受賞一覧
牧野百恵研究員が第三回開発経済学会不破賞を受賞しました
2024年4月13日
牧野百恵研究員が2024年4月13日と14日に開催された第6回開発経済学会大会にて第三回不破賞を受賞しました。牧野研究員は2002年にアジア経済研究所に入所して以来、児童婚、結婚持参金(ダウリー)、男児選好、男女教育格差、労働市場におけるジェンダー格差などのトピックについて、ミクロ経済学の手法を用いて主に南アジアを対象に実証分析を行っています。
受賞情報
開発経済学会不破賞は、故不破信彦東京大学教授(※)の遺志を継ぎ、開発経済学の分野で国際的な研究業績を挙げた研究者の功績を称え、研究の支援を目的とするものです。
不破賞受賞者ページ(後日更新予定)
受賞コメント
このたびは、開発経済学会の不破賞という栄誉ある賞をいただきまして、大変嬉しく思います。
不破先生とは、私が20代の頃にアジ研の研究会などで何度かお会いする機会があり、このようなことをおっしゃっていました。「私には特別な才能はない。だからこそ現地に入り込んで、どのアウトサイダーよりも深く現地を知り、そこに住む人々を理解したいと思う。」私は、不破先生の謙虚な姿勢に大変感動し、自分も同じようでありたいとフィールドワークにのぞんでまいりました。
研究者としての姿勢に大きな影響を与えてくださった不破先生の名前を冠した賞をいただけたことは身に余る光栄ですし、良きメンター、同僚、共著者や現地の研究協力者、また研究生活を支えてくださった家族や友人のおかげです。心から感謝申し上げます。
(牧野百恵)
主な研究業績
Makino, Momoe. 2019. “Marriage, Dowry, and Women’s Status in Rural Punjab, Pakistan.” Journal of Population Economics 32 (3): 769–97. https://doi.org/10.1007/s00148-018-0713-0.
Makino, Momoe. 2021. “Female Labour Force Participation and Dowries in Pakistan.” Journal of International Development 33 (3): 569–93. https://doi.org/10.1002/jid.3537.
Makino, Momoe. 2024. “Labor Market Information and Parental Attitudes toward Women Working Outside the Home: Experimental Evidence from Rural Pakistan.” Economic Development and Cultural Change 72 (3): 1041–67. https://doi.org/10.1086/722160.
牧野研究員は、これまでの研究成果を英文学術論文として発表するだけでなく、日本国内向けにわかりやすく解説する活動も行っています。特に、2023年8月に中央公論新社から出版した『ジェンダー格差――実証経済学は何を語るか――』では、経済学のトップジャーナルに掲載された論文や、南アジアをフィールドにした自身の実証研究の成果を一般読者にも理解しやすく解説し、大きな反響を呼びました。また、様々なメディアに出演し、経済学者の観点からジェンダーに関する事項についてコメントを提供しています。
さらに、アジア経済研究所が提供する無料ウェブマガジン『IDEスクエア』にも多数の記事を寄稿しています。
- 途上国研究の最先端:第54回 女の子は数学が苦手?――教師のアンコンシャス・バイアスの影響
- 途上国研究の最先端:第67回 男女の賃金格差の要因 その1──女性は賃金交渉が好きでない
- 途上国研究の最先端:第76回 紛争での性暴力はどういう場合に起こりやすいのか?
- おしえて!知りたい!途上国と社会:第4回 途上国の縫製工場に女性が多いのはなぜですか?
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- アジアトイレ紀行:第9回 パキスタン――トイレへの(心理的)アクセスがない
他多数
※故不破信彦氏は、生前アジア経済研究所が発行する英文学術ジャーナルThe Developing Economiesの編集委員を務めていただいたこともあります。多大なるご貢献に感謝申し上げます。