年9月11日生、タイー族、北部バクカン省出身、1963年入党、林業専門家の経歴、ソ連留学経験有り。1992年から国会議長を務め、2001年4月の第9回党大会より現職。
グエン・ミン・チェット大統領:1942年10月8日生、キン族、南部ビンズオン省出身、1965年入党、党大衆工作委員会委員長、ホーチミン市党委書記などを経て現職。
グエン・タン・ズン首相:1949年11月17日生、キン族、南部カマウ省出身、1967年入党、キエンザン省党委書記、内務省(現公安省)次官、常任副首相などを経て現職。
グエン・フー・チョン国会議長:1944年4月14日生、キン族、北部ハノイ市出身、1967年入党、党理論誌「タップ・チ・コンサン」誌編集長、思想・文化・教育担当政治局員、ハノイ市党委書記などを経て現職。
前任のファン・ヴァン・カイ首相、チャン・ドゥック・ルオン大統領、グエン・ヴァン・アン国会議長はいずれも1930年代生まれ。今回の人事によりすべて1940年代生まれの布陣となった。1992年の憲法改正により設けられた大統領職にはこれまで中部出身者から選ばれてきたが、初めて南部出身のチェット氏が選出された。現在、党ナンバー2の党書記局常任ポストにはホーチミン市党委書記、党経済委員会委員長を歴任した南部ロンアン省出身のチュオン・タン・サン氏が就いている(前任は中部出身のファン・ジエン氏)。同氏はズン首相と共に時代を担うホープと目されてきた人物である。指導者の若返りとともに、ベトナム経済の中心地域である南部出身者の「台頭」は「世界経済への参入の時代」を象徴しているとも見える。新しい指導者たちが今後どうこの国を導いていくのか注目される。