採用・募集情報

研究マネージメント業務担当インタビュー

佐々木 晶子(2013年度入所 研究推進部 研究推進課 推進班)

佐々木晶子

後方支援を通じて研究者との信頼関係を構築

研究者が研究業務を円滑に実施できるよう、研究活動を支援する部署で勤務しています。例えば、海外委託研究を行う際の入札や契約、研究者の招聘手続きなどです。「研マネ」(研究マネージメント業務担当の略称)は研究者から相談を受けたり、新しいことを提案したりといった仕事が多く、互いの信頼関係を築くことが大切です。今までは海外の研究機関との連携事業の立ち上げやセミナーの開催など、研究者とともに事業を進める仕事が多かったのですが、今は主に後方支援を通じて研究者との信頼関係の構築に努めています。

新しいことに挑戦できる環境

研マネとしての仕事は与えられる業務が少なく、何をやっているか見えにくいこともあります。ただ、何かやってみたいことがあったら、研究者や様々な部署の人たちを巻き込んで、新しいことに挑戦できることが研マネの仕事の醍醐味です。私は途上国都市の環境問題に関心があったので、はじめは研究会にオブザーバーとして参加し、研究活動について学びました。その後、2年間は海外派遣員として研究活動に従事し、科研費課題も遂行しています。これらの経験を通じて研究活動そのものへの理解が深まり、研究支援業務や新しい事業提案にも役立っています。

仕事と育児の両立を実現中

現在2人の子育てをしていますが、時短勤務が可能なので、共働きでも安心して仕事ができています。また、配偶者が海外に転勤しても同行休業ができる制度など、福利厚生のサポートも充実していると感じています。

略歴

修士(都市計画)。スウェーデン王立工科大学大学院修了後、島根県で地域の活性化などのコンサルタント業務に従事。アジア経済研究所入所後は、研究企画業務、国際連携業務などを担当。2020~2022年に海外派遣員として国連社会開発研究所(UNRISD・スイス)、公益財団法人地球環境戦略研究機関北九州アーバンセンター(IGES・福岡県)に在籍。1年間の育児休業を経て、2024年4月より現職。

鈴木 環(2021年度入所 研究推進部 研究事業開発課)

鈴木 環

社会的インパクトのある成果還元を目指す日々

研究所の研究プロジェクト事業の運営から、個々のプロジェクトの支援、国内外機関と連携や協定(MoU)等を担当しています。コロナ禍から徐々に人の移動が再開する時期で、国際的な学術交流のかたちが大きな変革を迎える中で、海外へのノンアカデミックを対象とした層への研究発信を拡充すべく「IDE Research Columns」事業の立ち上げに関わったことがアジ研の研マネとしての私の第一歩でした。また現在行っている研究プロジェクトの支援では、従来のアカデミアへの成果のみならず、政策関係者やNGO等も含めた様々なステークホルダー間の連携を推進することで付加価値のある研究を育み、研究者と並走し社会へのインパクトある成果還元を目指しています。

従来の枠組みを超えた働き方

研究マネージメントの仕事は、大学や研究機関に限らず、公官庁、民間企業の研究開発部門、財団など様々な現場で必要とされ、その業務範囲も多岐にわたります。私は、前前職では研究職として文化遺産保護に関する国際協力(建築分野)、そして前職の京都大学ではリサーチ・アドミニストレーター(URA)として国際・人文社会科学系の研究支援を担い、その後アジ研に入所しました。また引き続きリサーチ・アドミニストレーター協議会にも国際関係専門委員として参加し、情報交換と研究所の活動普及に努めています。こうした経験から、従来の研究者と事務部門といった枠組みを超えた形でインパクトのある事業を牽引できることには、アジ研の研マネならではの醍醐味といえます。一方で、国内外の時勢の変化をいち早くつかみ、専門を異にする様々な方との協働を通して知識のアップデートを重ねてゆくことが必要と感じています。

研究者と二人三脚で事業を推進

アジ研に来て最初に印象的だったのは、研究者との距離が近く、視点は異なれど、同じ立場で目標を共有し事業を進めてゆく雰囲気でした。研究者とコーヒーを囲み議論を重ねるなかでプロジェクトの構想を練ったり、とアゴラのような風景も時折見られます。また勤怠上の制度としても、規定の範囲内ですが勤務シフトの調整やリモートワークの活用もでき、プライベートとのバランスも取りやすい職場環境にあります。そうした環境は、長期的なキャリアとして研マネ業務を志す方にとってベネフィットとなるでしょう。

略歴

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科において環境デザインを専攻。東京文化財研究所において文化遺産保護に関する研究に携わり、文化庁やUNESCO事業、またJICA専門家として世界各国の現場でプロジェクトマネジメントに携わる。京都大学学術研究支援室にてリサーチ・アドミニストレーター(URA)として、人文社会科学の分野の国際連携・国際共同研究支援に携わった後、2021年4月より現職。

上坂 明子(2021年度入所 研究企画部 研究企画課)

上坂 明子

「責任ある研究」を支えるための環境づくり

研究をすすめていく中で、成果だけが求められる時代は終わりました。様々なフェーズで責任ある研究・イノベーション(RRI:Responsible Research and Innovation)や研究インテグリティの確保が無視できなくなってきています。例えば、研究計画段階での研究倫理審査、研究成果のオープンアクセス化です。これらは比較的に理解のしやすい部類に入るかと思いますが、まだまだ実践どころかイメージすらできていない、つまり、アジ研に限らず研究機関に根付いていない課題が多数残されています。このような課題を解決するには研究者からの協力が必然なのですが、可能な限り研究者の負担を現状以上に増加させることなく、実践に結びつけるための環境整備が大切であると考えています。具体的には、各種委員会の運営や規程の見直し・整備などが求められるわけですが、各機関へのヒヤリング、コンサルへの相談、セミナーや研修会の参加、メーリングリストでの意見交換等々、勉強の日々を送っています。

多種多様な志向を持つ同僚との協力

大学のURA(リサーチ・アドミニストレーター)とアジ研の研マネとの違いを挙げるとしたら、同じ職種の人の数が全体の職員に占める割合が桁違いに多いことであり、キャリア形成を考えるときのポイントになるのではないかと思います。また、今の部署では日常的に研究所配属のジェトロ本部採用の同僚と一緒に仕事をすることが多いですが、これまで身を置いてきた環境とは異なるカルチャーが新鮮であり、刺激を受けています。

略歴

博士(理学)。理化学研究所基礎科学特別研究員、Texas A&M大学Research Scientist等として基礎物理学(原子核実験物理学)の研究に長年従事した後、研究支援業務に転じ、一橋大学URA、京都大学IR推進室を経て、入所4年目。

阿久津 侑里(2022年度入所 研究推進部 研究推進課 総括班)

阿久津侑里

千葉公園の大賀蓮(筆者撮影)

競争的研究費の応募支援を中心に多様な業務に従事

2023年4月から、科学研究費助成事業(科研費)を中心とする競争的研究費の応募支援業務を担当しています。日本学術振興会対応や他部署との調整など、科研費やその他の研究費に関連する業務に幅広く携わっています。業務のエフォートとしては、課業務が9割、所内の研究倫理審査委員会や研究データ管理に関するタスクフォースなど、全所にまたがる業務が1割程度です。現在は、メインの業務を通じて、ジェトロ本部とアジ研の諸規程のなかで、いかに研究事業を運営するか、日々試行錯誤しながら事務遂行能力を鍛えています。

ジェネラリストの「研マネ」に

アジ研では、研究マネージメント業務担当者は、略して「研マネ」と呼ばれていますが、私は自分を「らしくない研マネ」と考えています。スペシャリスト志向の先輩方が多いなかで、私はジェネラリスト志向が強いほうです。このように「研マネ」は多様な志向性を受け止める懐の深いポジションゆえに、時に業務の範囲は弾力的ですが、こうした点は働く魅力ともなり得るのではないでしょうか。また、職場全体の雰囲気としては、チームワークを通じて信頼を得て、それを前提に面白く働いていく組織風土だと感じています。

終業後は大学院で科学技術・学術政策を勉強中

現在、政策研究大学院大学の夜間プログラムに在学しており、研究機関のあり方を自分で考える視座の獲得を目標に、科学技術・学術政策を勉強しています。こうしたプライベートでの学びも、いつか仕事に活かせたら嬉しいです。

略歴

修士(文学)、オスマン朝史。大学共同利用機関管理部勤務を経て現職。現在、政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラム(修士2年制)在学中。近著に「研究キャリアの端緒としての科研費応募を支援する」(『RMAN-Jジャーナル』2号:39-41、2024年)。

青山 由紀子(2012年度入所 研究企画部 研究企画課 広報班)

青山 由紀子

研究所の活動をより広い世界に届けるために奮闘中

現在は、研究所の組織広報に携わっています。ウェブサイトやSNS等を通じた情報発信、プレスリリースを含めたメディア対応、研究所紹介コンテンツの制作、大学・高校との連携活動などです。アジ研とはどういう組織なのか、どんな人がどんな思いを持って研究に取り組んでいるのか、どのように日本や世界の力になれるのか、そういったことをより多くの人に知ってもらうために、様々な人と協力しながら日々試行錯誤しています。

研究所は各分野のスペシャリストの集まり

入所以来、研究プロジェクトの企画・調整やイベントの企画・実施、研究所広報、海外機関とのネットワーキングなど多岐にわたる業務に携わってきました。100人を超える研究者はもちろん、他の研マネやライブラリアン、編集業務担当職員や研究支援・管理部門の職員など、研究所は各分野のスペシャリストの集まりです。そういった人たちと共に議論を重ねながらプロジェクトや業務を形作っていく環境に身を置けることは、日々多くの学びと刺激を得ることに繋がっています。

多様性と風通しの良さが共存する職場

私は大学卒業後、民間企業に勤務していたため、入所直後は公的機関で使う言葉やルールに戸惑いを多く感じたのも正直なところです。それでも、職員それぞれがやりたいと思ったことを尊重し、後押ししてくれる環境と周囲のサポートのおかげで、一つずつ学びながら経験を重ねてくることができました。研マネとして入所してくる人は、興味・関心もバックグラウンドもよい意味でバラバラです。それらを大切にしながら、いろいろな角度からアジ研の価値を高めていくことができればと思っています。

略歴

学士(国際開発学)。国際総合学類卒業後、広告会社で広告・マーケティング関連業務に従事。アジア経済研究所入所後は、研究プロジェクトの企画・調整、成果普及、国際機関との連携業務等を経て2021年より現職。

(2024年9月公開)

志村 文子(2021年度入所 研究推進部 研究事業開発課)

志村 文子

国際機関での業務経験を活かせる場所

人道問題や難民問題に関心があり、大学院時代には赤十字国際委員会(ICRC)のインターンや外務省の国際平和協力調査員をしました。その後、国連大学サステイナビリティ高等研究所で「持続可能な開発のための教育(ESD)」プログラムに携わり、アジア・太平洋地域の高等教育機関のネットワーク作り、国際会議の開催、サステイナビリティをテーマとした能力開発プログラムの企画・運営などを行ってきました。千葉大学のURAを経て、2021年よりアジ研で研究マネージメント業務担当として勤務しています。アジ研の地域研究に関心があったことに加え、これまでの職務経験が活かせる場所だと思い、入所しました。

様々なひとと協力しながら海外の研究機関との研究連携を推進

入所して最初の2年間は、研究プロジェクトや科研費課題の予算管理や支出に係る手続き全般を行いつつ、地域研究コンソーシアムのシンポジウム開催、海外の研究機関との共同ワークショップ、ネットワーキングなどに携わりました。研究連携推進事業の一環として、2022年にインドネシアの国家研究イノベーション庁(BRIN)を訪れ、研究連携や交流促進、MOU締結などについて議論できたことは、とてもよい経験になりました。また、アジ研の研究成果をより広く社会に発信するため、英文研究コラム立ち上げに携わり、現在も編集委員の一人として活動しています。

2023年度からは、アジア動向年報ラテンアメリカ・レポートアフリカレポートを刊行する経常分析事業やプラットフォーム構築のための研究プロジェクト運営支援などに携わっています。また、国内外の研究機関との連携強化、研究ネットワークの拡充のためのコーディネーション業務も担当しています。研究会合やワークショップ開催も多くあるため、研究者や課内外の職員と協力しながら業務を進めています。

アジ研のプロモーターとしてアンテナを張る日々

アジ研では、いろいろな研究者が多種多様な研究関心と分析手法を用いて研究をしています。研究マネージメント業務担当は、アジ研のプロモーターとして、様々な場面でアジ研をアピールすることが求められます。そのためには、誰がどんな研究をしているか、これからどんなプロジェクトが動きそうかなど、アンテナを張っておくことが大切です。また、幅広い仕事を任されるため、常にいろいろな人と関わりながら、よくコミュニケーションをとっておくことが大切だと日々感じています。

今後は、社会のニーズをくみ取りながら、アジ研の強みや研究成果をより分かりやすく発信できる企画や、他の研究機関との共同企画などに取り組んでみたいと思います。一つ一つの業務やコミュニケーションの積み重ねが、アジ研のネットワークの拡大につながっていくと考えています。

金 信遇(2019年度入所 研究企画部 研究企画課)

金 信遇

大学院時代に研究支援業務の魅力に気づく

入所前は、地域研究専攻の大学院の博士後期課程で現代チュニジアの社会経済に関する研究をしていました。学会や研究会でアジ研の研究者の研究報告を聞いて、「アジ研には面白い研究をしている研究者がこんなにたくさんいるんだな」と感銘を受け、アジ研へのあこがれを抱くようになりました。また大学院では、学会のロジやシンポジウム企画、学部運営の仕事にもかかわる機会があり、研究活動そのものだけでなく、研究活動を支えたり、ネットワークを構築したりといった研究支援の仕事にも興味を持つようになりました。アジ研は国内最大規模の新興国・途上国研究の研究所であり、研究支援人材としての専門性を磨くことができる場所だと思ったため、アジ研の研究マネージメント業務担当のポストに応募しました。

科研費の獲得支援と広報を中心に幅広い業務を経験

最初の4年間は、主に科研費の獲得支援業務を担当し、研究者と密にコミュニケーションを取りながら、所内勉強会の開催や研究計画調書のチェックなどを行いました。また、採択後の交付申請、報告手続きや予算管理まであわせて担当することで、競争的資金の獲得・運用の全体像を把握することができるとても良い機会となりました。それと同時に、研究所全体にまたがる業務にも携わりました。具体的には、ウェブマガジンIDEスクエアの編集委員やイデアス(IDEAS)研修プログラムの運営、広報コンテンツの企画・制作(YouTube動画の制作・配信)などを担当しました。2023年度からは広報業務を中心に担当しており、より幅広い層へのアウトリーチ強化を目指して日々奮闘しています。

地域研究・開発研究の学術コミュニケーターを目指す

アジ研の仕事の魅力は、地域研究・開発研究の最先端に立っている100人以上の研究者と一緒に仕事ができるということです。普段メディアであまり取り上げられない国・地域を対象とする研究活動を支援、その成果をいち早く目にし、関連する企画を立てたり広報活動を行ったりすることがアジ研の仕事の面白さです。またアジ研には、職位、職種を越えてフラットに議論できる文化があり、研究者個々人が自身のフィールドで活躍すると同時にアジ研という組織に愛着を持っている人も多く、みんなで力をあわせて仕事を進められることも魅力のひとつです。自分が支援したプロジェクトの研究成果が世に出たり、メディアやSNSで取り上げられたりするととても嬉しく、研究者ひとりひとりの研究活動をできるだけウォッチしつづけることを心がけています。こういった環境を活かして、将来的には、途上国・新興国を研究対象とする社会科学分野の学術コミュニケーション、キュレーションの専門家を目指してキャリアを積んでいきたいと考えています。

(2023年5月公開)

*所属はインタビュー当時のものです。